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皆さん、おにぎり食べはる?

「奥にお連れしろってさ」

 通信デバイスを操作していた男が、リーダー格の男に言う。

 私たちは、男たちに囲まれたまま、奥だという場所に向かって移動させられた。



 奥まで行く廊下の途中で、此処こそ研究をしているんであろう部屋がいくつか見える。

 ガラス張りで、中が見える部屋の、揃えられている機材は最新式、如何にもお金をかけていそうな研究施設だ。

 その研究室の横の廊下をゾロゾロと歩いて奥へと進むけれど、中で働いている研究員たちは、こちらをチラリとも見ない。

 常に、こんな男たちがウロウロしているのに慣れているのか?

 それとも、何か別の理由で全く気にならないのか?



「はい。じゃあ、こちらの部屋にどうぞ」

 通された部屋は、豪奢な洋風の広い応接間だった。


 細かい模様が織られた絨毯、豪華な応接セットは、大人が6人は腰掛けられるだけのソファが置かれている。

 壁にはベージュに草花の地模様が入った壁紙が貼られ、天井はわざわざ高く作られて、折り上げ天井の内部を照明が照らす間接照明が取り入れられている。

 地下であるために、それだけでは薄暗くなってしまう。

 幾つものすずらん型の傘が、円形に配されたペンダントライトが吊るされて、ミルク色のガラスを通して優しい光を発している。

 さらには、大きな鏡ばりの背板が嵌め込まれている棚には、洋酒がずらりと並び、その前には小さいながらも、飴色の木材を使ったバーカウンターまである。


 地下に、こんな部屋を作って一体何に使うんだろう?すっごい、すっごい、お金がかかってそう……。

 琉旺さんは、どうぞと言われて、スタスタとソファに腰掛ける。


「陽菜子、おいで」

 手招きされたけど、ちょっと座る勇気が湧かない。

 シュウちゃんは、さっさと琉旺さんの後ろに控えるように立っているし、ムウさんも、部屋の中を眺めながら、シュウちゃんの横に並んで立つ。

 ところが、遼ちゃんと、三島さんは、さっさとソファに腰掛けて、持ってきたバックの中をゴソゴソし始めた。

 唯一私だけが、立っていたいけど、座れって言われたし、でも、座るのには抵抗を感じるしで、オロオロしてしまう。


「なんや、エライ綺麗な部屋やね〜。

 座ったら、お腹空いたわ。おにぎり食べよ。

 皆さん、食べはる?私と、陽菜子ちゃんが握ってんで」

「何?陽菜子が握ったやつをくれ」

 琉旺さんが、すかさず反応している。

「お茶も持ってきてんのやで」

 三島さんは、お握りとお茶をバックの中から出して、具の説明をしている。

 遼ちゃんは、喉が渇いたのか、ソファに仰け反りながら座って、お茶をごくごく飲んでいる。



 なんだか、緊張しているのがバカらしくなってきて、私も座ることにした。

 こんな状況で、おにぎり食べたり、お茶を飲んだりできるこの人たちには、心底敬服させられます。はい、本当に……。


 そう思ったのは、私だけではなかった様で、此処まで一緒に来た、リーダー格の男が、愉快そうに口の端を歪めながら笑った。

「お前ら、この状況で、お握り食べれるって凄いな。

 しかも、それ、自分らで握って持ってきたの?どんだけ神経図太いんだよ……」

 男は、楽しそうにこちらを見ながら、続ける。

「お前ら、うちの組織に入んない?

 戦闘員は、すぐに集まるけど、専門的なことするメンバーが足んねぇんだよな」


 


「お前達、竜口の家の者では無いのか?なぜ、琉旺様やシュウさんを襲う?

 お館様は、このことご存知か?」

 リーダー格の男にムウさんが尋ねる。

「お館様?それは、竜口のご当主のことか?」

「そうだ!竜口(りゅうぐち) 宋宇(そうう)様のことだ」



 途端、バタンとドアが開いて、数人の男たちが部屋に入ってくる。

「お館様‥‥‥」

 ムウさんの呟くような声が聞こえる。

「久方ぶりですな、ルゥ様。

 大人しくしているかと思っていたら、やはり長い間はじっとしていられなかったようですな」

「ソウ叔父……」


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