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彼女の仕事

「はぁ、はぁ……なんで俺が追われるんだよ!」銃を片手に男は逃げていた。時折後ろ向き射撃をする。狭い路地の配管に反射した弾丸は下手くそに飛び追う何者かに当たることは無い。

「組織の金に手を付けたのは俺じゃないんだ!マイケルトルボーソン!そうトルボーソンの奴なんだよ、ボスの命令で俺は動いてた!だからあの時間に居るはずがないんだ」弁明は聞きいられる事無く終わる。無慈悲な音が響きわたる。裏路地を見透せる遥か彼方のビルより放たれた一撃が男の脳ミソを散らかした。

「こちらボルレナの死を確認した。遺体のポケットには聞いていた通り、敵組織との交戦に使われたと思われる6.3.7.4暗号を発見した」さっきまでボルレナと言われていた男を追っていた者はスナイパーに連絡を通すと暗号文と携帯を回収し、死体の頭に何回も石を落とした

「歯は全てへし折った。他にやつの医療記録を知っているか?なるほど、眼科で眼の手術と小さい時に骨折してボルトか……ちょっと待ってろ」太腿の上に重い石を落として、灯油を撒き始めた。さらに近場から古びたバイクを持ってきて一緒に火を放った。「どっか近辺の孤児に証言させとけ、古びたバイクでフラフラ走ってるマヌケがいたとな」


黄色いテープが張り巡らされた現場に警察が集まっていた。「証言得れました、深夜二時頃にバイクでフラフラと走る男性を目撃したと。身なり的に浮浪者ではないかと」「そうか、ミロンド?見てみろこの焼死体、バイクで爆発か発火なら跨ってるから股間から焼けるだろ?なのにダメージがでかい部分は口元、それとここだ。何故か頭部が頭蓋骨の原型を留めないほどの悲惨なダメージを受けている」「まるで何かを隠したいと?」「あぁ、そんなところさ。俺には分かる、まぁ怪しんでる理由は他にもあってだな。そこのコンクリートが凹んでいるだろ?こりゃかなりの威力で撃たれた物が貫通して威力を落としたあとと言った話だ」「過去にもこういった事件を?」「あぁ、俺らが追ってるファンジイ・プランティー関連の事件は毎度これさ。事故死に見せかけた射殺」「記録には事故死と記入してありますがいいんですか?」「下手に動けば俺らが終わる、それにコイツらは身内揉めが殆どだ。刺激しない方がいい」ベテランの言葉に言い返せない新入りは一緒にパトカーへ戻っていく。


繁華街、沢山の人が行き交う中で1人身のこなしが違う者がいた。黒いスーツにアタッシュケース、黒い帽子を深深と被りサングラスをかけたそんな男。

この街には似つかない風鈴の付いた店に男は入っていく。「おういらっしゃい、あんちゃん見かけない顔だね」髭を生やしたアジア系の店員が黒いスーツの男に声をかける。「あぁ、リピータ……追っ手はないぞ」「牛乳2本とコーラ1本」ボソッと店員が言うと男はオレンジジュースとガムを手に取りバックヤードに消えていった。

カツラを手に取り変装をとく。「はぁーかったりぃ、おっさんの匂いから動きまで全部染み付いてるわ。シャワー行くかねぇ」サラシを外し、肩のパッドを取外す。口の奥から自決用の毒と文書を取り出す。「うげぇ……また毒漏れてるわァ」男から似ても似つかない女に変わった。シャワーを浴びながら化粧を解いていく。「今度はっと」オレンジジュースのキャップを開けると中から紙が出てきた。「だよねぇ、男ばっか……たまには女のままで行きたいんだけど」何も着ずにタオルで髪の毛を拭きながらパソコンを起動する。パソコンに文書のコードを打つと即座に内容と変装する男の写真、その男の居場所が記載されたデータが収録された。髪の毛、服、肩細部に至るまでの変装に必要な物品の入ったロッカー番号まで載っていた。

