魔術師戦争⑥
某年某月某日 ウォルターは魔術師協会と対峙している。
400人対2000人、戦争を止めに行こうとするウォルター一味を魔術師協会が止めている形だ。
「魔術師の戦争への介入は禁止されている。魔術師協会に敵対するつもりか。」魔術師協会には魔術師協会の意地がある、戦争の黒幕が敵対する女神正教であったとしてもそれを理由に自分たちの理念を曲げるべきではない。それが彼らの考えだ。ウォルターには理解できる、理解はできるがこのまま戦争がつづけば数千万の犠牲者が出る。帝国は強くなりすぎた。魔術師の介入がなければ戦い続けるのだ。宰相と弟皇帝は一時手を組み、大公と反乱貴族の軍を浮かえ討つ。魔術師がいるのは大公、反乱貴族側だけ。そちらはもう魔術師の戦争参加をかくしていない。”あ”の魔女の災厄を超える魔術師による虐殺が起きようとしている。魔術師協会を敵に回すことは世界を敵に回す事、弟子たちまで巻き込むことになる。「このままでは帝国が滅んでしまう。慣習として攻められた側は個人として身を守ったことになるはずだ」と答える。慣習をその時その時に変えられてはたまったものではない。必要以上の犠牲を出さずとも帝国最強の肩書を以って停戦を呼び掛ければこれ以上の戦争を長引かせないで済むはずだ。
けれども魔術師協会の男は「好きにルールを作れる。それが魔術師協会の強さだ。帝国最強などおそるるにたりない」と答えた。私は答えることができなかった。開き直るものを相手にしてはいけない。私は切り札を切った。錬金術師アーヴェル、錬金術師は一部の傑出した人物以外は弱いし、戦いも好まない。その一部の錬金術師、彼は私の元弟子だ、魔術と錬金術基礎的な所に違いはない。今は錬金術師として独立しているが、今回の内乱をおさめるために助けを求めた。彼は「これだから魔術師は」とつぶやいた。彼はシオンの技を使う。すなわち、2000人の魔術師協会の魔術師は全員魔術が封じられた。
そしてそれが罠だった。アーヴェルにはそれ以上の攻撃の意志はない、我々も戦いを避けるために呼んだのがアーヴェルだ。一瞬の油断、その隙を女神正教の指導者の1人が狙っていた。魔術は2.5次以上に達した生き物か、魔術師にしか防げない。しかし自分が狙われたならある程度の力量差がなければ不意を突かれようと、迎撃なり、防御魔法なりで対抗できる、しかし、それは魔術が使えればの話である。魔法はいくらでも出せる。2500発の魔法が2000人の無防備な元魔術師と私の弟子10名を貫いた。指導者の男は逃げ去ろうとしたがアーヴェルにより既に首を切り落とされていた。サラより連絡を受けている。女神正教は残り指導者一人含め残り3名、200名程度の女神正教の魔術師に帝国は少なくとも数百万の死者を出し皇帝までうたれボロボロにされていた。




