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マナ番外編 魔法使いは忘れない③

「あなたの身の安全は守られます。」エリーはそのために分身を通わせているのだから。それが目の前の賢者の説明だ。魔術師協会の事を言っている。エリーは私の手に負えなかっただけで悪い子ではない。魔術師協会は違う。有名の魔法使いに恩を売るために過激な行動に出ることがあると聞く。ごく一部かもしれないし、本当はただのうわさかもしれない。ただ狙われれば魔法使いでないものにはふせぎようがない。

「私も錬金術師になろうかな」ぽつりとつぶやく。今更なれるわけがない。幼少の頃その道を選ばなかった。そして私の性格は私の毛嫌いする錬金術師向けだ。もうどうでもよくなってきた。目の前の賢者が、普段の姿より年が上なのは私に合わせてのことだろう。実年齢に近い姿を取っている。そんな女性を前に私は1人考え事をしているのだ。

マナは何も言わない。私は手の平に魔力を集中させる。少し熱が高まる。人は皆魔法使い。エリーが広めた錬金術の基本。魔法に格と密度という考えをもちこんだ。それでも少し熱が高まるのはただの生理現象。当時の事を思い出す。エリーは将来運命の出会いをするために今の時代に生まれることを選んだといっていた。自分は意識して目をふさがないと世界中のすべての事がわかってしまう。2次魔法を極めるというのはそういう事だ。同格の魔法使いになる可能性があるもののいる時代に生まれる。必ず当たる予測を外すために今の時代に生まれた。マナは私の心を読んだかのようにそれでいて、読んでいないとわかるように

「あの子は1次魔法を目指しています。すべてがわかっていたり、望み通りにできる人は2次魔法にしかなれない。彼女はあなたに出会って、1次魔法を目指せる道がひらけた。あなたはすでに錬金術師」と強く答えた。彼女なりの気づかいだろうか。レトリックの中とは言え私は錬金術師になった。

私はもう一度手のひらにあるともないとも知れない魔力を集中させる。今なら奇跡が起きるかもしれない。けれども先ほどと同じように少し熱が高まったのち外気により冷たさを感じただけだった。私はそっと胸をなでおろし、「私は錬金術師じゃないみたい」と笑ってみせた。

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