表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

居残り争い

作者: うりうり

初めて書き始めた頃の作品なので色々と間違いやおかしいところもあると思いますが、ごゆっくりしてください。


 これは高校生活でよくある居残りでの不思議な二日間の出来事だった。

僕は比較的に提出物をやるスピードが遅くて、居残りのある日は居残りをするために教室端っこの席に座って何一つ進めずに本を読んでサボっていた。まあ提出物なんて一教科しかないけど……。でもそんな普通の居残りはある人の一言で変わった。

「今からここにいるメンバーで勝負をしましょうか」

 ?そんな言葉を言った人は背が少し高めでいかにも軽薄で浮ついているような感じのする男の人だった。名前は名札を付けてないため分からなかったが見た目で言うとそんな感じだった。

「勝負してなんか意味あるんですか?」

 僕は教壇に立っている人に質問をした。ここは積極的に聞いたら暇つぶしになるし少し面白いような気がする。でもその分注目されて好奇心に任せた自分が恥ずかしくなってくる。

「そうだな。木見原きみばら君はどんな願いでも叶えられるとしたらどんな願いがいい。軽い願いを言ってくれると少しありがたいんだけど」

「軽い願いか。それだったら、今月の純愛系の本をください」

 僕は本が好きでほとんどの時間を本で過ごしている読書バカだった。そのなかで一番好きなジャンルが純愛の本で今月は少し金銭的に厳しかったので、正直助かった。この人の言っていたことが本当だったらだけど……。 

「それでいいのか?」

「はい。本が好きなのでその他は必要ありません」

「正直ものだね。正直ものにはその作者のサインをあげようか。少し待ってね」

教壇に立っていた人は僕に近づきながら自分の制服の中に手を入れて、何かごそごそとやっていた。提出物を必死にやっていた人たちも流石にその行動に驚いて、その人は注目の的になっていた。

 そして僕の所に来たと同時に彼の体がふくらみ僕がほしい本を腹から出して僕は唖然とするしかなかった。勿論唖然としていたのは僕だけではなく他のみんなも唖然としていた。

「ありがとうございます」

「別にかまわないよ。みんなも信じてくれたかな。全員参加できるんだけど五分考える時間を与えるからよく考えてください。よ―いはじめ」

 

その合図を聞いたところで数人の男女が席から立ち上がり、参加するかを確認をしに声を掛け合っていた。その様子を一人で見ているとゴリラの顔をした人が近付いてきた。

「おい。木見原だっけ、お前このこと最初から知っていただろ。そんで手をあげるなって美少女の伊美山いみやまさんに言ったんだろ。お前ふざけてんのか」

「えっ!?そんなこと言ってませんよ」

「嘘をついてんじゃねえぞ!こんな美少女の伊美山さんが嘘をつくわけないだろ」

 いくらなんでも美少女だからって嘘をつかないってわけじゃないぞ。特に伊美山さんはお前が鈍感なだけで噂ではどんなことをしても気に入らないことは消すって変な噂が流れる人だからな。しかも、見た目で言ったら悪いけど、背が小さくて髪型がショートのツリ目で何かをたくらんでいると小悪魔のような笑いを見せてるし、気に入らないことがあるとそれを消そうとするキャラの見た目が似てるし、関わるとやばそうだな。

「はいはい。そんなことはいいから参加するかしないかにしてくれないか。まずそこのゴリラみたいにうるさかった人はどうなの出るのでないの」

「自分は出ないです。伊美山さんが出ないと思うので。てか、ゴリラって何だ」

「あっそう。じゃあ伊美山さんは」

「無視すんな」

 伊美山さんは小悪魔のように笑いだした。これは裏切るパターンだな。ドSの本能ってやつのなのか。勘だけど……。お疲れゴリラみたいな人。

「私は出るわ。何でも願いが叶うのなら、ありがたいことだし」

「伊美山さん。俺はどうなるんですか」

「勝負に参加しない人は邪魔です。消えてください」

 僕の予想は見事当たっていた。伊美山さんドS確定だ。しかも見事な毒舌だ。

「えーと。時間になったんでこのゲームにでない人はこの教室から出てください」

教壇に立っていた人は僕の所にいるまま、話を続けていた。それにしても、この勝負に参加する人って少ないな。まああんなんマジックだろとか言って出ていった人がほとんどだろうな。でもあれはマジックでもない本物だと僕は思う。

