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2.甲女試合

ちなみに100段ソフトクリームは現実で聞いたことはありませんが、10段ソフトクリームは存在します。

100段って50㎝ぐらいあるんじゃないだろうか...。

「えぇ!来週かと思っていたよ。うちの店でやる甲女試合は久しぶりだからねぇ。すっかり失念していたよ。それならお店前をもう少し掃除しておくんだったねぇ」


“甲女試合”


特徴的で美味な料理を提供できる各種料理店の覇権を学校ごとに争う試合。

うちのお店は雨潜高校が所有している。小さいお店だからか数年前を最後に甲女試合が行われていない。

甲女試合は父兄や近所の人が観戦しにくることが多い。大規模な甲女試合になればテレビで放送されることもある。今回はテレビ局が来るかどうかはわからないけども。

というわけで大勢の目に入ることになるから、甲女試合前には掃除をしたいと思っていたけど失念してしまっていた。


「これだから齢は取りたくないねぇ」


時の流れに愚痴をこぼしながら甲女試合予告書を探す。レジ近くの壁に貼り付けてある書類を一枚一枚捲りながら探していく。先週、ここに貼った覚えがあったからだ。


「あったあった。これだねぇ」


『甲女試合予告書』と書かれた一枚の書類を手に取る。


甲女協会公式の書類であることを示す赤い印が書類の半分を占めるほど大きく押されているのですぐわかった。


『4月10日15時より食品特産店”ちよ”にて開催』

『甲女側:聖ロウレッツ女学院 防衛側:雨潜高校』


聖ロウレッツ女学院、創立100周年を迎えるほどの歴史があるこの女学院は総生徒数3000人を超える県内屈指のマンモス校。中高一貫校で中等部から甲女の選抜を行っており甲女の質と数で言えば全国でも通用するほどの実力があったと覚えている。


「雨潜高校の子達はいい子が多いんだけどねぇ…実際のところロウレッツ女学院に勝てるのかい?」

「どうでしょう…最近は負け続けていますが雨潜高校にとってここが最後の食品特産店ですし、最後の意地ってことで奮戦して欲しいとは思いますね。食品特産店が0になった高校も聞いたことありませんし…」

「確か学食は食品特産店からしか仕入れできないんだったかね?もしここで負けたら雨潜の子達はどうやってご飯を食べていくのかねぇ」

「お弁当作ればいい話なんですけど、学校が保持している食品特産店での食費を協会が全負担してくれますからね。無くなったら家計的には少し困っちゃいますね」

「あらあら、雨潜の子達は育ち盛りの子が多いみたいでね。100段ソフトクリームを2つ3つ食べていくんだよ。デザートでそれくらい食べるとしたらご飯はもっと食べるってことだろう?お母さん達は家計のやり繰りが大変そうだねぇ」


「おばあちゃん…多分ですけど、ここでしか学食を取れないからソフトクリームだけでお腹を膨らませているんじゃないでしょうか…?」

「なるほどねぇ。もっと野菜も食べてもらいたいねぇ」


ふと気が付くと人混みが先ほどより大きくなっている。それに合わせて大きくなったざわつきも聞こえてきた。

『ロウレッツ側は20人来るが雨潜側は3人しかこないそうだ』

『ロウレッツには全国大会選抜甲女がいるらしい』

『ここ数日間雨潜高校はただの1勝どころか1人さえ倒せていないんだって』だのだの。


「あらまぁ、雨潜の子達はかなり分が悪いっていうのは本当のようだね」

「ええ…。おや、どうやら甲女のみなさんが来たようですよ」

「ねぇ!ママ、おばあちゃん!お姉ちゃん達が来たよ!」


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