マナ番外編② 大魔王と大勇者⑤
「ちょっと、エリーこの子すごいバカヂカラなんだけど」
私は技巧派なのに、マナは私に対してすごく失礼な事を言う。髪の毛の引っ張り合いの後、格闘戦に入るなか、パワーボムを受けたマナがそんなことを言ったのだ。
「私がバカヂカラなんじゃなしにマナがちまちました攻撃しかしないんでしょ」と私は言い返した。
エリーの提唱した説、大魔境は別の世界に通じる入り口。通じている別世界の影響を受ける、”エリーとマナの生まれた国は天使の世界と妖精と精霊の世界がちかい、私の国は不死身の肉体と絶大な力を持つ種族巨人の世界と近かった。マナから10回攻撃を受けても1回やり返せばこちらが強い。”とでも勘違いしているのだろう、
「一人でも簡単に勝てるって言ったのはマナだよ」といってエリーは微笑む。
やはり2人は勘違いしている。マナのちまちました攻撃は十分に私の全力の攻撃に匹敵する威力がある。
初めて自分より圧倒的に強い人と戦っている。このままだと負ける。私は魔術を使うか迷ってしまう。
マナは「魔術勝負なら簡単に勝つけど、それじゃあ、つまらない」と虚言でエリーにこたえる。
そういえば、格闘で決着がつくまで魔術勝負しなくても済むと思っている、小狡いやつ。マナの首投げぎが決まり格闘戦ではもう逆転できないことを悟り、私は剣を出す。剣くらいは錬金術師でなくても簡単に作り出さる。
身長を超える巨大な剣、私が剣を使えることは誰も知らない。エリーが少し戦いたそうにしたことに気づきうれしくなる。エリーは剣もものすごく得意だ。彼女はローブで隠せるような短めの剣をいくつももっている。それでもマナとは交代しない。マナは杖を構える。杖では剣は受けられない。マナの作戦はわかる。一度目は何とかよけて次の攻撃までに近づいて剣をはたき落とすのだ。私がこの剣を片手でかるがると振り回し変幻自在に切り返せることもしらない。またそのさなかでも無限の速さのナイフを投げれることも知らない。剣が伸びることだって知らない。当たらなくても切れる事も。武器の勝負になった時点で私に負けはない。「謝るなら今のうちですよ」と私は言った。マナには今までのどこか手をぬいている雰囲気はなくなっている。エリーは少し私の方を向き、
「マナが杖構える前だったら、武器の勝負なら勝てたかもね」といった。遠慮はいらないようだ。私は剣を横なぎに振る。ここが結界に守られた空間でなければ無限の広さを持つこの世界に無限の先まで上下二つに分かれる。半端な剣技では世界は消滅するけれど、それを剣の鋭さが超え二つに分けるにとどめるのだ。そしてそれは威力を弱めることにはならない。受けるのがマナでなければ死ぬ、消滅であれば2次魔法に達するほどの魔術師なら生き延びられるけれどこれは違う。目の前のこの二人でなければどれだけ優秀な魔術師でも分かれた体はつかない。よほど実力の低い魔術師でなければ剣で斬られても死なない。まして二次魔法使いとなればどうやっても剣では殺すことはできない。それを超える魔力が剣に自然とこもる。エリーは戦うわけではないが身を守るように剣を構えている。