「ゲームに参加するのはこれだけか。五人って少ないけどと自己紹介から始めようか。基本的には名字だけでいいけど他のことを言いたかったらどうぞ。まずはそこの木見原君から」

 僕は指名されてのでその場に立った。

「はい。僕は木見原と言います」

僕が自己紹介を終えて席に座ると数秒の沈黙が訪れた。そんな沈黙が訪れると僕は次第に恥ずかしくなり俯いた。

「それで終わりか……まあいいや。そんな感じでやってくれたらいいので木見原君の後ろからよろしくね」

 教壇に立っていた人は僕の後ろの人の自己紹介を進めた。でも伊美山さんは不満そうな顔で教壇に立っていた人を睨んでいた。

僕の後ろから名前を言っていくと波奈なみなさんって言う人から順に霜北しもきたさんと鬼倉おにくらさんと伊美山さんたちで、一人一人の見た目を言っていくと面倒だ。

だから僕は一言で一人ずつ言っていくと、まず波奈さんはロングヘアーのクール美女、

霜北さんはずるをしそうなメガネ、鬼倉さんは暴力がすべてって思っているただのバカ、伊美山さんはロリでツインテールのドSという風な感じだ。

「これで全員かな。よしじゃあ、ルールを簡単に説明をするよ。ルールは簡単。ただ普通に提出物を終わらせて教室を出るだけだけど、この時間以外でやったら、このゲームの退場と罰ゲームだから。他は何をやってもいいよ」

「少しいいですか?」

「はい。どうしたんだい波奈さん」

「気になったんですけど、あなたの名前を教えてくれませんか?」

波奈さんの質問は僕だけではないみんなが気になっていることだ。僕は注目すれるのが嫌だったから発言を控えていたけど忘れていた。

「……」

質問したのはいいが教壇に立っている人は何も話さなかった。そのせいでみんなの視線や緊張感が高まる一方だった。

「おい。なんか言えよ。質問に答えろよ。いらいらするんだよ」

と鬼倉のキレ気味の声が聞こえた。後ろを振り返ると徐々に教壇に立っていた人に近付いてきた。

これはやばい。教壇に立っている人が名前を言ってくれればすぐに終わるのに何で言わないんだよ。迷ってるのか?それとも名前がないのか?どっちにしろ早く言ってくれ。そして鬼倉は教壇に立っていた人の前に立ち襟をつかんで殴ろうとしていたのだが殴りたくても殴れなさそうに見えた。

「?」

 僕は鬼倉さんはなぜ殴らないのかと思ったが鬼倉さんの腕に力を入れていること見て金縛りに似たようなことを受けているのが分かった。

「えーと。もう一つ忠告しておかないといけないことがあったんだ。僕に殴ろうとかしてくるとこのゲームの退場ね。これだけは実際に見てほしかったから……鬼倉君今回は僕が仕組んだことだし許すから戻ってくんないかな」

「誰が戻れ言って戻るかよ。名前を教えろよ」

「離れろ」

「名前を教えろって言って……!」

 壇上に立っていた人が離れろと言うと鬼倉さんはすごい勢いで壁に吹っ飛ばされた。

「罰ゲームの一つはこれだからよろしく。あと鬼倉君が何度も言ってた僕の名前は借り名として神隆しんりゅうでいいよ。早速だけど、ゲーム始め」

 鬼倉を除き合図を聞き僕たちは動揺しつつ、始めていた。でも僕は始めなかった。まずは鬼倉さんの安否の確認をするために倒れている場所に向かった。

「大丈夫ですか。鬼倉さん」

「……」

 僕は鬼倉君に声を掛けたが何の反応もなかった。まあ返事はなしか。あんな攻撃をくらって死にはしないけど気絶しなかったら、すごいと思う。今は気絶しているからいいけどもし気絶してなかったら骨の二、三本は折れたと思うから痛そうにわめいていたと思う。

