クレイジーメタリックブルーバード⑥
天国への生き方は地獄とにている。
世界一の山の頂上へ向かう。魔術師の仕事としていくらか獣と魔物と精霊と妖精をを退治する。
巨人とドラゴンには見つからないようにする。
この山に自ら近付いた場合は自己責任、殺されても巨人もドラゴンも悪魔認定を受けない。
妖精と精霊は人族、魔族と敵対すると姿が変わるのでそういうものだけ狙う。
この世界は存在する生き物の数により広がるというから、このような僻地に追いやるのはかわいそうだという気がしないでもないが、もしせめて来ても魔術師なら大抵勝てるという余裕ゆえだろう。その気持ちにも嘘はつけないため、積極的には探さないが、向かってくるなら殺すことになる。
そして我々が地獄に向かうと狙われるのも同じ事だ。
頂上には先約としてドラゴンがいた。
ドラゴンは好奇心の高い生き物、天国を目ざす気だ。
「こんにちは」
と話しかける。この山も魔境の一つとはいえ、頂上は聖地であり戦いは禁止されている。魔術を使えないものがたまたま来れる場所でもなく。魔術を使える者には戦いの禁止は周知されている。
「人族と魔族の者だな、天国行きに失敗するものがほとんどいない。強靭な種族たちだ。我もこれが3度目の挑戦だ」
と答えた。人族と魔族は交流を深め、昔からの名残と吸収したというのもちがうという思いから普段は分けて呼ぶだけの同じ生き物、魔族は人族の一部という感覚が強くなったが、ドラゴンからすればやはり別の生き物のようだ。
「我々は、データを重視します。行けるという算段が付いてから行くのです。またその考える過程もも楽しい者ですよ。それでも大魔境ともなれば算段が立てきれずよく失敗するのです」
と答えた。
ドラゴンはしばしば考える。
「面白い考え方だ。学ぶ道はたくさんある。算段を立てることを怠れば、しなっくてもよい失敗を繰り返す。成功した時にも、それしか学ぶことができないという事だな。やはり人族と魔族とは面白い。それでは天国で会おう」
といった。
ドラゴンは笑いながら、飛び立つ準備に入る。ドラゴンは翼により飛び立つ種族。
突風が吹く。ドラゴンほどの魔法の出力があれば翼を使わずとも飛び立てるのだが、見栄えが大事なのだろうか、幼いころからの習性なのだろうか、ドラゴンは羽ばたき天へ駆けあがるのだ。ただ空を飛ぶ我々と比べてはるかに雄大だ。
他の皆も鳥の魔族ゆえだろう、羽ばたき空を飛びたいと思っている。
ドラゴンがこちらの星の殻を突き破る、人族はすり抜ける道を取る。このドラゴンの失敗した2度というのもすり抜ける道を選べば行けたのだろう。
ティアラが「ドラゴン・・・かっこいい」とつぶやいた。
鳥の魔族はドラゴンにあこがれやすいのだ。私は体をドラゴンに変化させる。魔術師なら簡単なことあ。
「どう?」と聞いた。
ティアラはげらげら笑いだした。失敗したのかと思ったけど。どこからどう見てもドラゴンだ。
私が大きな鏡を出して姿を確認すると、ティアラの笑いはさらに加速した。
ミシェル様も笑いをこらえた顔をしながら
「その恰好で天国にむかわないでよ」
と肩をたたく。
「も、もちろんだよ」
と私は答えるのだった。
体を元のサイズにもどす。はじけ飛んだふくは体を戻すのに合わせて修復していく。絶対隠すべき場所に集中しすぎたせいで上半身は裸になった。魔術師になる前に剣士をしていた私の体は傷だらけだ。
戦争も経験した。剣を使える者は前線へ送られる。
私は当時の隊長の不正をいさめたが認められず。いろいろあって、脱走兵となり、投獄されたのち魔術に目覚めたのだ。魔術師協会がなければ死刑になっていただろう。
ティアラは私の気持ちを察し嗤うのをやめる。
私が魔術で体の傷を治さないのはなぜだろうか。




