0 監視者
モニターにはとある景色が浮かび上がっている。
そこで戦う人達。
彼らは全員学生である。
いや、学生であった。という方が正しいだろう。
その元学生たちは互いに戦い、殺し合う。
「ありゃ、Bグループ全滅、ここから立て直すのはムズいんじゃない?」
勝者グループには豪華報酬が、敗者には悔しさが残るこの試合。
え?殺し合うのに敗者とかあるのかって?
実はこれ。
「まぁBグループはお疲れさんだね、でも楽に死ねた方なんだしマシな方じゃない?後はリスポーン地点で観戦して貰ってだね、十分ここからでも巻き返せるよ?」
そう、殺し合いとは言っても実際に死ぬ訳では無い。
死んでも生き返るのだ。
あくまでその試合の参加が出来なくなるだけで、命に別状はない。
いや、違うだろう。
本当に死にたくはないから、ここで命を掛けるんだ。
ある日、異世界に別の体で転生させられた学生たち、元々戦いなんて知らない子らがまともに生きていくためには力と道具、知識が必要。
昔はそれら全てを求めて戦っていたが、今では純粋に力を競い合う事が主な目的となっている。
彼らは十分に強くなった。
それはもう異世界では恐れるものがないくらいには。
だがそれでも勝てない相手がいる。
それがゲームマスター。
同じく異世界に飛ばされ、特殊な役割を与えられた者、試合の様子を観察し、不正がないかを見極め、そして楽しむ存在。
そちら陣営にも何人かはいるのだがここでピックアップさせてもらおう。
中央の椅子に座る黒髪ロングの少女とその少女に後ろから抱きつくような姿勢でモニターを観察する青髪ショートの少女。
今回の物語はこの2人が主とした物語である。