大勇者と勇者③
カティアがエリーに話しかける。
「エリー、今なら許してあげるからやめときなさい。」勝負は見えている。それゆえの言葉だが、
「タリアに手を出さないと誓うなら引いてあげてもいいけど?」エリー様は今更引く気はないのだ。
もう止められない。二人はきっかけを待っている。
「お供の二人をおいてきたのは死ぬかもしれないことをわかっているからでしょう?それにあなたの宝剣は残り1本だけ、ついてこようとした二人との勝負で砕けた、つまりその二人にさえ剣が砕けるまで酷使しないと勝てなかった。そんなんで私にかてるわけないじゃない。いい子だから聞き分けて」そう言いながらため息をついた。オマールの目は驚きで見開かれる。エリーの魔力が減っていることに気づく。魔力は減らない。本当の強敵との戦い以外では回復するほうが早い。エリーはフッとわらった。
「負かしてやるからかかってきなよ」エリー様はけんかっ早い。口より手が出るほう。たったの2発の魔法。互いに無限に魔法を出せる。互いの魔法迎撃能力が高すぎ、私では察知できない。迎撃しそこなった2発だけを感知でき、その2発はエリー様を襲う。カティアは追撃はしない。次の攻防、こちらも正確には私がかろうじて察知できた二回目の攻防では2発が3発になる。エリー様の剣はカティアの盾に防がれ隙間から槍が突き刺される。すべての攻撃が私でもタリアでも耐えられない威力。そして3発が5発に増える。一方的な勝負だった。既にエリー様は満身創痍。槍で突かれた傷口は魔法により燃え広がる、次の攻防でエリー様は死ぬ。
「もうやめてください。」タリアは勝負を止めるべく自らの心臓をついた。私がエリクの心臓を刺したのとは違う。つけられた傷は魔法使いなら治せる。自らつけた傷も普通は治る。ただし自らが覚悟を持ってつけた傷は意味合いが違う。吹き出す血と倒れるタリア。
「いやぁぁぁぁぁぁ」私は叫んでいた。
皆に大悪女とさげすまれ苦しんでいた私に手を差し伸べてくれたタリア。私はカティアに斬りかかろうとしたけれどすでにオマールに取り押さえられている。




