7大魔境、昔で言う6大魔境①
某年某月某所
居並ぶ10人の探検家、7大魔境の挑戦者たち。全員が高名な魔法使いである。皆勇者にあこがれている。今はただの魔術師兼探検家という肩書に過ぎない10人、誰もが最初はそうなのだ。
勇者になる条件は昔より難しくなった。大勇者一行、いわゆる3女神という呼び方は一神教徒が増えたこの時代にはいう事がはばかられるが、この3人は大勇者、大賢者、大魔王といわれる。ただそれらの他に称号的には勇者を兼任している。勇者とは7大魔境を制覇したもののことだ。7大魔境1つでも制覇すれば勇者と呼ばれる。大勇者たちの時代にはドラゴン退治をするか6大魔境を制覇することだった。大勇者一行がドラゴンの世界に向かい、その世界の王による試練を超えた。試練を超えれば何か願いをかなえることになっている。人間の世界とドラゴンの世界に新たな魔境を作った。
大魔境はそれぞれ別の世界につながっており魔族、人族より上位の種族が住む。
その世界の王に認められ、願いをかなえてもらうことが大魔境の制覇といわれるのだ。昔大魔境のなかった時代は野良のドラゴンが多くいたため、ドラゴン退治で勇者になる事は弱いドラゴンを狙えばできないことはないことだったが、あらたに人族とドラゴンの世界の間に大魔境ができた事により、力のある竜しかこちらの世界に来れなくなったのだ。ドラゴンは世界に広がっているがやはり入り口のあった世界の西の果てが圧倒的に大きな被害を受け続けていた。
我々は今回、7大魔境の中では最も簡単とされる人食い鬼の胃袋と呼ばれる迷宮に向かう。
その名の通り、人食い鬼と吸血鬼の世界へ続く。
「人食い鬼の胃袋、この迷宮では決して間違った道に入ってはいけない。」そのように言われている。私は隊長として皆に語り掛ける。これからともに迷宮に進む仲間たち。正しい道以外に入ると2度と出ることはできないとされている。最初に魔法により、迷宮全体を探る、われわれ、人族と魔族の住む世界がそのまま入るほど広いように感じる。ただ最短経路を通れば1時間もあればぬけられるような距離、だがふと思う。間違えているみち、正しい道とはなんなのか、最短経路で本当に間違えがないのか。外からでは想像もつかない広さの迷宮、ただ、広すぎて迷いやすいことの比喩なのだと思いたい。一人の魔術師が「この迷宮は無理だ。広すぎる。進んでも永遠にたどり着けない」といった。そしてその男は入り口に向かいはしり出した。我々はまだ入り口を超えたばかりだったはずだ。その男の進んだ先に確かに入り口がある。だがその男が進むごとに洞窟は広がり入り口にたどり着かない。「とまれ。」私は呼び止める。私の声に振り返った男の姿はなぜか見えなくなっていた。あの男は間違えた道にはいったのだ、俺たちはなぜ探検などに出たのだ、魔術師として何不自由ない生活が約束されていた。ただ自分の力をすべて使えるような場は存在しない。それが嫌だった。過去に大魔境に挑んだものもそうだったはずだ。そして探検に出ないものを、力を余らせるものとして内心小ばかにしていた。ただ今私たちのこころを恐怖が支配していた。不思議な声が響く、「古よりの盟約により、この迷宮で迷ったもの、この迷宮で死んだものは我らの糧となる。吸血鬼に狙われることを祈れ。お前たちは眷属になるより、食いつくされることを恐れる不思議な生き物だと聞く。」人食い鬼の胃袋と呼ばれる魔境が最も簡単とされるのはやつらが人を食いたいからなのだ。超えてくることを期待している。それ以上に中で朽ち果てることを期待している。
一人の自分の存在が限りなく細分化されそのすべての自分というものが食いつくされる。だから少量の人間でも膨大な数の人食い鬼の腹を満たす。そのための機構こそが、永遠に続く迷宮、人食い鬼の胃袋。これは形を変えた生贄なのだろうか。
我々の心を絶望が包んだ。
この話の後悔
外の世界、上位者の世界があるのは当初から考えていて、行き方的にも大魔境というのも自分的には良かったけれど、試練を3つくらいしか考えてない状況で大魔境スタートさせたので大変でした。やっぱり古よりの盟約ってなんだろう?書き直しても書き直しても大魔境の難しさを表現できなかった。
感想アドバイスなどありましたらよろしくお願いします。