「掃除屋、殺し屋、情報屋。何でもやりゃいいってもんじゃねぇーぞ。確かに裏は取られたことねぇけど、多忙ったらありゃしない。変装といたと思ったらまただ、トルボーソンの次はミッチカルナかよー、殺すのだって面倒いんだぞ」

「行ってくるよ、じいーさん」「6センチ7ミリだ」

追加情報を貰い、変装先であるミッチカルナの元へ足を運ぶ。どこにでも居そうな浮浪者に化け、裏路地に向かう。「やつはここで取引をする手筈だ。その相手は私だがな」数分待つとコツコツと無駄に高そうな靴の音が近付いてくる。足音で1人なのを確認し針を背中で構える。「あんたが取引相手か、ふっ!殺されると思って本人で来ねぇーとな。ビジネスわかってんのかねぇ」間合いに入った瞬間、ミッチカルナが喉元を抑えながら白目を向き泡を吐く。「お前こそ怪しいと思わないかね?」

ミッチカルナの死体を近くのゴミ箱に捨てミッチカルナの来た道を歩きながら変装をしていく。

「はぁー、だるいわ。まじで、なんで俺がこんな下っ端のような仕事しないといけんのですか」車に乗る部下に軽口を叩く。「仕方ないですよ、今年に入ってから抗争が増えて幹部陣含む全員が下手に動けなくなったんですよ?」「だよなー、特に俺なんて6人も殺したんだ。自重しないと行けないのは分かるけどよぉ」仮拠点にもどり、やり取りしたものを机に載せる。「ボス、これが奴らのデータです。えぇ渡すのに浮浪者を使ってたので始末しました」「おけー、よし次の仕事だ。そのデータのバックアップを取り終わったら本部の方行ってもらえるか?」「えぇ、大ボスですか?!俺なんか下っ端ですよ?」「前回の抗争で殺したヤツら居ただろ?そいつらの件で話があると……」「まじっすか?要人でもやったんじゃねぇーか」「バカタレ、要人殺してたらその日に消されてるよ。褒められるんだよ、正装していけよ」

今度は1人で車に乗り、廃工場の方へ向かう。「想定外の事が起きるから武器調達っと。何がいいかなー」廃工場に入り、2階へ上がる。ロッカーを開けるとサビサビのロッカーとは似ても似つかない黒光りした機関銃が並んでいた。「あ~ん私のかあいいルイスちゃーん!待ってたよー」手榴弾と催涙弾、マガジンと重装備を車に積み走り始めた。「はい、ミッチカルナです。向かう際には1報入れるのがセオリーだと思いました、はい……大ボスと電話越しで話せるだけでも光栄ですよ」

土煙を上げ走る車の中で電話をするミッチカルナ。電話相手はもちろん大ボスのいる本部にであった。

「そうです。えぇ、料理ですか?僕なんかが、いえ!そんな違います。はい、そうです……って事ですね?はい!では早急に向かいます」はぁ、と溜息をつきひたすらに走らせる。本部はややこしい地形にあるため、普通には行けない。「盗聴器のあるこの車に乗り続けるのもあんまり好かないし、最短最速で行くか」フルアクセルで進む車、進行方向は愚か、反対車線すら何も通らない。ファンジイ・プランティーが町ごと占領し、警察が追い出された完全自治区である。仮に一般人が行けば蜂の巣にされるだろう。それを示すように道には死体と看板がたっている。

