魔術師戦争③
帝国最強の魔術師といわれるウォルターは悩んでいる。このまま戦争が起これば自分が最強と程遠いことがばれる。多くの国民の命が失われる。ウォルターは自分の実力では誰も守れないと感じている。彼は初代の皇帝から使える身だが、政治には参加しなかった。初代皇帝とともに隠居していればよかった、最近はそのことばかり頭をよぎる。実際宮廷魔術師には自分のつかえる主とともに隠居するものも少なくない。自分には決断力がない、それが彼の悩みであり。ただ昔からいるだけの魔術師、2人の皇帝にも宰相にも見抜かれていると感じていた。魔術師が我慢する必要はない。魔術師は姿かたちを変えられる。この国を出ればいい。そういい続けて2年。弟子からは又ですかといわれるのだ。
「先生はこの国に必要な人です。」ウォルターのでしディエゴは一応そう伝える。自分の兄弟弟子と戦うかもしれない。ディエゴはそのことを心配していた、ウォルターはディエゴから見れば十分に優秀な魔術師であり、彼の弟子たちが帝国をかろうじて支えていた。近年ではサラとポーラという優秀な弟子を育てた。彼女らをうまく、帝国首都から出し、均衡を図ったのはウォルターの策だ。
彼女らは不満を言いながらも従ってくれた。
そんな折、謎の二人の女性、変装で姿を変えたサラとポーラはふたりの前に現れる。
サラは「先生、女神正教は危険です。女神が見出した300人の魔術師がすべて人族だったことを理由に魔族狩りを始めました。私たちの村は魔族が半々くらいはいる村で魔族とも友好的な村なので領主軍が攻めてきましたがやはり魔族は強く勝つことができました。それでも村をまとめる者がなく。村を捨てる者が続出しています。」と説明をした。女神教は人族魔族分け隔てなく接するようにしてきた。逆を行くのが女神正教。世界の潮流を見ればこのご時世表立った魔族差別など許されるものではない。ただ帝国を初代皇帝とともに作り上げたウォルターは知っている。平和の時代、悪意を隠さず攻撃するものからは皆逃げるのだ。それは魔術師も例外ではない。力を蓄えるため力をふるうものがあらわれた。魔術師でないものでも魔術師を追い払う数少ない力、大昔の魔術師や錬金術師はこういうものをこそ魔術と呼んでいた。
女神正教にとっては2人の村の見かけの上の勝利などどうでもよかったのかもしれない。
「何か起こるかもしれない、皆、戦える準備を1時間後に魔法学園へ」といった。魔法学園は卒業性が使える施設も多数ある。そこえ今後の行動を考えるのだ。個別に動いては影響が小さい。行動をそろえることに意味がある。ウォルターはそう考えていた。待ち合わせ場所にはディエゴとポーラは現れなかった。死んだのか連れ去られたのかはわからない。事態はすでに想像を超えて進行していたのかもしれない。表では人通しが戦い、裏では魔術師が戦う。魔術師どおしの戦いを経験したことのあるものは少ない。各地で戦乱の火の手が上がる。魔術師たちは姿を隠す。ウォルターの元には500人の魔術師が集まる。この国の戦える魔術師の1割を超える。女神教団2000人、女神正教200人 宮廷魔術師とその下部組織100人。 1万人以上その他の魔術師がいるが戦えるものは限られる。1億5000万人の住む巨大な帝国は在野の魔術師を多く生んだ。誰が敵か味方かまだ分からない。方針としては宮廷魔術師との合流だろう。ウォルターは城へ向かったが宮廷魔術師はすでに残り20人となっていた。女神正教のものが紛れこんでいたのだ。同士討ちにより10名が死亡、70名が行方不明。昔の魔術師は火や水を出していたが、今の魔術師は消滅させる魔法が主流となっている。消滅したのかつらさられたのか身を隠したのかはわからない。




