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転生勇者とおまけの剣  作者: 帽子屋
プロローグ
6/151

剣と魔法で無い世界

 今のところ、魔族は召喚されていない。

 フェアリーもエルフも現れない代わりに、オークもドラゴンも出てこない。

 いざという時のために、余暇を注ぎ込んで魔術の習得にあたっている士郎であるが、その成果の使い所はほとんど無い。

 ケーキのキャンドルに点火するためのライターを誰も持っていなかった事があった。

 よし、と、魔力を集めようとしたその前にキャンドルはコンロで無事点火された。

 風邪で独り寝込んでいた時には、布団から出る事なく水を飲めた。が。悪化して音信不通となった士郎を見舞った春人に、彼女作って看病してもらえ、と憐れまれたのは忌まわしい思い出だ。


 悩んだ末に、士郎は医師を目指す事にした。


 大病を癒す回復魔術こそ使えないが、癌細胞を焼いたり、血管の詰まりを流したり、神経を繋いだり、といったミクロな術は出来そうだ、と。

 手術に立ち合う度に、密かに魔術を行使し、手ごたえを感じている。

 ナース達には手術室に入る度に卒倒する残念インターン、と呼ばれているが、彼を伴うと何故か難しい手術も奇跡のように成功するので、指導医からは座敷わらしと呼ばれている。



 春人はIT土方である。

 本来、人と関わる事が好きだ。

 職業体験で幼稚園や介護施設に行った時は泣かれたりお経を唱えられた。ボランティアに参加した時は不審者と間違えられた。

 接客を含むアルバイトの面接は全滅した。

 営業職を希望した就活も、トリプルスコアの撃墜マークをつけられただけだった。

 安定の妖剣ぷりである。

 仕方なく卒業までの一年でコツコツとプログラミングのスキル上げをし、業界の底辺に滑り込んだ次第。

 今世でも絶賛デスマ参加中という、実にハルテシオらしい人生を送っている。


 初見で判断された就活と異なり、春人と少しでも時間を過ごした相手は、彼の世話焼きとも言える人の良さを知る事になる。

 聞き上手でノリも良い。

 崇拝者は多数いれども、友達と呼べるのは春人だけという、ぼっちな士郎と違い、友人は多く、恋人もいる。いや、いた。


「この納期が終わったら結婚しようって言ったんだ。」

「うわぁ、見事な、死亡フラグ。」

「『貴方を亡くす訳にはいかない、別れましょう』って。」

「回避スキル持ちだ。」

「疲れたよ、パトラッシュ。ほれ、ボール、取ってこーい。」

「犬じゃないって。」


 キャッチボールを再開する。

 朝、魔術を使ったという割りに士郎の動きは良い。

 心配して来た、という親友に心配させられて春人は元気を取り戻す。

 今回は縁がなかったのだ。

 次の彼女とはもっと時間をとろう。

 そろそろ、転職もいいかもな。

 有給休暇、いや、定時帰宅、いやせめて週休のとれる会社に。

 今度、士郎も合コンに誘ってやろう。男どもは嫌がるだろうが、たまにはいいじゃないか。


 柳士郎も、坂中春人も。

 無辜の市民として、平和な人生を楽しんでいた。






 ………。







(だのに。何故、またここにいる?)





えーと。

次から本気出す、的な?アレ。

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