車から降りてスーツを整える。直ぐに見える位置から黒服達が現れる

「ミッチカルナだな?ボスはこの先にあるバーで待っている。駐車場もある、そのまま進め」促されるままに車に戻りバーまで走らせる。

店内は比較的明るく、中は構成員達ばかりであった。ボスは奥の部屋に居ると通された。「やぁ、ミッチカルナ。今回の抗争ではかなり成果をあげたみたいだね」当たり障りのない爽やかな青年の見た目。だがコイツは30年近く同じ顔だ。「恐縮です」「いーや、臆すことはない。私は皆を家族と思っている、だからこの街に至るまで皆と分け合っている。だがっ、功績は讃えるべきだ、それも個々にね」部下に外れろと指示を出す。「済まないね、おなじ家族を見張るなんて馬鹿らしいのに。後で彼はお仕置だ、何がいいかな?おしりペンペンとか」笑顔で話しているがかなり怒り気味だった。「大ボスの身を案じての行いなので許してください、それに俺は殺しの功績っすよ!他の組織なら忌避されてる場合もあるっす」「ほぅ、ミッチカルナ」顔から表情が消え、辺りの空気が4度ほど下がったような寒気を覚える。「す、すいません下っ端が意見して」「いや、私は関心をしているのだ!私の部下ならば''生きたまま硫酸を泳がせましょう''なんて言うからな」今度は見て取れるほど喜び始める。「実はねミッチカルナ、君には西にあるフォ・テ・ドール共和国のうちのシマを任せたい。左遷じゃ無いよ、あそこは今やうちのおかげで国家として成り立っている。だがね、最近それが気に食わないのかクッカチュン国のヤツらがマフィアと手を組みちまちまと国入りしている。そこで君の腕を使いたい」「マジっすか、それは許せませんね」「あぁ、どうだい?頼みたいんだが。何より1度殺しを体験した男は強い、私は君に期待しているよ」「いえすボス」車で街を後にする。ここまでは想定通りだ。今回のミッションはクッカチュンのマフィア、黒い蝶の翅とこっちの組織ファンジイ・プランティーを抗争させ、警察に検挙させるという流れだ。あの小さな島国でいざこざを起こせば、確実に黒い蝶の翅は本部隊を率いてこちらの国に攻め込む。残していい証拠以外全てを残さない組織、警察はかなり手を焼いてこの裏ルーツに辿り着いた。

「ふぅ、あと2分居たらバレてたなあれは」ルイス片手に頬擦りをしながら運転するミッチカルナ。適当に荷物をまとめ、空港へ向かう。警官が6人ほどこちらを見ている。当然だ、なんせマフィアが国外に行く理由なんてビジネス以外ないのだから。「あーもしもし、はいっす。いやーまさか旅行の許可なんて出ると思いませんでした。はっは」電話の真似事で自然な旅行感を出す。だが、目線はやまない。X線検査機前で妨害機を作動させる。自分より6人ほど前から。「あれ?おかしいな、おい!そっちは使えるか?使えないか……1個1個確認させてもらいます」お土産まで開いて確認していく係員達。「はーい、これよろしくッスよ」アタッシュケースとリュックを手渡す。「すいませんが、こちらの包み開けても良いですか?」「あぁいいよ。こう見えて僕ってば梱包得意なのさ」軽口を叩いて、安心感を誘う。こういう時キレるやつほど怪しまれる。でも冷静すぎても怪しまれる。なら軽口を叩くバカこそ抜けやすい。

「チケット拝見させて戴きます」無事に席に着く。「ふぅ、さすがだな。ファーストクラスを用意出来るなんて」スーツをピシッと整え、首を鳴らす。ゴキゴキと恐ろしい音がなり響く。飲み物が運ばれてくる、G・S・Pと並んだロゴを見て次の内容を把握する。「2週間か……でもこれが終わればしばしの休暇だ」目を瞑る。本来睡眠は危険だ、だが飛行機内であれば別、死ぬ時は死ぬだけだ。他の場所に比べれば選択肢が少ない分割り切りやすいのだ。

『当機は───』アナウンスに目を覚まし、荷物を取り出す。ひっそりと置いておいたガスボムを回収し、機外へ出る。空港というよりだだっ広い土地、降りて直ぐに現地の部下に会う。「ミッチカルナさんよろしく。あんたが来るまでここの指揮をしてたランボードだ。あぁ気にしないでくれ、肩組むの嫌か?こっちでは慣れたもんだが向こうじゃそうだったな」要点と現地での活動拠点を把握し自室に篭る。高性能の周波数特定機で部屋内の監視システムを確認する、壁を叩きコード類の類を探る。「ほんとに何も無いな。逆に怖い、何かあれば対処出来ないからな」

