第2話 ファミリー・ホーム ※ステータス投票を受付中です
~前話のおさらい~
14歳の少年はゲームを買おうと街に出掛ている途中、少年はトラック轢かれる事故に遭う。
だが、少年は不思議な事に何事も無かったように信号を渡り切っていた。
身体の節々の痛みが気になりながらも、ゲーム「ファンタジー・デイズ」を購入して帰宅する。
「ファンタジー・デイズ」にログインするボタンを押した瞬間、少年は息絶えた。
ゲームの世界に意識を奪われた少年の名は、優木 咲。
咲はゲーム世界に囚われた現実に受け止められないまま女神の声を聴く。
「元の世界に帰りたければ、世界に散らばる宝石を集めよ」と女神は告げて消え去った。
咲はさっそく自分のステータスを確認した。
~本編~
★★★★★★★★★★★★★★★★
プレイヤー名・咲
性別・男性
年齢・14歳
職業・なし
打撃・10ポイント Plus10
射撃・0ポイント
法撃・0ポイント
耐性・0ポイント
体力・0ポイント
素早さ・10ポイント Plus10
打撃スキル・0ポイント
射撃スキル・0ポイント
法撃スキル・0ポイント
特殊スキル・0ポイント
所持ポイント・0ポイント Minus20
★★★★★★★★★★★★★★★★
「攻撃と素早さにポイントを振り分けた。これで、素早く攻撃出来る!」
咲はステータスを振り分けた。
身体の周りから白色のエフェクトが輝いた。
「本当に僕はファンタジーの世界に来ちゃったみたいだ」
レンガ造りの時代遅れな街並みが広がる。
剣や銃や魔法使いの杖がお店にずらりと並び、旅人や騎士たちが物欲しそうに眺めている。
「僕も武器を買いたいな。打撃と素早さにポイントを振ったから剣が良いかな」
「おい小僧。金は持ってるのか?」
店の店員に話しかけられた。
咲はこの世界のお金など持っていないことに気付く。
「お金持ってないです。ごめんなさい!」
咲は慌ててお店を飛び出した。
意識だけ飛ばされたせいか、ボロボロの服に空のポーチと最低辺の装備だった。
「はぁ・・・これから僕、どうなるのかな?」
咲はため息を零した。
14歳の咲はまだ仕事を持ったことのない幼い男の子。
未知の社会で生き抜いていけるほど体力や技量は持ち合わせていない。
「もうすぐ夜になる。今日はこのベンチで寝よう」
太陽は傾き、暗い夜が訪れる。
現実世界は真夏なのに、こっちは真冬だった。
咲の息は真っ白になっていた。
身体の熱はみるみる内に奪われていく。
「さむい。さむい。さむいわ」
咲は二の腕を擦る。
お腹が空いていたが、寒すぎて気にもとめなかった。
「お母さん。お父さん。家に・・・帰りたいよ」
咲は静かに眠りに就いた。
いつの間にか降りはじめた粉雪が咲の身体に積もっていく。
寝ていても震えが止む事は無かった。
「君、どうしてこんな所で寝ているの?」
女性の声が聴こえた。
寝ぼけている意識の中、咲は答えた。
「僕には家がありません。お金もありません。独りぼっちです」
「・・・そう。こんな所で寝てたら死んじゃうから私の家に連れて行くね」
「・・・」
咲は返事をする間もなくまた眠りについた。
夢の中で、ずっと誰かに抱きしめられていた。
冷えきっていた身体は徐々に暖かくなった気がした。
「目が覚めたみたいね 」
咲は目を覚ました。
眩しい朝日が瞳に映る。
身体には毛布が巻かれていた。
咲は誰かの家のベッドで寝ていた。
「僕・・・どうしてここに?」
「私が家まで運んできたのよ。あなた、死ぬとこだったんだからね」
咲はきょとんとした顔で女性を見つめる。
女性の頭にはふわふわの猫耳が付いていた。
「あ・・・の。頭に付いている耳は飾り物ですか?」
「え!?本物に決まってるわよ。猫耳族なの」
猫耳族という言葉を咲は理解できなかったけど、この世界がファンタジーだった事を思い出す。
ファンタジーは基本的に未知の事象で満ち溢れている事を咲は知っていた。
「僕、これからどうすればいいのかわからないです。仕事をしたこともないし知識もろくにありません」
「両親は居ないの?」
「・・・はい。独りぼっちです」
「ギルドって知ってる?冒険者や旅人、騎士や賞金稼ぎとか色んな人達が家族の様に絆を深める団体みたいなものがあるのよ。参加してみない?」
「・・・ギルド」
咲は女性から一枚の紙を渡された。
それは、ギルドの招待状だった。
ギルド名は「ファミリー・ハウス」と書かれている。
「私はそのギルドの団長なの。入ってくれたらあなたを家族として受け入れるわ」
