7大魔境、昔で言う6大魔境③
某年某月某日 灼熱の門近くの村
男4名 女1名の5人の探検家。灼熱の門は魔族領の西の果てにある。私以外は魔族の魔術師であった。この5人で灼熱への門へと向かう。山の頂上にある巨大な門。大魔境とは言え、ふもとは観光名所でもある。後の大魔王シエルが魔王を目指していたころ。魔族の国は当時から人族と比べ国同士の結びつきが強く、敵対する場合でも協調する場合でも同盟国や関係国、国際機関などから認められるよう動く必要があった。力だけでやれば関係悪化などは避けられず、新興国では非常に不利な立場となってしまう。人族との協調路線および王権獲得を目指すカエルの特徴を持つ魔族の美少女、シエルは他国からの信頼を得るために魔族の抱える問題を解決せねばならなかった。もちろんいくつかの国を除けば人族との協調はほとんどの国の願いでもある。それでも人族の国と接し長年争ってきた東の大国、西の果てからやってくるドラゴンの被害を受ける同盟国への支援疲れの見え、新たな領土を欲する西の大国がノーと言えば話は進まない。東西南北そして中央の5国のうち4国から認められねば他国から王として認められないのだ。その第1歩として、ドラゴンの世界に向かい灼熱の門をこさえ、西の大国およびその同盟国との友好を目指した。
1000年近く前の話だが、ふもとには記念にシエル、マナ、エリーの像が立てられ参拝客がやってくる。
錬金術と魔術で作られた、本物そっくりのな今にも動き出しそうな像、魔術でコーティングされ、いつまでも新しいままだ。本もと同じ質感だそうだが触ろうとすると自動で結界が貼られる。
それぞれの像に探検の無事を祈る。魔族である4人のうち2人はシエルから残り二人はマナから、人族である私はエリーから、文化の違いであろう。3人のリーダーはエリーであるが魔族と人族の友好に最も成果を出したのはマナであった。シエルだけではは優しすぎるため友好の進みは遅くなっていただろう。探検は歴史研究のためだ、マナは魔術師協会でも、魔族領でもどこでも尊敬されている。そういえば以前出会った吸血鬼の王も最初にマナの名をよんでいた。
私は「ここまで来たのだ、この山くらいは移転無しで登ろうか」という。4人は賛成してくれる。半日もかからず、灼熱の門の前につく。途中いくつかの魔物と獣を退治しゴブリンを追い払う。これらは魔術師の仕事ともいえるため、探知しながら片手間で退治する。一部愛好家らは肉を食べるが、魔術師、錬金術師が力を持つこの時代には食料は十分にあり無理に食べる必要はない。
妖精と精霊、魔物は親から生まれる場合と、自然発生する場合がる。自然発生する場合には魔物は2次魔法に達していないものがこちらの世界、達したものが大魔境の先、魔物と獣の世界に生まれる。ゴブリンはよくわかっていないが2次魔法に達していても妖精と精霊の世界でなくこちらの世界に生まれることがある。これらの謎もまだまだ研究段階という事だ。
「見えてきたな。」牛の特徴を持つ魔族の魔術師が指をさす。いよいよ本番である。ドラゴンは好奇心の強い生き物、人族が来ることを歓迎している。この大魔境は人食い鬼の胃袋とならんで最も突破しやすい大魔境といわれる。また人食い鬼の胃袋と比べ、非常に短い。行けるかいけないかだけ。実力が達していると信じて進むだけ。灼熱の門は写し絵では見たことがある。魔法技術による写し絵、それは本物と変わらないと聞いていたが、やはり本当に本物を見ると感動してしまう。最大のドラゴンでも通れる巨大な門。ただし、実力の高いドラゴンは体長を自在に変えられるため、本来宇宙と同じ大きさをしているような竜などは小さくなって通ってもらうことになるだろう。別の魔境の先の話になるが巨人も上位の者は通常の人間のサイズを取ったりもするそうだ。いつか巨人の世界にもいかねばならない。
灼熱の門というがここでは熱を全くかんじない。そして門の横には世界がない。大勇者エリーが隙間か出入りする竜とか出るから世界をひしゃげさせるように竜の王に言ったと伝わる。暗闇が広がっているが、本当に黒いわけではない。認識ができないため、わたしの頭が黒で置き換えているに過ぎない。試しにその場に向かう。ここに世界の果てがある。ここを通り抜ければ自分は消えてしまう。そのような恐怖は有った。手だけを差し入れる。「隊長!」ウサギの特徴を持つ魔族の魔術師が止めるが構わず手を入れる。確かに入ったはずなのに入らない。手にも違和感はない。私は意を決して中に入る。やはり入らない。進んだ感覚は有るが。何も進んでいない。本当に進むにはまだまだ実力不足という事だろう。3女神は灼熱の門でなくこちらを通ったという伝承があるが定かではない。
いよいよ灼熱の門である。全く温度をかんじない。炎というより暗い光が門の上部から差し込んでいる。門の向こうが見えるが複数のドラゴンが飛び回っている。
非常に強い力と硬いうろこ、強靭な生命力に再生力。毒を吐くもの火を吐くもの氷を吐くもの、あるいは雷や突風、大津波を起こすもの。強力な力を持つ魔術師がいなければ大惨事になりかねない。強大な力を持つ魔術師である我々でも油断はできないことがわかる。それでも世界の端に追いやられた下位のドラゴンなのだ、1匹のドラゴンがこちらに向かう。我々は思わずそれぞれの武器を構える。灼熱も門に達したドラゴンは体が消滅する。人食い鬼の胃袋でかつての仲間が消えたような術ではない。
異常な高熱により消える様に燃え尽きたのだ。魔法の格について考える。魔法の格が1違えば何もできない。実際にはそこまで違わなくても、何もできないくらいの実力差になるが1違うというとは石と人の競争に例えられる。あるゴールに向かい人と石が競争するようなものそしてゴールの位置を決めるのも人なのだ。これは4次魔法である石と3次魔法である人の差の例えだ。そしてこのたとえ話はこう続く。だが石が無限に大きければどうだろう。偶然がすべて重なればどうだろう。と。ただの火や熱であれば、ある程度優秀な魔術師ならば炎による攻撃を無効化し完全に防げる。ただこの火は無限の熱を持つ火なのではなかろうか。そして火と魔術師は魔法の格が1違うわけではない。
直前の光景に足がすくむ。今なら引き返すことができる。それでも我々は歩をすすめた。
この話の後悔
グリフィンの実力をまだ決めかねてる時期です。
こういうできるかできないか一派る勝負の試練は自分にはまだ早く説明が長くなった。
感想アドバイス等ございましたらよろしくお願いします。