ルイスではなくルアーを片手に現地視察に赴く、基本上を着ないここの民族のせいかスーツが目立つ。「よう、あんたもマフィアとかいう組織か?頼もしいよな、俺らは国よりあんたらに救われたんだ。ほれこれは奢りだ」町を歩けば歓迎の色が目に見える。新しい何かへの期待なのか、はたまた普通に感謝なのかは分からない。だが、そんな彼らに近付く変な集団もちまちまと見える。珍しい物を見せびらかせその場所をよこせと。

「揉め事は禁止だ、何があった」割って入る。「なんだよ?俺はただこの綺麗な宝石とここの土地を交換しようって言ってんだ。いい話だろ?」

見てわかる。クッカチュン国のマフィア、黒い蝶の翅だ。色々な物の原産国に潜り込み、安い賃金で莫大な利益をあげる組織。元は油田を1つ手に入れ、それにより伸びた弱小だったが。経済困窮者の多いクッカチュン国では油田の利益だけで何億人近くと食べさせれる程であった。だから人が集うのは当たり前だろう。

「家はこの方々のおかげでこうして生活している。お前らなんかに譲る物か!」現地民は勿論揺るがない。それの価値を知らないから。「んだと!ぶっ殺すぞ」初日から銃持ちの乱闘は困る。構えた男の人差し指をトリガーガードに押し当て、へし折る。べキッと嫌な音を立て、みるみる男の顔が悪くなっていく。「うちのシマで暴れんなクッチニーズども」口の中にヤツの持っていた銃を押し当て脅す。「ひゃひゃかぃ!わひゃりまひぃた」口から銃を取りだし左右の膝に鉛玉をぶち込む。それから鎖骨に当て、発砲。「舐めるからだ。死体は袋に入れろ、豚の肥やしにもならんがな」一通り見廻す。先程のいざこざを見てか黒い蝶の翅と思われる集団は消えていた。

自室に戻れば書類との格闘である。今回のミッションの一つでもある彼らの資金の流れを掴む手掛かりだ。「この書類は通していい。こっちはダメだ、だがその案とアレをこうして、そうすれば。そう利は10パーだな」住民達の意見をいくつか聞いて、それを組み込む。ここでは彼等が最も権力だ。我々は移民に過ぎない、それを忘れずに動く事で謙虚な助人を演じる事が可能だ。

多忙な業務を終え、一息付きに外に出る。木の枝を噛みながら甘い汁を吸う。「はぁー、この国1番の名産がこれじゃぁな……まぁただここの人達は何より質がいい。筋肉の量に、目の良さ、それに何より学習意欲が高い。明日は学校への視察か」

今度は目を瞑るが眠らない。あくまで脳内整理をするだけだ。必要なデータ。必要なデータ。必要なデータ……

朝の気配は重々しく伝わる。雨だ、雨は苦手である。傘をさして学校へ向かうが気が沈む。

「はぁ……ここが学校か。プレハブというかなんというか」教室の後ろからひっそりと入り授業様子を臨む。「つまりです、この記号1というものがリンゴだとします。このリンゴがもうひとつある時、記号が2というものに変わります」若い構成員が子供たちに物を使って勉強を教えていた。だが序列が密かな潜入捜査を拒む。「ミッチカルナさんっ!おはようございます」挨拶が飛んできた。返すしかあるまい。「あぁ。そのまま続けろ」少し緊張が走る授業が始まる。雨の音がいっそ強まり重さを増していく。目の前の少女が消しゴムを落とす、そんな気配がして机の横に手を添える。ちょうどそのタイミングで肘が、消しゴムに当たり落ちる。

「ほら、落とすなよ?」「あ、ありがとう」消しゴムを手渡す。構成員は授業の手をやめて、焦りを浮かべる。「やめとけやめとけ、ガキが元気なのはいいことだ」迷惑だろうと外に出る。雨が霧雨に変わる。

