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トカゲ姫と恐竜王子 〜襖に 頭突っ込みそうなほど、愛しいです〜  作者: 静寂
第5章 トカゲ姫 王子と暮らす
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「それいいね!」「お!じゃあ、家来ちゃう?」

 眉間に皺を寄せたまま固まった私が、琉旺さんをみていると、玄関の引き戸がカラカラと音をたてて開く。

「ねぇちゃん、帰ってきてる?ただいまー」

と、遼ちゃんが帰ってきた。



 そして、冒頭のくだりに繋がるのだ。

 ギャーギャー喚く遼ちゃんに、

「ご近所の迷惑になるから静かにしなさい」

と、釘をさして、どうしてこうなったのか琉旺さんに聞いてみる。

 琉旺さん曰く、私が来ればいいと言ったと言う……。

 私、そんなこと言ったかな?いくら考えても身に覚えがない。


「陽菜子が、料理を作ってくれてる時にさ、もっと、ずっと、陽菜子の料理が食べていたいって言ったの覚えてる?」

「……ああ!言ってましたね」

 そういえば、キッチンに立っている私の周りをうろちょろする琉旺さんがそんなことを言ったような気がする。

「そう。その時に、陽菜子が、じゃあ、なるべく作りますって、言ったじゃん?」

「はぁ…………。うん?」

「だから、来たの。本当は、あの家にいて欲しかったけど、陽菜子は大学あるから帰るって言うだろう?

 それなら、俺らが陽菜子の家に行けばいいかなって」

 

 確かに、琉旺さんが、もっと食べたいって言うから、私は、作り置きをしておくつもりで、“じゃあ、作っておきます“って言ったんだ。

 “作ります“じゃない!そもそもどうして、その言葉だけで、我が家に転がり込もうと思ったのかも不思議だ。

 

 あれか?外国暮らしが長いからか?日本人の微妙な言葉のニュアンスが分かりづらいのか?

 それとも、金持ちだからか?

“それいいね!“

“お!じゃあ、家来ちゃう?“

ってノリなのか?


 シュウちゃんは、弟がいるために、喋れない。

 ここで、喋るとシュウちゃんがなぜ喋れるのかを説明しないといけなくなる。

 がその前に、間違いなく遼太がパニックになって、騒ぎ始めるのが目に見えるからだろう。


 しかし、今のやりとりを聞いた、シュウちゃんは冷たい視線を琉旺さんに向けていた。

 シュウちゃんも、こんな展開だとは想定していなかったのかもしれない。

 前頭葉付近がズキズキしてきた。

 今日は、もういい。兎に角、お風呂に入って寝よう。

 そう決意した私は、遼ちゃんにお風呂を沸かす仕事を押し付けると、奥の客間にお布団を用意し始めた。



「琉旺さん、今日はお風呂に入って、この部屋で寝てください。

 小さいお布団だから、若しかしたら足がはみ出しちゃうかもしれないし、琉旺さんのお屋敷のベッドみたいに、素晴らしい寝心地ではないですけど……」

 そう言った私の言葉を、琉旺さんが遮る。

「いや、助かる。俺も、シュウも、外でも、何処でも寝れるように訓練しているから大丈夫だ。

それよりも、布団まで、敷かせてすまないな。

 言ってくれれば、何でもやるぞ?」

 琉旺さんは、私の顔を見ると、白い歯を覗かせてにっこりと笑った。


 何処ででも寝れるように訓練?と、琉旺さんの言った言葉が引っかかったけれど、疲れた私は考えるのを放棄した。



 何でもやると言った通り、次の日から、琉旺さんは家の中の様々な雑事を片付けてくれた。

 私が、大学から帰ると、庭の草引きをして、庭木や花に水やりをし、板の剥がれかけていた外塀を直してくれていた。

 ずっと、気になっていたけれど、時間がないことを言い訳に、見て見ぬ振りをしていた場所だ。


「プロのような腕前じゃないけどな。放っておくと、板が腐って、危ないしな。

 応急処置にはなるだろう?

 また、他のところが痛む前には、プロに直してもらった方が良いかもしれないな」

 そう言って、こちらを見る琉旺さんの、捲り上げた腕の筋肉が、美しく盛り上がっているのをボウッと見入ってしまった。

 

 あぁ、世の猛禽類に分類される女子(オナゴ)達が、琉旺さんにワラワラ寄って行ってしまう気持ちも、分からなくないなぁ……。

 なんて、感慨深く思っていたけれど、その後も、琉旺さんは怒涛の勢いで、我が家の、気になっているのに時間がないとか、金が掛かるとかと言う理由で、放ったらかしにしていたあちこちを直してくれた。

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