ドラゴンを倒す者⑤
私は1人合図を待つ。ブレットは私に合図のタイミングに合わせてロープを着るように言った。2名がその役目、ブレット含めた4名が直接ドラゴンに相対する。なんとなくわかっていたがブレットは魔術師が嫌いだ。30分経って、合図がなければ逃げるように言われている。合図が来た。多量の水が、大熊ののった、いかだを滝へと押し流す。勢いよく見たことこともない金属でできた鎖がひかれる。ブレットがいうには毒でももろくならない鎖だそうだ。
私は山頂に駆け出す。危険だとかどうとかはもう頭になかった。金属の鎖の巻かれたドラゴンのは首が引きちぎれていた。「ブレット大丈夫だった」私はブレットに駆け寄る、鎖の暴れ方によっては危険があったそうだ。タイミングがうまくあったようだ。鎖はドラゴンの首を落とした後無事二つにちぎれた。周りの3人は呆然としている。「なんの心配もなかった・・・何一つ。」と一緒のいた男の一人がいう。ブレットことを恐れているように見えた。ブレットは「問題ないよ、ドラゴン退治はなれている。メリッサもけがはなかったかい?」といった。彼はこともなげにそういう。ブレットらしい。
共に戦っていた一人がわなわなと震えている。「ブレット殿弟子にしていただきたい。あなたはドラゴン相手に一歩身ひかなかった、魔法など使わなくても勝てたのではないかという戦いをした。」といった。私は戦いをこの目では見ていない。ブレットとだって剣で稽古として手合わせをしたことはない、大熊を倒した彼がピストルと呼んだ武器のようにまだまだ戦う武器や技があるのだろう。彼は「錬金術師はね、全部魔法だと思っているんだ。食べる事、戦う事、死ぬこと、命を奪う事。祈る事、何もしないでぼーっとすることだってそうだ。君は皆を逃がすため、しんがりをかって出てくれた。ボクは勝つことがわかっていたから残った。君は錬金術師には向いていない。臆病者しか錬金術師にはなれないんだ。君は君の素晴らしい資質である勇気を捨てることができるかい?」といった。
錬金術師は弱いまま強くなる術だ、心の弱さを腕っぷしや技術力で補う。そういう術だと続ける。弟子になりたいものと、脂質のあるものに大きな隔たりがある。ブレットは1日しっかり考えて最後にそれでもいいなら二人目の弟子にするといった。なんとなく私のことを弟子扱いしているような気がして。「私はあなたの弟子ではないわよ」といった。確かにブレットは私と剣を交えるときは稽古をつけているようにアドバイスをくれたりするけど、弟子ではない。弟子になりたいから通ってるわけじゃない。ブレットは不思議そうな顔をした。ショックを受けているのかもしれない。
「いや、メリッサ、君も知ってるだろ。ジョンの事は?」といった。さすがに冗談だ、あの人は3人で話す時・・・・思い出すけれど、はっきり自分が師匠だとなのったことはない。勘違いしている私をみていつもにやにやしていたような気がする。私は顔が真っ赤になる。もうどっちが嘘か本当かわからない。本当だとしたら、確かに今日弟子入りした男はまだまだ性格が硬い。




