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トカゲ姫と恐竜王子 〜襖に 頭突っ込みそうなほど、愛しいです〜  作者: 静寂
第4章 トカゲ姫 王子に口説かれる
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オブラートに包んで下さい

 夜、これまた、馬鹿でかいお風呂に入った後(お湯が龍の口から出てた。あんまり、広いんで泳いでみた。)、キッチンで水を飲んでいると、スルリと琉旺さんが現れた。

 この人、足音がしないなぁ……。恐竜って静かに近づくのかな?映像なんかだと、ズシンズシン足音がしてたけどな………。


「陽菜子、庭に出てみないか?満月だ」

 月を見ようだなんて言って誘うなんて、イケメンの常套句なのか?

 そう思いながらも、頷いて後をついていく。

 

 確かに、満月だからか、明るいくらいに月の光に照らされて、庭に咲いている花が浮かび上がって見えるくらいだ。

 お屋敷の庭は、丁寧に整備されていて、様々な植物が植えられている。

 青い花を揺らしながら、風がサアーッと吹き抜ける。

 夏が終わりかけて、空気には、まだ暑さが残っているけれど、吹く風はほんの少し秋の涼しさを含んでいて気持ちがいい。


「病院で、シュウを連れて行った時に、陽菜子が俺のことなんて微塵も見ないで、シュウが怪我をしてるのを心配してくれただろう?

 あの時に、ちゃんと見なきゃいけないものを見れる子なんだなと思ったんだ。

 大体、どの女も俺のこと見ちゃったら、あとは俺ばっかり見ようとするからさ」

 おっと!さすがイケメン。悩みが違うな……。そう思いながらも、琉旺さんをみる。


 確かに、一度琉旺さんを見てしまって、目が離せなくなる世の女子(オナゴ)どもの気持ちもわからなくもない。

 180センチは有に超えるだろう長身に、体を纏うしなやかな筋肉。

 緩いラインのルームウェアを着ているのに、引き締まった体躯をしているのが分かるほどだ。

 いつもは上げている前髪は、風呂上がりで下されていて、普段よりも少し幼く見える。

 普段は、暗い茶色に見える目も、光の差し込む角度によって、金色に見える。

 不思議な虹彩の瞳を縁取る長いまつ毛は、月の光を浴びて、濃い影を落として彼の色気を底あげしている。 

 真っ直ぐな眼差しと引き結ばれた唇は、琉旺さんの意志の強さを表しているかのようだ。

 

 生まれてから23年間、男の人に興味を持たず、ひたすらトカゲばかり愛してきたトカゲ姫の私でさえ、カッコいいなと思ってしまうのだ。

 猛禽類女子(モウキンルイジョシ)の目には、さぞ美味しそうに映っても、仕方がないことなのかもしれない。



「で、トカゲのことすっごい好きそうだったし、いいなと思ったんだ。

 そしたら、俺の鱗を色っぽい目で見るだろう?

 何回も、携帯に連絡くれたのも、俺のこと、好きなのかなと思って。

 そしたら、もう陽菜子のこと気になり始めて……。

 陽菜子のこと考えると、熱にうなされたようになってだな……」

「浮かされるですね。うなされないでください」

 気になって、指摘してしまった私の言葉に、琉旺さんは嬉しそうに笑う。

 少し照れたように、笑った口元を指で掻いている。


 なぜ……?

「そう言うの良い……。

 そうやって、俺の言うことに突っ込んでくれるの、シュウだけだったし、仲良しみたいで嬉しい」

 そう言って頬を染めてモジモジし始める。

 え?乙女みたいで、なんだか可愛いんですけど……。

 

 そう思って、ハッとした。

 私は、男の人に興味がない。

 と言うよりも、あまり人間自体に興味がない。

 女癖が悪くて、色んな女の人に手を出して、挙句、母ではない人と遼太を作っただらしのない父のせいか?

 はたまた、そんな父に耐えきれずに、幼い私を置いてさっさと別の男と家を出て行った、母性本能の欠如している母のせいか?

 この世の中で、私が興味を持っている人間は、死んだおばあちゃんと、遼ちゃんだけだ。

 昭雄おじさんに至っては、私のことを大事に思ってくれているし、一緒にいてそう苦痛でないという程度の存在だ。

 ただ、生きていく上で誰とも関わり合いにならないことなど、無理だと分かっている。

 だから、当たり障りのない態度でどの人にも接っしてきた。

 近づきすぎず、近づけすぎずの距離感。

 

 なのに、今私は、目の前のイケメンを可愛いと思うなんて……。なんだか、不思議な気分。

 ぼんやりと、琉旺さんを眺め続けていると琉旺さんは、私を見て微笑む。

「陽菜子、俺、陽菜子のことが好きみたいだ」

 隙?鋤?…………好き?!


 私は、人との接触経験値が低いんだ!すぐには脳が、当てはまる漢字を変換してくれない。

 それでも、変換し終わった文字を理解し終わると、顔が熱を持って真っ赤になっているだろう事が分かった。

「る、る、るー、琉旺さん……。

 そう言うことは、もうちょっとオブラートに包んでもらえると、その、私としては、ありがたいです」

「オブラート?……例えばどのように?俺は、あまり日本語に長けてないから分からない。

 陽菜子が、教えてくれると助かる」


 月の光を浴びながら、イケメンは笑いながら、此方を伺い見る。

「そうですね……例えば………、月が綺麗ですね……とか……?」

「なんで、月が綺麗ですねと言えば、オブラートに包むことになるんだ?」

「そ……それは、えーっと……、

  “月が綺麗ですね“で、ググってみてください。

 では、私はもう遅いので、休みます。おやすみなさい」


 私は、もっの凄い早口で捲し立てると、琉旺さんの色気ダダ漏れオーラから逃げるように部屋に戻った。

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