「神隆さん、どうするんですか?気絶しているみたいですよ」

「そこらへんに放置でいいよ。鬼倉君には態度をわきまえてもらわないと」

「分かりました」

 神隆さんの言った通りにその場に放置しておいた。僕は自分の席に戻り、神隆さんが願い事でくれた本を読もうとした。

「あれ?この時間に提出物しなくていいの?この時間しかできないのに結構残っているんだろ」

「別に面白そうだったから参加しただけなので気が向いたらやりますよ」

「そっか。他のみんなは必死でやっているけどね」

急に神隆さんに話しかけられて、びっくりして怒られるかと思ったけど、怒られずに済んだので少しほっとした。そしてすぐさま本を読んだ。てか、神隆さんはいつまで僕の隣にいるんだろう?

数分が過ぎて僕は泣いていた。やっぱり純愛は最高だ。こんなに感動するジャンルなんてあったら……あるはずがないな。そんな感じに勝負だとしても普通にサボっていた。時間というのは過ぎるが早く気付いたら、今日の居残り時間の十分前だった。そこで僕は最後くらいはやろうと思い集中してやった。

「……」

好きなものには時間が過ぎるのが早いが何で勉強とか嫌いなものをする時はこんなに時間が長く感じるのだろう。これって提出物が終わった人は居残りの時間の時にこの教室から出ていけばいいんだよな。

でもここで終わったらどんな顔されるんだろうな……そんなこと考えたら出ない方が楽しそうだしな。

「今日は終了!みんな知っている通り明日が最後だからよろしく」

 僕が提出物を終わらして出るのをやめようと思ったら、チャイムがなり神隆さんが終了の声を掛けた。

「神隆さん。もうそろそろ鬼倉さんを起こした方が……」



「そうだね。でも俺が起こすとまた殴ってくるし、その時は殺してしまいそうだからよろしくね」

「「はい!」」

 神隆さんはそう言って教室から出た。声が被ったような?たぶんなんていう人だっけ……霜北だ。確か始めっていうあいずが鳴ってから必死で提出物をやっていたような気がするから忘れていた。

「すまない。少しあまりの殺気に驚いて声が出てしまった。お詫びに鬼倉君を起こしに行ってくるから木見原君はもう帰っていいですよ」

「あ、ありがとうございます」

 霜北さんは何かを考えているのだろう。たぶん提出物をやっている伊美山さんと波奈さんの妨害だろう。僕は基本的に本しか読んでいないからあんまり警戒されてないと思うけど。

 僕は霜北さんの言葉に甘えて帰る用意をした。勿論二人も何も言わずに帰る用意をしていた。

「霜北さん。ありがとうございます」

「いえいえ。礼を言うのはこっちです」

 感謝のなすりつけ合いをしながら僕は教室を出た。今日はもう帰ろう。

「ちょっと待ちなさい。あなた私のガードマンとして働きなさい」

 教室を出て下駄箱で靴に履き替えたところで伊美山さんに声をかけられたがわけの分からないので無視をして外に出た。その後に僕の横にきて何回も声をかけられたが言い方が気に食わなかったので無視をした。そして、やっと僕が何故無視をしているかを理解してようで深呼吸をしていた。

「私と居残りの件で手を結んでくれない?まあ当然優しく接しているのだから返事をしてくれるわよね」

「やっとましになりましたね」

「……!急に話されるとびっくりするわ」

「すいません」

「……」

伊美山さんは僕が返事したことに驚いて黙ってしまった。返事をしてくれないと思ったのだろうか?