「んで、雨ってこう重いかねぇ」昨日賑わっていた屋台は空っぽで雨の重みに暗さを増していた。

「おぅおぅ、兄ちゃんや昨日はうちのもんが世話になったな!」肩に手が乗り頬に熱みが走る。これは想定内。大袈裟に回りながら濡れた土に顔をうずめる。それと同時に頭に痛みが走る。無理やり立ち上がり懐に手を忍ばすが何も無い。「へっ!ガキの世話見るのに武器は不要だもんな!調べ済みだ。おらこい」髪の毛を捕まれ引き摺られる。偽の髪の毛は引っ張られても痛みは無いが、フェイスが崩れるのも困る。「やめろっ!」腕を掴み捻りながら相手を地面に捩じ伏せる。無理やり立ち上がり体勢を立て直すふりをしながら次の敵の攻撃へ備える。

腹に角材の痛みを感じる。さらに首に痛みを感じる。上段蹴が飛んできたのだ。上手く転がりダメージを殺していく。ナイフ類が持ち込めないとあって武器は基本鈍器ばかり、ダメージはでかいが死に直結はしない。だがそろそろだ、と寝込む。雑多に車に載せられどこかに運ばれるのが分かる。車がガタガタと揺れる。「おい、縛っとけ。コイツは6人殺しでここに左遷された虎だ」荒縄が体に通される。会話を小耳に挟みながら人数を探る。(少数精鋭って言いながら208人も構成員を送るかね……ちっ、労基とか駆け込めないの知ってて私に依頼したろこれ。確か筋書きは……)

「ボス、こいつです。ご子息の指をへし折り、あまつさえ豚の餌にしたのは」冷たいコンクリートの床に叩きつけられるように投げられる。降ろされて直ぐに話していた男が頭に花を咲かせ消えていくのが見える。「俺のガキがやられてるのに指くわえて見てたのかオラァ!」短気な敵のボスは銃を乱射しまくる。短気さが仇となり左遷された幹部と噂を聞いたが噂の通りの。

「おい、そいつを起こせ」ボスの命令で叩き起される。「うっ、ここは」棘の付いた棍棒を片手に座る豚のようなおっさん。「お前か、左遷されてきた殺しの達人は。きた初日に俺の組織に手を出したこと、後悔するぞ。オラッ!」流石にこれはまずいと縄を解き、その場から離れる。

