久しぶりの我が家は、落ち着き ません……
シュウちゃんのご飯を作る私の周りを、琉旺さんはうろちょろして、珍しそうに眺めたり、時には手伝おうとしてくれたりする。
(残念ながら、あまりお手伝いにはなっていないけれど……)
私の、嫌がることはしないと言った琉旺さんは、あれから、あからさまに近づいたり口説いたりはしてこない。
ほっとする反面、ちょっと寂しいような残念なような気持ちになる、この自分の心の中に巣食っている気持ちを持て余している。
それでも、毎食私の作ったものを3人(二人と一匹?)で食べて、お茶の時間には、私が焼いた焼き菓子を摘見ながら、DVDで爬虫類に関する動画
(お屋敷の中のライブラリーに様々な専門動画が収められているのを見つけたのだ)を見るこの関係が、楽しくて離れがたくなってきている。
このお屋敷に来て、今日で4日目だ。
もうすぐ連休も終わる。今日の夜には、家に送ってもらうことになっている。
シュウちゃんは、調子が戻るにはもう少し時間がかかるらしく(自分で大まかなことが分かるらしい)、調子が戻れば、人型に戻るらしい。
その後は、動物病院ではなく、普通の病院で診て貰うそうなので、私はもう必要ない。
このまま帰ったら、もう琉旺さんとは関係なくなっちゃうのかなぁ?
そもそも、なんだか凄いお家の跡取り?さんなんだから、私とは縁のない人なのだ。
私は、学生なのだから勉学に勤しみ、推しを愛でる忙しい毎日を送る日常に戻ればいい。
そうだ、そうだ、そうしよう。
そう決まれば、なんだか、モヤモヤ悩んでいたのが、馬鹿みたいで笑えてきた。
そもそも、他人様とのことで、私が悩むだなんて、実に私らしくない。
私が、悩むのは、トカゲちゃんのことと、自分のこと。それから、遼ちゃんのことくらいだ。
ここから、出ていけば、関わり合いにならない人のことで、ウダウダ悩む必要はないのだ。
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久しぶりの我が家は、とても落ち着く……。はずだった。
なぜ違うかって?
だって、琉旺さんが家に転がり込んできたからだ。
「陽菜子の家って、流行りの古民家ってやつか?」
「流行りかどうかは知りませんが、古い家なのは間違い無いですね……」
「ねぇちゃん、どうして、このでっかい人がくつろいだ格好で、家にいるの?しかも、この、この……オオトカゲは、何なんだよ!!」
お姉ちゃんも聞きたい……。
琉旺さんのお屋敷にいる間、琉旺さんは何も持ってこなかった私に(当たり前だ。大学の帰りに、拉致られたのだから)、着る物や下着、パジャマなど、必要なもの一式を用意してくれた。
帰る時には、どうせ誰も使わないんだから持って帰れと言われて、迷ったけれど、ありがたく頂戴することにした。
私は、思慮深く、遠慮深いけれど、地球環境のためにも、ECOにつながる行動を取らないといけないと、常々思っているからだ。
その荷物を、お屋敷にお勤めのメイドさんが詰めてくれると言う。
これに、甘えるべきではなかったのだ。
しかし、「私の仕事ですから」と、キリッと言われたので、そうか、人の仕事を奪っちゃぁいかんのかなと、お願いした。
何だか、えらく大荷物になったなとは思ったんだ。
でも、すごく丁寧に梱包してくれたのかもしれないし、人にやっといて貰って、梱包が大袈裟だなんて文句をつけられる筈がない。
丁寧にお礼を述べて、車に運んでもらい、我が家の前まで琉旺さんが送ってくれた。
遼ちゃんは、大学のお友達と晩御飯を食べに行っているらしくて、まだ帰ってなかった。
荷物は、俺が運んでやるよという、琉旺さんの言葉に、大きいから助かるなと思ったのも事実だ。
彼は、わざわざ車を近くのコインパーキングに停めて荷物を運んでくれた。
そこまでして貰ったのに、お茶の一つも出さないのは心苦しくて、
「どうぞ上がってください。お茶でも入れますんで」
と、誘ったのも私だ。
で、上がり込んだ琉旺さんは、シュウちゃんも連れてきた。
私的には、大歓迎だ。
シュウちゃんは、今一番の推しなんだから、断る理由なんてない。
でも、シュウちゃんが言ったんだよね。
「すみません、お嬢さん。お世話になります」
って。
シュウちゃんも、お茶を飲むのかなぁ?と思った。
だから、シュウちゃんの分のお茶も入れた。
そうして、茶の間のテーブルにお茶を並べようとして、ふっと琉旺さんの方を見たら、なぜか彼は、お屋敷で見慣れたホームウェアに着替えて寛いでいた。
あれ?
何でだろう?
お金持ちは、お茶を飲むのにわざわざ着替えるのかな?
「陽菜子、俺、どこで寝ればいい?俺は、陽菜子と一緒でも構わないぞ」
彼は、嬉しそうに頬を染めて、私を見た。