「家の方向はどこかは知りませんが僕についてきていいのですか」

「別にいいの。私もこっちの方向だし」

 伊美山さんの言葉が若干変わったことに気付き見たら少し照れていた。なんか変な事言ったか。でも伊美山さんっていつもあんな口調かと思ったけど意外と可愛い一面もあったんだな。

「そうですか」

「そんなことはどうでもいいのよ。私が知りたいのはガードマンになってくれるかどうかよ」

 普通の伊美山さんに戻ってしまった。でもこれは学校にいる時の伊美山さんに戻ってしまったと言う方がいいかも知れないな。本当の伊美山さんなんて知らないしな。

「さっきの可愛かった口調で話してくれるんだったらいいですよ」

「可愛かった……。あなたSなの?私の恥ずかしい姿見て楽しんでるの最低ね」

僕の言ったことにそんなに大げさな反応をしなくていいのに話があまり進まない。帰りたいのに。

「勝手に僕がS扱いしないでください。SとかMとかのどっちでもありませんから」

「そう。でもいちいち話がずれると腹が立つからやめてくれない。ガードマンをやるのかやらないのかどっちなの」

 確かに伊美山さんの言っていることは正論だ。帰りたい自分が話を逸らしていて、何も言えない。というか入るメリットないと思うんだが……。

「質問なんですけど、僕にメリットってあるのですか?」

「それは……」

少し考えているな。まあ伊美山さんのことだしメリットなんてないよな。

「あなたの言っていたことをするわ」

「えっ!?」

「だから今からあなたと一緒にいるときだけ普段の口調にしてあげるって言っているの」

普段の口調ってあんま変わんないような……。

「分かりました。僕もガードマンになりましょう。でも最悪のことが起きない限り何もやりません」

「はぁ!?ちょっと喧嘩売ってんの!人がせっかく優しく接して同盟を組んであげようと言っているにその態度何!」

伊美山さんは僕に切れた。やばい。やらかしてしまった。早く帰りたいって言う感情が強くなりすぎて言葉の選択肢に失敗した。……思ったけど、ある意味これを使えば、同盟とかガードマンとか無効になって帰れる。

「すいません」

「……その一言だけ?」

「その言葉しか見つからなくて」

「もういいわ。罰としてあなたの条件でいいから明日は頼んだよ。私はこのストレスを他の人で解消してくるから」

伊美山さんは最後にさらっとやばい発言を残して去って行った。僕の犠牲になった人すいません。でも去っていく時に伊美山さん嬉しそうだったな。ストレス解消が楽しみなのか。ドSは恐ろしいな。

「さっさと帰ろう」

「帰ると思う思う?」

僕が本音を口にして帰ろうとすると突然後ろから声がした。後ろを振り向くとそこには波奈さんが僕を待っていた時に読んでいた本をカバンにしまい近付いてきた。

「ふぅ~」

「やめてください」

 波奈さんはいきなり僕の耳元で息を吹き込んできてこそばゆかった。波奈さんは見た目とは違い意外と強引な性格だった。

「少し話がしたいの。ここだと色々とまずいから場所を変えてちょうど近くにある公園に移動しましょ」

「なるべく手短にしてください」

 僕たちは近くにあった公園のベンチに座った。

「早速本題だけど、私もあの条件で同盟を組んでくれないかしら」

「あの条件って?」

「さっき伊美山さんと同盟を結んでくれって言われたんじゃないの」

「はい。そうですけど……」

最初から波奈さんはついて来たのか。となると波奈さんも言うことは同じってことか。

でも伊美山さんでもそうだったけど波奈さんとも同盟を結んでも何のメリットもないような。

「その顔は僕にはメリットがないからって同盟を結ぶ必要はなってことかしら?そんなことないわよ」

「それはどう意味ですか」

僕は息をのんだ。波奈さんは強引だからどんなことを言うのかと期待してしまった。

「伊美山さんの条件とは違ってどんなことでも聞くわ」

「どんなこともですか?」

「ええ」

 波奈さん堂々とよくそんなこと言えるな。僕がどんな人か知らないからいけないことをするかもしれないかもしれないのに。

「まあ分かりました。どんなことをしてもいいって話なんですけど」

「もう命令をするなんて早いね。妄想し過ぎてどれにしょうか迷って時間がかかるって思ってたんだけど違ったのか」

「妄想なんてしてませんしまだ同盟を組むなんて言ってませんよ」

「そっか」

波奈さんは僕が返答を返すと少し哀しそうだった。なぜみんな僕に同盟を組もうとか言ってくるんだ。僕は波奈さんが無理をしているんじゃないのかと思った。普通の人だと僕みたいな人なんかにどんなことでもしていいから同盟を組もうだなんて絶対に言わない。せいぜい言えたところで伊美山さんぐらいだ。

