新しい魔法⑦
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黄泉の国、侵入者を最強の状態で再現しそれと戦わせ、殺せなくても消滅、負けても殺される、勝っても死ぬ、さらには24時間以内に探し出すという時間制限まである、絶対に突破できない試練だ。
ただし2.5次魔法を極めると、黄泉の国の限界を超えて能力の再現はできないことがある。2次魔法に達すると必ず再現に失敗する。1次魔法に達すると全く効かない。
マナ、シエル、そして私には効くはずなどない。3人とも入ったとたん、出口が勝手に開く。誰にも分身は現れなかった。というよりもわれわれなら、入り口さえ本当はくぐる必要はない。入れ替えるだけでよかった。
「あなたホントすごいわね。2次魔法にも達していないのに、この方々で突破するって、私たち以外でできる人いないもの。最初は実力を疑っていたけど、まぁ1次魔法到達者に勝ってるの見た時点でわかってはいたけどね。格は下げてるの?」
とマナはいう。格をさげているわけではない。この二人というよりも、今回の旅で出会ったものたちのの魔法への理解度は私の過去に戦った世界最強の者たちと比べてもずば抜けている。だからはなしてもいいだろうか。
「2.5次魔法以外は危ないからですよ。うっかり使うと世界は滅ぶ、私はいくつもの世界を巡ったといいましたが、ほとんどの世界、多分今まで訪れたすべての世界より、今の世界は丈夫です。それでも1.5次魔法を制御が下手なものが使うと亡びる可能性がある。私たちの世界はもっと丈夫なので、1.5次魔法も遠慮なく使えますが、私たちの世界のルールというか資格を審査される際、生き物を殺さないことと、世界を滅ぼさないことを約束させられます。だからうかつに魔法をつかえないのです。私では1.5次魔法を世界を滅ぼさないように制御できません」
と答えた。私がこの世界とはつながっていない。別の世界から来たことを打ち明ける。
マナは唖然としていた。それは当然だ。世界を渡れば普通は死ぬのだ。今この世界が世界を渡れるのは、1次魔法を極めたものが調整して世界をなじませたこと、緩衝地帯として大魔境を設けた事による。大魔境がなければ、魔族の世界とドラゴンの世界のようによほど相性の良い世界でなければ世界は渡れない。渡れないと力がつかず、渡れるものが減るという悪循環だ。
大魔境があっても3次魔法者には厳しい。なければ2次魔法者にも厳しい。厳しいというよりも他の世界で実力を高めに高め人族と魔族の世界最強の3人以外には無理なのだろう。
「ふ、ふ~ん」とマナは答える。この人はそのようなことで恐れるようなものではない。自分よりずっと強かったエリーを支え続け、ついには肩を並べる実力にまでなった。強さの限界が見えてしまう我々から眩しすぎる存在だ。




