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トカゲ姫と恐竜王子 〜襖に 頭突っ込みそうなほど、愛しいです〜  作者: 静寂
第4章 トカゲ姫 王子に口説かれる
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ルールールー

 ソファに寝転がって、鼻をタオルで押さえた私は、顔を覆って瞑想していた。

 心を無心にして、内なる自分に、面倒なこと全てを丸投げする。

 でなければ、幽体離脱しそうだ。



「何やってるんですか、ルゥさま……。

 どう考えたって、お嬢さんにそんなアプローチの仕方したらダメでしょう……」

 シュウちゃんが、竜凪さんに説教しているのが聞こえてくる。

 そうだ!言ってやってくれ……。そこの頭のおかしい人に!!

 今まで、竜凪さんは、偉そうにするばっかりで、全然私に、こ……好意?的なものを示したことなんか無かったはずなのに、なぜに急にあんな風に近づいてきたんだろ?


「すみませんね、陽菜子お嬢さん。

 我々、竜家の人間は、欲しい物に対して貪欲なんです。

 特に、番に対してはなりふり構わなくなっってしまうところがあって……」


 つ、つがい?番って言った?

 寝転んでいたソファから、ガバリと起き上がる。

「つがいって、番うの番ですか?」

「そうだな」

 竜凪さんは何でもないことのように、しれっと頷く。

 え?それって、私と結婚したいってこと?

 何も言われてないし、いきなり番だなんて色々すっ飛ばしすぎる。


「えーっと、どうして竜凪さんは私の事、そんな対象に見てるんでしょうか?」

「だって陽菜子、俺に求愛行動取ってじゃないか。俺も、陽菜子となら番になっても良いかなって」

 テヘッと、首を傾げて笑う。この人、こんなキャラだったっけ?


 そんなことよりも、求愛行動……?……もしかしてそれって、私が竜凪さんの鱗を触ってしまった事だろうか?

 思い当たる節のある私は、青くなる。


「それよりも、竜凪さんって言うのやめろ……名前で呼べって言っただろ?」

 低く優しい声で、私を嗜めながら、竜凪さんは、色っぽい目で私のことを見つめてくる。

 また心拍は早くなるし、どんどん頭に熱があつまって、ボーッとするし、きっと私の顔は真っ赤だ。


「あの、その、るー、るー、るー」

 キタキツネでも呼ぶのか!!

「ルゥだよ。陽菜子」

「……る……、琉旺さん……」

「なんだ?陽菜子」

 いきなり、ルゥなんて親しげに呼ぶのは、私にはハードルが高すぎる。

 かと言って、竜凪さんと呼んだところで、また、名前で呼べと言われるに決まっている。

 どちらかが折れるまで繰り返される、私にとっては、かなり神経のすり減る戦いが繰り広げられるのだ。

 どうにか琉旺さんと名前を呼んでお茶を濁したつもりだった。

 

 なのに、私に名前を呼ばれた琉旺さんは、とても嬉しそうに笑った。

 私の心臓は、またズキューンと飛び出した。琉旺さんと一緒にいると私の心臓は忙しい。

 その内やっぱり、心不全とか、心筋梗塞あたりで病院に運ばれるんじゃなかろうか?



「る、琉旺さん。

 その、琉旺さんがおしゃってる求愛行動って、私が琉旺さんの鱗を触っちゃった事ですか?」

「え?お嬢さん、ルゥさまの鱗を触ったんですか?」

 シュウちゃんが驚いたような声を出す。

 いつもは半開きに見えるオオトカゲの眠そうな目が、見開かれている。

 

 可愛い!写真撮りたい……。

 私の脳内では、ランウェイをノソリ、ノソリと歩くシュウちゃんの周りに、大勢の私が群がって、バシャバシャ、フラッシュを焚きながら、写真を撮っている妄想が繰り広げられる。

『いいねぇ。素敵だよ』『目線こっちに下さい』『可愛い!最高だよぉ』


「陽菜子?」

 琉旺さんに呼びかけられて、現実に戻ってくる。

「……あ………そうです。

 シュウちゃんの止血が終わって、る、る、琉旺さんの服が血で汚れていたので、着替えを渡す際に、見えちゃいまして……。

 で、すっごい綺麗だったんで、ついフラフラ〜っと……」

 どうにか、自分の中の内なる欲求と戦って、シュウちゃんの問いに答えた。

「それは、凄いですね。ルゥさまは、絶対に誰にも鱗を触らせたりしません。

 そもそも、我々にとって、重大な秘匿事項ですから、人の目につきそうな場所で鱗を見られるような行為自体を致しません」


「陽菜子、俺は人に鱗を触らせたりしない。誰にもだ。

 でも、陽菜子は……良いかなと思ったんだ」

 琉旺さんは、またしても、えへっと嬉しそうに、はにかんだ笑顔を私に見せる。


 そんなに大事なことだったんだ……。

 なのに、私ったら痴女みたいに、琉旺さんの体を触ってしまって……。

 強制わいせつ罪という文字が、頭の中でぐるぐる回る。

「ごめんなさい。私、鱗を触ることが、そんなに重大な事だと思っていませんでした。

 そもそも私、私………私が好きなのは、トカゲちゃんなんです!!」

 それだけ言うと、頭を下げて今朝寝ていた部屋に逃げ込んだ。

 

 背後で、琉旺さんとシュウちゃんの

「トカゲ?!……シュウ、お前!いつの間に〜!!」

「え?どうしてそうなるんですか!!」

っていうやりとりが、微かに聞こえた。

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