アルバイトは何もしないで部屋にいるだけって本当ですか!?そんな簡単なのでお金がもらえるんですよね!?
「本当に何もしないんですか」
驚きのあまりみゆきはその相手にそう言ってしまった。そのスーツの男性は「はい、何もしなくて大丈夫です」とニッコリとした笑顔で言う。みゆきは普段学生をしている女性で、バイトなどを掛け持ちしながら学校生活を送っている。いま、金欠でアルバイトの面接に来ている。そしてそのアルバイトの内容というのがなんとびっくり部屋にいるだけでいいのだ。その部屋にさえいれば何もしなくていいというのが仕事の内容だった。
「この部屋に...」
面接の会場はそのアルバイトのために用意されたその部屋に早速向かった。中に入るとベッドや机もあり本棚には幾つかの本がある。少し狭いがいたって普通という感じの部屋だ。この部屋で過ごすだけでお金がもらえると言うのだから楽なことこの上ない。電気もちゃんとあるし特にこの部屋にいて困るようなことはなさそうだ。
「本当に..本当ですか?」
「ここで過ごしていただくだけでいいのです」
「本当ですか?何かあるんじゃないんですか?」
「いえいえ、ありませんよそんなの」
疑わしかったがこの部屋にいるだけでいいのだから楽な仕事だ。そのアルバイトを受けることにし、男その男性は「それじゃよろしくお願いしますね」とだけ言い残し男はその部屋から出て行く。
本当に本棚とベッドと机以外は何もない部屋だったがみゆきは寝転んで「ふー」っと言う声を出した。その後に「本当に大丈夫なのかなあ?」と言う独り言をつぶやいた。
「本当に騙されてるんじゃないかなあ?」
正直そう思うこともあった。そりゃあそうだ。この部屋にいるだけというのはおかしい。みゆきは入り口の扉を開けてみる。もしかしたら監禁とかで開かなくなっておりかもしれないからだ。だが扉がちゃんと開く。
「そうだ...!」
みゆきはそう呟きながらスマホを取り出し、ダンスの動画を踊りを踊りはじめた。これはみゆきの密かな趣味で踊りの練習をしているのだ。あまり人にはいえない秘密というやつだ。
それからしばらく過ごしてアルバイトは終わった。本当に何も無く終わって安堵し、またやってもいいというような気持ちになる。
「お疲れ様でした」
「あの...」
「はい、なんでしょう」
「これって一体なんの意味が...」
みゆきはつい気になって聞いてしまった。こんないるだけの仕事などなんの意味があるのか気になってしまう。
「まあ、色々ですよ」
「はあ...」
「これ...約束のものです。毎回終わる度にお渡ししますのでね」
渡された茶封筒の中には千円札が数枚ほど入っていた。お世辞にも高いとは言えないが毎日ああやってぐーたらな生活をするだけでお金がもらえるのだからその辺りは多少なりとも我慢がいるだろう。
「それでは」
「はい」
みゆきはその言葉と共に男性と別れた。
「うーん...ないなあ」
みゆきは次のバイトの日、あるものを探していた。おそらくこの部屋のどこかにあるだろうと考えたが一向に見つからない。
「こういうのって監視カメラとか仕掛けてあったりするもんなんだけどなあ」
みゆきは必死に探したがなかなか見つからない。こんな気前のいい話きっとそういう監視カメラの類が仕組まれていて監視されているに違いないと思ったのだが、なかなか見つからない。もしあったらあったであの踊りを見られる可能性があるので少し恥ずかしい。
「おっかしいなあ」
それにより少しずつこの仕事に恐怖を抱くようになった。意図不明のこんなただいるだけのアルバイト。とてもいいとは思うが恐ろしいことに変わりはない。
結局見つからなかったがみゆきはとある決意をするのだった。
「辞めさせてもらいます」
「ええ、どうして??」
「なんか怖いので...」
「ちょっと!」
みゆきはそう言いながらだって言った。それを見ながらその男性は後ろ姿をずっと見ている。みゆきの姿は見えなくなるとその男性は姿を変える。それは緑の一つ目の宇宙人だった。
「ふーむ、人間を観察できるいい機会だと思ったのだがな?まあいいかなりいい情報が得られた。まあ、まだ情報が足りないからまたバイトと称して人間の普段の様子をじっくりと観察させてもらうかな...」
短編を再開いたします。