新しい魔法⑫
エリーは杖を選択する。杖を取る時、杖はつえーとぼそりとつぶやいたことには気づかないふりをする。隣に座るシエルはエリーの勝ちを確信している。
「エリーとまた差がついちゃいますね。」といって微笑む。マナとシエル、2人はエリーに追いつき追い抜こうとすることで今の力を得た。初めから優れた実力のものを集め、神とまであがめられる存在の世界、そんな別世界の王、1次魔法者にまで届き得る力を手に入れた。そしてそんな王の中でも最上位の力をもつ私でも超えられない相手に今勝とうとしている。
「エリーは杖を使えるのかい」と聞く。なんでもこなすエリー全く使えないという事はないだろうと思っていたが、エリーは杖の持ち方に悩んでいる。先を持つのか根元を持つのか、選ぶときは先をもって鈍器ように振っていたのに今は根元を持っている。
「無理ですよ。あの子は私たちと出会ってからは杖を使わなくなりました。同じ武器を使うのが嫌だったのでしょうね。もちろん人並み以上には使えるんですけど、もし私相手に杖を使ったら何もさせずに勝てます。杖使うくらいなら何も持たないほうが強いです。それを使うって事はエリー本気で勝ちに行く気です。」シエルはエリーのほうをじっと見つめながら答えた。私にはエリーが勝つことしかわからない。エリーはシエルが勝つために杖を選んだといっていた。シエルは真剣に見つめる。
「私ふられたの初めてです。私の住んでるところ。女性が圧倒的に多くて、男はそれだけで持てるので」といった。何かの駆け引きなのだろうか。幸太郎は人間基準で言えばかなりの男までなのは間違いないが魔法使いはほとんど全員がそうなのだ。
エリーは「今日が初対面というのも私に有利な点だね。一人目が実は一番有利だ」といって、敵に背を向け歩いて距離を取る。私は1人目なのに負けたのにと思わなくもない。どれだけ離れていても一瞬で移動でき、一瞬で魔法は届く。距離による時間差は生まれない。そんな魔術師に距離を関係ないかといえばそういう事はない。エリーが杖を構えた。
12回にもなりましたが1話1話が非常に短いので安心




