魔術師戦争⑩
妖精的進化と精霊的進化の違いとは。今日の師匠の授業は約40年前の戦争の話だった。
魔術師の恐ろしさを皆に思い出させた世紀の大事件。魔術師でない人どうしの戦いでも数十万の人がしに、魔術師によって1000万を超える人が数日で死に絶えた。魔術師協会はビリーは女神正教のスパイだったと発表した。ビリーだけではない女神教団と魔術師協会は暴走して大量殺戮を行った魔術師をすべて女神正教徒だったとした。逆もまた然りだ。優秀な魔術師なら魔法の力で嘘を簡単に見抜けることなど関係ない。魔術師以外のものへの方便なのだ。ウォルターは結局生き延びた。ポーラもサラだって、ウォルターをすいていた。特に優秀な弟子サラとポーラ。そしてもう一人、死んだとと偽装されていたディエゴまで月の民の生き残りだったことがわかり、世界中から非難を浴びている。ディエゴはこちらの世界に残り、月の民を守るために戦い死んだ。彼は最後まで魔術師以外には手を出さなかったといわれているけれど、真実は不明だ。それでも敵の行動や、位置などは見ていただろう、魔術師から逃げる以上、魔術による姿隠もしただろう。あくまで直接魔術による攻撃を行っていないだけだ。教祖が生き続けることで異端の発生が少なかった女神教団は40年前から変わらざるを得なかった。何かが変わることは魔法、錬金術師の発想。女神正教は魔術師を名乗り、魔術を学び錬金術を使う集団。錬金術師と錬金術師に近しい魔術師だけが気づいている。それが帝国の崩壊以降の世界だ。本当は帝国崩壊以降から合った危機が表面化したに過ぎない。今や1000万人にのぼる魔術師その中で実力がない者ものでも、たった一人でも数万規模の人を一瞬で殺せる。もう皆考えても仕方ないことだと思いながら、帝国の崩壊の歴史を学ぶたびに思い出し、月の民の情報が流れるたびに思い出す。思い出す人が多くなることが意見の対立を呼び、魔術師による事件を誘発する。古代の王の諱をよばないのは、そういう意味もあったのだろう。大きな力を持つ者は、大きな影響を与える。大きな影響は争いを引き起こすかもしれない。そして、大きな力の恐怖が知れ渡った以上後戻りはできない。
キムンカムイのいう妖精的進化とはきっと術の上昇の部分なのだ。そして精霊的進化は格の上昇に当たる。魔法の格、1次魔法や、2次魔法の結果の再現は1.5次魔法や2.5次魔法の術。私にはわかる。2.5次魔法に達した人族や魔族が2次魔法となった外の世界のものに互角以上に渡り合える。必要な自称だけをより高度に再現できる。ゴブリンは2次魔法だが、攻撃を受けないという点だけが2次魔法になった。きっとそれさえなければ自然発生しない。自然発生でないゴブリンには体をする抜けないものが確認されている。かつて勇者グリフィンの入り口で詰まるという事もこのことを何か示唆しているような気がする。今回の歴史に出てきたキムンカムイは戦いにならないという事態を避ける事だけは2次魔法に匹敵する。巨人は死なない事、相手を倒す最強の攻撃力、再生力は2次魔法に匹敵する。それは腕のない錬金術師が魔術師に劣るなんていう憎たらしい戯言に何も言い返せない実情にも当てはまる。
私はそれらの考えを踏まえた上で師匠に「錬金術師は両方できるんですね」といった。術と魔法の格を深く理解する錬金術師はきっと両方を行える。師匠があえてはまればと少し足りない教え方をしたことを気づいたうえで錬金術師の本質と思える部分の私の思いをぶつけた。




