新しい魔法③
マナはにこにこしている。私と出会ったからだ。新たな出来事をうれしく思う少女、おそらく普段はそうしたであろうが、シエルがいさめないのは大魔境が彼女らにとって危険のない場所だからだ。いったん灼熱の門ふもとの村に向かう。彼女らと同じ像があるのに誰も気が付かない。私だけが驚く。
「それが最初に、あなたに目をつけた理由です。最低限の実力がなければ気づけもしません。私もマナと同じでまだ知らない強い人がいたら気になって仕方がない」そういって微笑みかける。像なんて似てるだけだ本物の魅力は100分の1も伝えてない。そうあらためて認識しなおす。真ん中の少女が二人の昨日言っていたエリーだろう。肩に鳥が載っている。
「女神様なのですね。」私がそうつぶやく。碑文を読むと3人の功績が書かれている。マナが得意げにしている。私たちの住むところには神は1人しかいない。魔王は別名として死神と呼ばれている。マナは
「時代だね、いろんなものを信仰の対象にして神と名付ける。だけどこの子は頑張った。そのことを私は知っている。」そんな呼称以上に本当のシエルを尊敬しているとシエルの頭をなでる。シエルは気持ちよさそうにする。像に参拝知る人はエリーが多いけれど、多くの人、おそらく魔族だろうか、長くお祈りをする人はマナの像が多かった。男性はしれっとシエルの像に2回並ぶ人を短期間で5人見た。
「私たちの住む土地には像は有りません。死神に立ち向かった最初の100人は像が立てられましたが、魔法の濃度が高すぎて、勝手になくなるのです。」私は過ごし悲しげに言ったが、最初の100人あど名前しか知らない。シエルに配慮し、一応魔王でなく死神と呼称する。死なないはずの魔法使いを殺せる唯一の存在、10年後死神が目覚める。目覚めるたびに被害が大きくなっている。私が生き残れる保証などどこにもない。誰だってそうだ。私の悲しげなかを見たシエルは
「呪いのようなものですね、私たちはそう呼びます。7つある大魔境にはそういうのが強いところがあります。」と説明をしてくれる。世界のつなぎ目を呪いで守る、そういう発想だろう。国を海で隔てる、山で隔てる、塀で隔てる、あるいは入り口に自分たちの所有を示すシンボルをおく、あるいは部屋の戸を閉める、それだけで勝手に入ってはいけないという気持ちが芽生えることがある。簡易的な魔法といえるが。そういったものの魔法的な要素をより強めたものだ。
「今日向かうところも?」
私はそう尋ねる。
「そうといえるかもしれないですがもっと、直接的な魔法です。灼熱の門は私たちと友人の竜と作っているところからかいに来た吸血鬼の姫と、妖精の王で協力して作りました。」シエルはそう言って微笑んだ。