「ところで質問なんですけどこのゲームに勝ったら、どんな願い事を叶えますか」

 波奈さんは僕の質問に考えていた。同盟を結ぼうとか言ってるけど、何で同盟なんか結ぶ必要があるんだ。あのゲームには一人しか願いごとが叶わないのに。

「そうね。私は見た目がこんなんだし、人が寄って来ないからあなたと一緒にもっと話したい」

「えっ!」

僕は波奈さんの言葉に驚いた。まあ確かにあの性格や見た目だったら近寄りがたい人だけど僕以外にもっといい人がいるんじゃないのかな。と疑問にも思ったが嬉しかった。

「嘘よ。こんな簡単に信じるなんて面白いわね。……でもあなたみたいな人がそばにいてくれると心が落ち着くわ」

「そうですか。それはよかったです」

「あなたは誰にも優しいのね。だからこのゲームに入った女子は……。ところであなたの願いは何なの?」

 僕の願いか……。そんなことなんて当然決まっている。

「本がほしい」

「言うと思ったわ」

 なんかあってすぐではないけど に打ち解けたような気がする。

「分かるなんてすごいですね」

「あなたのことなんてすぐに分かるわよ」

 僕はいつの間にか話が盛り上がり話し込んでしまった。そして僕たちは夕日が沈むまで話し続けた。そして同盟の件に関しては同盟を組むと言った。もし二人が救いを求めているのならその時は……。

「そろそろ日が沈みますから帰った方がいいんじゃないですか」

「そうするわ。今日は楽しかったわ。ありがとう」

 そして波奈さんと別れた後に家に帰り明日の用意をしてすぐに寝た。


「おはようございます」

「ああ。おはよう」

僕は今登校をしていた。先生とあいさつを交わして教室へ向かおうとしている。ゲームの噂とかは教室に着いてからも耳に入らず、普通の日常だった。でも少し変わったことがあった。

「おはよう。木見原君」

「おはようございます」

 波奈さんにあいさつをされたのだ。僕は普通に返したが、教室に一瞬静寂が訪れた。まあ静寂が訪れたのは当然だろうと思った。僕は本をずっと読んでいて他の人とも交流なんてないし、波奈さんは近寄りがたい存在だ。その二人があいさつをいきなりあいさつを交わしたとなると異例の事態だろう。でもこれって同盟の一環なのか?そんなことを考えていると担任が来た。

