剣聖と呼ばれる男と魔術師⑦
私の推測は外れた。トリシャが錬金術師ではない。もう少しだけ考える。トリシャが行ったことはケインを剣聖にしたこと、いかにも錬金術師らしく感じる。錬金術師は何かを変化したり強化したり生み出したりすることに秀でている。
「わかりました、トリシャですね。トリシャが錬金術師だった。」私が確信を持てこたえたが今度は師匠は普通にいや、違うといった。どう考えてもトリシャが錬金術師に見える。師匠は「少し整理してみよう」と解説を始める。
まず、ケインについて、異常な速さで強くなっている。その場で作る魔法をよけるとか普通修行してもできる様になったりはしない。剣がすり抜けるはずの上位の魔法使いを斬ることを世界で最初に成し遂げた人物。大勇者エリーはじめ優秀な魔術師、錬金術師は魔法で補助し斬れないものを斬っていたが、それを修行により剣だけで成し遂げたというのはいかにも錬金術師らしい。また彼はそれらの技術を後の世に伝えている。つまりわかってつかえている。魔力の使い方を変えたのではなく新しい種類の魔力の発見と術化だ。
「わかりました。今度こそ間違いないです。錬金術師はケインだった。」私は大発見をしたように答えた。師匠は「違う」といった。もう一度授業を思い出す。魔法に目覚める修行の方針はトリシャが決めていた、そこは確かに私が一番気にしていた点だ。術を仕掛けたのはトリシャに見えた。錬金術を行たのはトリシャ、それにより才能を開花させたのがケインそれが私の考えだ。「わかりました、錬金じゅ・・・」師匠は言葉を遮る。私の冗談はここまでのようだ。
「錬金術師とは何かを考えてみよう、有名な所では石を金に変える、不老不死、万病の治療、生命の作成、魔法の格の上昇、それらを術化、まあつまり狙って行うことだ。特に僕たちの派閥は魔法の格の上昇を第1としている。女神エリーから続く正当だ。」といった。
魔法の格の上昇をめざすかどうか、それが魔術師と錬金術師を分ける最大の違い、錬金術師の世界では人は自らの意思で行動を起こすもの3次魔法に分類され、精霊、妖精の類は世界と一体化できるもの2次魔法に分類されている。ここは錬金術師内でも意見は分かれるが、命を持たないものは4次魔法に分類される。大切に使った道具が命を持つ、4次魔法から3次魔法への変化。こういう変化により最終的には0次魔法(1次魔法までしかないという人も多い)を目指すものが錬金術師だ。並みの錬金術は3次魔法と2次魔法をつなぐ2.5次魔法と3次魔法と4次魔法をつなぐ3.5次魔法を使う。間をつなぐ魔法であれば.5次魔法とつく。2次魔法と3次魔法をつなぐ魔法であれば2次魔法よりかや3次魔法よりかなど、関係なくひとくくりで2.5次魔法という。
上位の魔術師や錬金術師はエリーの教えにより2次魔法に近い存在になった。だから剣では斬られない。ケインは命を奪うもの3.5次魔法だったはずの剣を2.5次魔法として用いた。格自体を変えたところは錬金術師的だ。錬金術師の影響で多少変わったが、魔術師の本質は2.5次魔法を2次魔法よりに近づけることをめざすもの格自体には注目しない。
一方トリシャ、魔法を無限に出せることを示唆され、世界中のどこにでも時間差無しで魔法が発動できる。何もしていないのにケインを倒した。2次魔法に達しているかかなり近い存在。本来2次魔法の上位者のみが使える1.5次魔法を使えば2次魔法に達したとわかる。トリシャが1.5次魔法を使っていないかを思い出す。そして私は満面の笑みを浮かべ「わかりました、錬金術師は!・・・」言葉は遮られる「今日は錬金術を学ぶ気はないようだね。授業はこれまでにしよう。」兄を怒らせてしまった。違う。私は真剣に考えて、そうつたえようとするけれど言葉が出ない。やっぱり私は真剣には考えていなかった。兄は2回まってくれた。私はそれでも少し考えただけで答えを出そうとした。兄は出て行ってしまう。私はごめんなさいと謝ろうとしたけれど言葉が出なかった。今度は薬により長く抑えられてきた発作だ。私は言葉ん出せなかった。私の激しい咳の音をきき兄は急いでもどってくる。兄に背中をさすられる。兄に私の体の事を気にかけられなかったことを謝られる。悪いのは私だったのに、私はそれがみじめで涙が出る。
優秀な錬金術師である兄に治せない病気などほとんどない。私の病気だけは薬で症状をおさえることと、進行を抑えることしかできない。
この話の後悔
この時点ではエリーの病気が治せない理由は全く考えてなく、不信感の残る話になった。
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