「おい、縛りが甘いぞ。まぁいい、お前ら撃て!殺すなよ」めちゃくちゃな命令をこなす部下たち。弾丸の軌道は全て心臓より下あたりに飛んでくる。「可哀想だな、数人程、腕が立つから殺すくらい余裕なのに生かせとなれば────」上手く交しながら1人の手をへし折り、銃を奪う。そいつを盾にしながら敵を撃ち抜いていく。「お前ら!頑張れよ。なんのために連れてきたんだ!精鋭だろ、それに明日には本国から10万人規模が来る!何としてもっ!失態を見せるな」1番必要な情報を得た。何度かコンクリートを撃ち抜き目を潰していく。数度繰り返すと弾がなくなる「はぁ、やれやれ降参だ」銃を捨て手を上げる。敵がミッチカルナの両足を撃ち抜く。「よーし、いたぶるぞ!吊るせ」天井から逆さに吊るされたミッチカルナはボスに殴られ続ける。「うげ、くせぇな。腸を破ったか?もう捨てろ冷めた」1人の男がミッチカルナの死体を運ぶ。「見せしめに屋台にでも捨ておけ」車の後ろに雑に入れ、走り始める。「ティさん、本当に捨てるのか?ここで暴動を起こすのは危険だろ」「あぁ、だな。だからお前には死んでもらうぞ」横に乗ってきた男の頭をピストルで撃ち抜く。「土壇場で変装したがなんとかなるもんだな。ようやく女に戻れる、くぅー!」死体ごと車を乗り捨て空港に向かう。道中の森で変装を解きメイド服に着替える。「空き席は確か取れなかったよな。まぁなんとかなるよね」丁度離陸の為にハッチを閉じた飛行機へ走り出す。飛行機は気付き一旦止まった。「ごめんなさい、遅れました」一言謝罪をし、乗り込む。客室をぬけ、トイレに入り自然な流れでまた変装をする。長いフライトを終え、自国に脚を着く。また例の店へ行き元に戻る。カツラを捨て、顔を剥がし、メイド服を破り捨てる。サラシをはずし一糸まとわぬ姿のままソファーに倒れ込む。「向こうは今頃、バチバチしてんだろうな。全ては筋書き通りミッチカルナを殺し更に攻め込むクッカチュン国のマフィア共をファンジイ・プランティーが一掃し国際的な衝突を生ませ、最後は黒い蝶の翅が所持する原産地を賠償として求める、か」近くのテレビを付けて、衛星カメラの情報を映す。現地では激しい銃撃戦が起こっていた。ファンジイ・プランティーは現地構成員と追加できた者を合わせ1万弱に対し黒い蝶の翅は10万人規模で攻め込みに来たが、装備の差で圧倒されていく様子が映る。「ドラッグに飢えた集団を怖く思えるのは対1とか複数人までだ。あの規模だとただ凪払われるだけなのになぁ」やれやれと立ち上がり、服を着始める。上にあがり、リピータに話しかけた「リピータ、外出るよ。あと言っといてくれ、次私におっさんの変装させたら二度と依頼は受けないとな!」「そうヤッケになるな。今回の件が上手く行けばしばらくポルポ・レナフルスの方に依頼を回しておくよ」「いやー、ほんとさポルポの方が強いし変装とかも得意じゃん。なんで私ばっか呼ばれんのさ」「上のやつらの考えなんてワシにもわからん。それこそお得意の諜報でもするといい。なにか上の思惑が掴めるかもだぞ」「馬鹿言えリピータ。こういうことに特化した組織が自分より格上の存在を雇うはずがない、乗っ取られたりしやすいからな。それに私は奴らの提供した教育機関で実績を積みここまで強くなれたんだ。師に適うはずも無い」炎天下の日差しがメラメラと皮膚を焼きつける中、外に出る。スラム街ではなく賑わいを見せる繁華街へ赴いた。「あの男は確か経営に失敗して失業したんだったな。まぁ良くも彼女連れて歩けるもんだ……アイツは有名な詐欺師と有名な結婚詐欺師。どっちが騙されてんだか」久しぶりに見る街の人達、生活を変えている者もいれば変わりないものまでいくらでも歩いている「それと、私服が13人。クッカチュン人をやたら警戒しているな、つまり向こうでの事は片付いたという事だな。まぁただ普通の夫婦まで監視の対象とはねぇ」ふら~と人混みの中を行き交う。奥の方にある寂れたエアガンショップに入り込む。髪は長く、金髪でジャラジャラと飾りをつけた女に変装をして店員に話しかける「ルイス」「14.563.467364」銀行へ向かい、通帳を見せる。「本日はどのような御要件でしょうか」「お金を下ろしたいんですけど~」お金を受け取り、銀行を後にする。

地下駐車場に入り込み、止まっているトラックのコンテナの内部へ侵入する。中は普通と変わらない、だが近くのボタンを押すと地面に繋がる穴ができた。

「返送を解いてっと、あとは車はやっぱこれよね」軽快に乗り込み座席を調整する。バックミラー、エアコンそれからモニターの位置を調節し終わると豪快にアクセルを踏み込む。人気の無い地下駐車場に爆音が鳴り響く。「唸るね、唸るね!よーし行くぞぉー」煙を撒き散らしながら外へ飛び出る。「うっわあぶね」勢い置く飛び出たせいで車とぶつかりそうになるが、ハンドルを上手く捌き避けきる。「うぇーい♪うぇーい♪きゅうかっきゅうかっ!」街中を違反速度ギリギリで駆け抜けていく。颯爽と走る車、そのまま繁華街を抜け隣街へと駆けていく。

そして、そのままあまりの心地良さに寝入ってしまった────

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