魔術師戦争②
ここ数か月帝国各地で魔術師が消えている。
サラは異変に気付いていた。
魔術師が何かしているのは間違いない。
魔術師になにかできるのは魔術師だけ。
サラが生まれる前、サラの国は帝国に侵略された。
狙ったように力量の低い魔術師が配置され、その魔術師さえその時は協会に呼び出されていた。
国の人数や広さにより、最低限の魔術師の数というものが決まっているが、帝国は広大な領地内である事からその数を意図的に偏らせていた。
「学園が国内に1個しかないのがね」
サラが友人のポーラに話しかける。
帝国は各地の魔法学園をつぶして回り、残りは首都に1か所だけとなっていた。
そのまま魔術師は首都に住むものが多い。
いるだけでたくさんの人にちやほやされる。
進んだ文化、そして魔術師はものはたいて何でも作れるが、人の沢山いる活気は作れない(一部例外あり)。
たくさんの魔術師がそのまま首都に住むのだ。
「それに、魔術師の多いところでは魔術師が生まれやすいともいわれている。」
ポーラはそう答える。
女神教団への不信は魔術師の間に広がっているが、表立って反論するのは女神正教くらいしかいない。
魔術師でない人の支持が違う。最強の魔術師というのは理論上可能だ。
魔術師の実力は簡単に開く、世の女性のあこがれ、サラもポーラも夢中になるおとぎ話に出てくる錬金術師シオン様は少なくとも当時最強だった。
錬金術師も大きなくくりで言えば魔術師の一種だ。
顔が良く、優しく、行動力があり、強い。その強さは他の全魔術師を相手どっても勝てるほどであった。
それでもその強大な力は正しいこと、少なくとも自分が正しいと納得できることにしか使わない人物だったと伝わっている。
それでも天敵がいる。それが正義だ。正義はあきらめない。正義は言い訳をする。正義は皆を奮い立たせる。正義は狂気を生む。正義は負けてもつながっていく。正義は人を残虐にする。シオンならば敵対するものを全員を殺すことができる。
流派的にダメとなってはいるが、守る守らないはシオン次第。そして世界に一人ぼっち、それは勝利ではない。
シオン研究家の言葉をサラもポーラも当然知っている。一人ひとり正義はずれがあるものだったが、幸福の追求とと不幸の排除は正義をまとめ上げる。
最大の不幸であり恐怖の死をなくす可能性のある女神教団だ。
一部の魔術師だけのものであった不老不死となるものを増やし続ける女神教団。
逆らえば、人の世で生きることはつらいものになる。二人の皇帝も宰相も大王も女神教を支持している。
大公が女神正教の支持を表明をしたことが発端だった。
いくつもの貴族が同様の表明をする。
サラとポーラの住む地域の領主も女神正教を支持する。
それでもサラやポーラをはじめ、女神教により、魔術師になったものでない昔からの魔術師たちはまだ様子を見るにとどめている。




