新しい魔法①
ほんの数日前の出来事だった。
10年後に迫った死の運命を忘れる様に私は旅をする。
ここが何か所めだろう。旅する少女にあった。姿こそ少女だが私よりもはるかに長生きしている。
シエルと名乗ったその少女は私たちと同じように魔法も使える。
「私たちは魔法を使える人はある程度としを取ると、身分を捨ててそういう人だけで集まって暮らしたりすんですよ。私も昔は魔王とか、大魔王とか呼ばれてました。」と教えてくれる。非常に美しいカエルの特徴を持つ少女。魔王という言葉に少しどきりとしてしまう。我々の住んでいたところにも存在し、恐怖の象徴となっている。しかし物腰も柔らかく儚げで神秘的で美しい少女からはそのような恐怖は感じない。この少女は魔族と呼ばれる人種で、友達といろいろな所に探検に行ったり、見込みのある弟子に稽古をつけたり、逆にもっと強い人に指導してもらったりすると教えてくれる。魔法を極めると行きつくところは強さの探求になる。「私も強さの探求ばかりで、いろいろな所に行って、その場所で最強の者と腕比べしてそれを話にまとめています。あなたのような儚げな少女にきくことではないかもしれないけれど、この世界で最強の者は誰でしょうか」私は尋ねる。長く生きている少女、魔法使いのさがとして、戦いにも興味があるようだ。何か知っているかもしれない。
「それなら、私です。」少女はそう言い切った。この控えめに見える少女が自分でそういうのだから間違いないだろう。
「強いんですね」と私は答える。その言い方が疑っているように聞こえたのだろうか、シエルは話を続ける。
「今の魔法使いに限れば、私の友達で世界中から嫌われてる子はハンナちゃんという子が一番強い、少なくとも10年以内にはそうなるといってたんですが、今はまだまだ負けないです。あと最近の事ですけど、歴史に名を残す有名な魔法使いを集めて戦う大会があったんです。私は準優勝したんですけど、優勝した子よりホントは私のほうが強いんです。」そう言って微笑む。その表情を向けられ彼女を好きにならないものはいないだろう。
「私の優勝よ、次も勝って私の3連勝だし」と後ろから声が聞こえる。
私の探知の魔法にはかかっているがこちらに向かっていたのでシエルの知り合いかと思っていたがやはりそのようだ。すこし気の強そうな、それでいて面倒見のよさそうな少女。シエルが彼女があらわれて心が休まるのを感じる。二人とも1000年以上生きているだろう。私たちの住むところに人が住み始めたよりも長い。