「ホームルームを始めるぞ。席に着け」

 担任が教壇に立ち話していたのを見て昨日の神隆さんのことを思い出した。今日が最後の日なのか。振り返ると色々あったな。まあ昨日のことなんだけどな。

 ぼっとしている間にホームルームは終わり授業の準備をしていた。

「ちょっといいかしら」

「はい」

準備が終わり、席に着いた時にまた波奈さんが僕に声をかけてきた。今日は昨日に増して積極的に話してくるな。

「今日も居残りはあるのかしら」

 波奈さんの質問に僕も気になっていることだ。ここに神隆さんがいれば聞けるのに。そんなことを思っていたら

『今日は居残りあるよ』

と神隆さんの声が脳裏をよぎった。 

「波奈さん」

「ええ。私は少し自分の席に戻るわね」

波奈さんは自分の席に戻った。

 僕は授業中にいろんなことを考えて、放課後があっという間に来た。

「失礼します」

「遅いよ。木見原君みんな居残りが始まった時から席に着いてやっているよ。しかも今日がラストだから楽しくなってくると思うよ」

「そうですか。それは楽しみです」

 僕は教室に入ってから、少し神隆さんと話してからいつもの自分の席に着いた。鬼倉さんはまた気絶をしていた。鬼倉さんは脱落だな。

「あとみんなにはやってもらったんだけど、どんな願い事を叶えて欲しいか紙に書いてもらったんだけど、木見原君にもやってもらおうかな」

「分かりました」

 紙を受け取って、未来の純愛の本がほしいと書いた。

「どうぞ」

「おっ。ありがとうって、お、面白いね。じゃあみんなの紙がそろったことだし、やっているままでいいから、発表します」

「発表する必要がありますか」

 今日の居残り始めての他の人の言葉を聞いたのは霜北さんだった。僕は霜北さんも方向を向いたら、話ながら提出物をやっていた。ハイスペックだな……。僕の後ろには一様波奈さんがいたが波奈さんは寝ていたので、この話が終わったら起こすことにした。その間に寝顔をいただきます。いい夢を見てそうだな。

「あるよ。楽しいから」

「僕のは言わないでくれますか」

「別に念動力の能力がほしいっていいことだと思うんだけどな」

 神隆さん。遊んでるよな。霜北さんは言われてめっちゃ恥ずかしい顔してるけど、手は動いてるんだな。

「続けて、鬼倉君は友達が欲しい。木見原君は未来の本がほしい。波奈さんは一緒にいてくれる友達が欲しい。伊美山さんはドMメイドがほしい。みんな個性があって面白いですね。じゃあ後は頑張ってください」

 みんないろんなことを願うんだな。特に霜北さんの念動力って何に使うんだろうな。カバンとかの持ち運びなのか。まあゲームは始まったし、本を読みながら二人に何かないか見るかだけど。

「残り三十分。木見原君。波奈さんを起こしてあげないとさすがに最後の日に寝てしまって終わりなんて可哀想過ぎるから」

「はい。波奈さん起きてください」

僕は神隆さんに言われて、すぐに起こそうとした。霜北さんの念動力の疑問のせいで忘れてしまっていた。

「ここはどこなの?」

「居残り中です。すぐに起こそうと思ってたんですけどすいません」

「そう。私は提出物がたくさんあるから私は脱落ね」

「……」

 僕は何も言えなかった。同盟を結んでいるのにも関わらず、まだ脱落じゃないけど机に乗っている提出物の量を見て間に合わない量だと悟って行ったのだろう。

「僕が提出物を手伝います」

「えっ!」

 波奈さんの机にあった提出物を取ってやり始めた。

「神隆さん。あれっていいのですか」

「うん別にかまわないよ。ルール違反じゃないからね」

「じゃあこのまま行けば、二人に提出物の量を抜かされてしまう。そうなってしまったら能力を手に入れて友達をたくさん作ろうって持っていたのに無理じゃないか」

「同盟を組んだのならそっちなんて手伝わないとこっちを手伝いなさいよ。木見原」

僕は二人の訴えを聞いて二人を見ていると泣いていたりしていた。しかも霜北さんの本当の願いって友達が欲しいって、このゲームに参加している人の友達率低くないか?

「波奈さん。すいません」

「木見原君何をするつもりなの?」

僕は二人の光景を見て自分のやっていることに馬鹿らしく思えてきた。そして僕は波奈さんに提出物を返して神隆さんの所に行った。

「願い事の変更ってできますか」

「できるけど」

「それじゃあ、僕以外の人の願い事を叶えてあげてください」

「君はそれでいいんだね」

「はい」

「木見原君。なんでそんなことをするの?」

「実は提出物なんて昨日に終わってたんですけど、まさかこんなことなるなんてすいません。だから気にせずに願い事を叶えてください」

 僕はカバンを取って、扉を出た。

「願い事はさっき言ったことでいいんだね」

「はい」

そしてゲームは終わった。あの後のみんなの様子は少し変わり、僕によく接してくるようになり、それはよくよく友達になったりそれ以上の関係になったりした。あのゲームはなんだったのかは知らないが僕たちの関係を大きく変えたことには変わりなかった。

               終わり



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