クレイジーメタリックブルーバード⑨
「クレイジーメタリックブルーバードの話ですね。結局彼らの出会ったドラゴンやゴクラクチョウ、精霊やほかのみんなにクレイジーメタリックブルーバードが宿ってたってことなんでしょうか。」
妹の言いそうな言葉をつぶやく。妹はもう3日間、目を覚まさない。
ボクの大切なった一人の妹、どんな困難も乗り越えられるように、大勇者エリーにちなみエリーと名付けた。
彼女は生まれた時から子供だった。赤ちゃんのときはない。それでも少しづつ成長している。
ボクの初恋の女性でもあるけれど、彼女の病気が分かった時、妹として迎えることにした。
ハンナとボクは交代で彼女のもとについている。ボクが頼れる人はハンナにしかいない。
ボクの事を友人と思っている人はいるだろう。助ける人はたくさんいるけれど守れる人は少ないのだ。
エリーと会えたことを後悔はしたくない。ボクは狂錬金術師ともあっている。
1000年生きた錬金術師は娘を頼むといって死んでいった。
生前にも自分が生きていることを隠してほしいとずっと頼まれていた。
ボクは彼の本心を見抜けなかったのだろうか。
彼とは何度か話した。彼は1000年迷い続けた。本当にエリーを起こしてよいのか。
当時の錬金術の技術では寿命を延ばす事しかできなかったのだろうが、エリーを生み出さず、魔法の格をあげる研究に終始してたら不老不死に達していたことだろう。
彼はエリーを生み出した後、研究をやめていた。
ハンナが病室にやってくる。
「エリーちゃんの容体はどう?」
眠る妹の頬を撫ぜる。ボクの結婚を約束した女性だ。エリーをとてもかわいがってくれた。ボクがエリーの事を第1に考えていることをどう思ていたかはわからない。ボクの一つ上まだまだ20歳にもなったばかりの女性。世間的には一部の寿命の短い魔族以外は30歳から大人といわれる。
ボクは
「苦しそうにはしていない。けど目は覚まさないよ。」
と答えた。世界で唯一エリーの病状を抑えられる薬の材料を取ってこれる。
彼女は危険を顧みず、かつての大魔境月の光で育つ樹木の森に行ってくれた。
このことはエリーは知らない。彼女の実家に仕入れるつてがある程度の認識だろう。
ボクはハンナの厚意に甘え続けるしかできなかった。
彼女はエリーのベットの横に置かれた椅子に座る。私を抱きしめる。
ボクは涙が止まらなかった。泣いてしまうとあきらめてしまうのではという気がしてどんなに悲しくても泣けなかった。それでもボクの涙は止まらない。
「お兄ちゃん」
声のほうを向く。エリーはボクの事はお兄様と呼ぶ、エリーの体からエリーよりすくし小さい少年があらわれる。
 




