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ピロートーク


 俺の愛しい番は、甘く気だるい雰囲気を醸し出して、しどけない格好でベットに転がっている。



 今日、竜家の本家に行って、じい様に結婚の報告をしてきた。

「この竜家の王の(つがい)になろうと言うものならば、何事にも腐らず、前を向いて立ち向かえるような気骨があるものでなければならん。

 どうやら、その娘御にはそれがあるようだの。


 わしは、あとはうるさいことを言わん。

 早く、後継を設けて、わしを王から解放してくれ……」

 うるさいことは言わんと言いつつ、しっかりと後継云々と言ってくるあたり、こりゃ、これからもうるさいことを言われまくるんだろうなと、心の中で覚悟をする。



 とはいえ、気持ち的にひと段落した俺は、陽菜子を自分の屋敷に連れ込んだのだ。

 で、やっと、陽菜子と本懐を遂げることが出来た、今、俺の胸の中は、溢れる思いでいっぱいだった。


「ルゥ……」

 陽菜子は、鼻に抜けたような、少し舌ったらずな声で俺を呼んで、トロンとした眼差しをこちらに向ける。

 可愛い!!エロい!!堪らん……。

 陽菜子じゃないが、鼻の粘膜が熱くなりそうだ。


「うん?なんだ?」

 俺の人生史上、最高に優しく、甘い声で陽菜子に返事をする。

「……あのね……、気になったことがあって……」

 頬をピンク色に蒸気させて、少し恥ずかしげに、陽菜子が囁くように言う。

「うん。なんでも聞いて……」

 顔を近づけて、頬を寄せて答える。


 そうしたら、陽菜子はガバリと起き上がった。

「鱗の件なんですけど。

 今まで(とこ)を一緒にした女の人たちとは、どうヤッテたんですか?

 全部服を脱いだら、鱗が見えちゃうじゃないですか?

 でも、服を脱がないことには出来ない行為ですよね?

 初心者の私には分からない、何か特別な方法があるものですか?」

 

 陽菜子の大学の研究室の楢崎教授曰く、陽菜子は疑問に思うと、とことん調べ上げようとするらしい。

 先日も挨拶に来てくれた教授が、

「彼女、研究者に向いていると思うんですよね。

 一先ず卒業したら取得した獣医師免許で、引き続き動物病院の勤務は続けるとしても、このまま研究室に残る選択も考えて欲しいものですね」

と、言っていたのを思い出す。

 だから、今この桃色の雰囲気の中にあっても、その空気を霧散させるような疑問を口に出してしまうのは、仕方のないことなんだろう……。


 でも、愛の言葉の一つくらい言ってくれるもんかと期待していた俺の心は、“ピシピシ“と音を立てて、ヒビが入った……。

 シクシク………泣きたい……。


「えーっと、陽菜子……今、その話、した方が、いい……かな?」

「そうですね。現状、私の中では結構重大な疑問なんです。お答え頂けるとありがたいです」

「…………」

 重大なんだ………。

 それなら、答えないといけないな。


 俺としては、霧状になっても、かろうじて残っている桃色の空気に、まだ縋っていたい気分なのだが……。

 しかし、何が悲しくて、生涯の(つがい)だと決めた女との、初めてのピロートークが、今までの女とのベッドの中での方法なんだよ……(泣)

 そう思いながらも、一旦疑問スイッチの入ってしまった陽菜子に、逆らうことは困難なので、疑問に答えることにする。


「そうだな……まぁ、全部脱がなくてもだな。方法はあるんだよ。

 それに、鱗を消しとくことも出来るしな」

「え?鱗を消せるんですか?」

「うん。竜の力でそう言ったことも出来る」

 と言っても、服を着ていれば消す必要なんてないし、実際その力を使うのは、そういう場でしかなかったわけだが……。


「そっか……」

 陽菜子は、嬉しそうに、ホウッと吐息をつく。

「疑問は解決したか?」

「はい!良かったです」

「良かった?何が?」

 こちらを見つめる陽菜子の目元がほんのり赤くなる。

 恥ずかしそうに、目を伏せてモジモジしている。可愛い……。


「えっと、その、つまり……、こう言うことをして、鱗を見たのは私だけってことですよね?

 で、これからも、こう言うことをするのは私とだけ……ですよね?」

「勿論だ」

 陽菜子がいるのに、他の女となんてありえない。

 ってか、もう、陽菜子以外とは無理だ。

「………って言うことは、る、る、る、……ルゥの鱗を見たり、触ったりしたり、………するのは、私だけなんだということを確認したくて……」


 真っ赤な顔をして、小さな声でボソボソ話す内容に、俺はノックアウトされた。

「もしかして、今までの女に妬いたのか?」

「いえ、そんな……過去のことをとやかく言うつもりはないんです。

 ただ、鱗を見た人がいたのかなって気になっただけで……」

 真っ赤な顔をした愛しい人は、妬いている訳じゃないんだと、一生懸命言い訳している。

 まさか、鱗を見たとか触ったとか言うことに、陽菜子が拘っているとは思ってなかった。

 でもそうか、陽菜子にとっては、それこそが大事なんだよな……。


 俺は、陽菜子をギュウギュウ抱きしめると、耳元で囁くように言う。

「じゃあ、今度は鱗が見えないような方法を教えようか?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………はい」

 小さな声で、陽菜子が返事をした。


 俺は、桃色の空気が戻ってきたのを感じて、心から喜びを感じた。

お読み頂き、ありがとうございます。

トカゲ姫と恐竜王子 〜襖に 頭突っ込みそうなほど、愛しいです〜

は、番外編も含めこれで完結です。


いつか、新しい陽菜子と琉旺のお話をあげるかもしれませんが、またその時には読んでもらえると嬉しいです。

ここまで、お読み頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

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