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狂錬金術師⑫

「私を生み出した、狂錬金術師の話ですね。というかお兄様、狂錬金術師は大昔に死んだって言ってませんでしたっけ。」

だます物は個体によってその強さが全然違う精霊で、人間や魔族を連れ去るとか迷わせるとか言われてる。

悪霊の類。私はきっとどこかの馬の骨、正体がわからず何もしない。いや、しない事さえしない。錬金術師とはそういうものだ。私は何もしない。なぜか気持ちがすっと落ち着く、私は初めての遠出それも、自分の運命を決める探検。きっと平常心ではなかった、どこか自分の事として考えられていなかった。その事に気づく。

「ボクも彼と同じ、黙っていられなかった。彼は君に自分がいることを話さないように言っていた。死ぬ瞬間まで、本当は生きているうちに教えたほうがよかったんじゃないかといつも思う。」

なんとなくわかってはいた。兄の話しぶりから狂錬金術師は死んでいる。それでも思いのほかショックを受けている。私を生み出した人。

「・・・どんな、人だったんですか。」

私は尋ねる。兄の口ぶりからして私の事を疎ましくは思っていないと思う。胸が苦しくなる。ハンナさんの魔力で守られている。これ以上の負荷がかかるとまた発作が起きる。兄は

「巨人だった。ケロちゃんに襲い掛かったとこをやっつけて知り合った。いろんな生物になって遊んでる。姿を変えたんじゃなしに本当になってるからすごいよね。」兄は楽しそうに話す。心が軽くなるのを感じる。私の知ってる話だ。

「お兄様やっぱり強いんですね。」

お兄様は戦うタイプの錬金術師じゃない。それでも魔法を使える以上、一般の人よりはずっと強いlそれは知らなくても当たり前のこと、ただ巨人に勝てる魔法使いとなると、ほとんどいなくなる。こちらの世界の最強は巨人。

「そうだよ、僕は誰にも負けない。」

そういうお兄様の顔は狂気が宿っている。お兄様に教わってきた物語の主人公達とは違う。私にはわからない。その狂気は物語になるうちにそぎ落とされたのか、物語になれなかったのか。錬金術師には執着が必要。それは正しい。それはわかっている。それでも今のお兄様は私を不安にさせる。

私は

「無理しすぎないでね」というと兄は私の頭を撫ぜる。私の不安は消えない。

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