「家族の家。ここに入れば、独りぼっちが終わらせられるかもしれない」
咲は暖かい毛布を握る。
助けてくれた感謝と家族として受け入れるという言葉に咲の心は揺れる。
「僕はこのギルドに入団したいです!ギルドの為に精を尽くします。僕をこのギルドに入れて下さい!!」
「あなたの入団を認めるね!よろしくね。私の名前は優香よ。あなたの名前は?」
「ありがとう。僕の名前は、咲です。咲って呼んで下さい」
「よろしくね咲。私の事は優香って呼んでね」
「はい!」
咲は優香とギルド入団の契約を済ませた。
部屋のドアからドタドタと音がしている。
「もう!入ってきていいわよ」
部屋のドアが開くと4人の少年少女が倒れた。
みんな笑いながら咲を見ている。
「俺の名前はルクス。よろしくな。咲」
「あたしはメルです。よろしくね。咲くん」
「俺は蓮。家族になれてよかった」
「私は亜実だ。よろしく頼む」
「みんな咲が独りぼっちだと知って心配してたんだ。家族になれたことを本当に嬉しく思ってるよ」
「あ・・ありがとう!こちらこそよろしくね」
咲は顔を赤く染めながら返事をした。
「団長から団員の軽い紹介をするね。ルクスは18歳の旅人だ。ルクスはたまに旅で居なくなるが気にするな。メルは17歳の冒険者。メルは腕利きの魔法使いだ。蓮は16歳の賞金稼ぎ。蓮は多彩な銃弾を作れる銃使いだ。亜実は18歳の騎士だ。亜実は一流の剣技を習得している。最後に私は17歳の団長よ。私はギルドの管理が仕事かな。いっぱい喋っちゃったね」
「紹介してくれてありがとう。みんなの事を知れて良かった」
咲は優香に連れられて、咲の部屋まで案内してくれた。
ベッドど本棚しかない小さな部屋だったが、咲は自分の部屋をくれたことが嬉しかった。
「ここが咲の部屋だよ。自由に使ってね」
「ありがとう!」
「咲はどんな職業に就きたい?冒険者や旅人、賞金稼ぎに騎士とかギルドメンバーに教えてもらえば働けると思うよ」
「どんな職業にしようかな?どれも魅力的でやってみたいけど・・・どうしよう」
咲は元の世界に帰る方法の事を思い出した。
世界に散らばる宝石を集めなければ元の世界には帰れない。
世界を巡りながら仕事をするなら旅人が適していた。
「世界に散らばる宝石を集めたいから旅人になりたい!」
「よし!決まりね。じゃあ後でルクスに旅人の仕事を紹介して貰おう」
「うん!」
咲は優香と別れ、ルクスの部屋のドアをノックした。
「はーい。入ってきていいよ」
「ありがとう。お邪魔します」
「おお、咲か。旅人になりたいのか?」
「うん。世界に散らばる宝石を集めたくて」
「宝石か。また凄い夢を語るな。宝石は旅人にとって最高の目標だ。森の神・水の神・火の神・雷の神・光の神・闇の神がそれぞれ護っている幻の代物だよ。本当に宝石を手に入れたいのか?」
「手に入れなくちゃだめなんだ。お母さんとお父さん、本当の家族に合う為に」
ルクスはため息をついた。
真っ直ぐに咲の瞳を見つめた。
「本気の目をしてるね。過酷な夢だけど君なら叶えられる気がするよ。わかった。俺がその旅を手伝ってやるよ」
「え!?いいの?」
「俺の夢はこの世界の世界地図を書くことだ。神の居場所は地図にも載っていない。一緒に探そうぜ」
「ルクス。ありがとう」
「神を倒すとなると、ギルドメンバー全員で協力しないと到底倒せないな。神の居場所を見つけたらみんなに協力して貰おう」
「うん!」
咲は、旅人についての基本的な知識をルクスに教わった。
「咲はどんな武器を使いたい?剣なら亜実、銃なら蓮、魔法ならメルが得意だよ」
「打撃と素早さにステータスを振ったから、剣を使おうと思う!」
「なら亜実だな。亜実は騎士だから厳しいよ!がんばれ」
「わかった!」
咲はルクスと別れ、亜実の部屋に訪れた。
緊張気味にドアをノックする。
「咲です。剣技を習いに来ました」
「ちょっと待ってね」
「はい!」
少しして亜実の部屋のドアが開く。
「どうぞ、入っていいよ」
「はい!お邪魔します」
咲は部屋を見渡す。
可愛らしい女の子を部屋に初めて入った咲は顔を赤らめる。
程よい甘い香りも漂っている。
「か、可愛らしい部屋ですね」
「女子の部屋はこんなものだよ。緊張してるの?」
「・・・はい」
「咲も男の子だけど可愛いね。剣技を習いたいの?」
「はい!神に勝てるくらい強くなりたいです!!」
亜実は咲の身体を見つめる。
鞘に収めた剣で咲の身体の部位を叩いていく。
「まずは、身体作りだね。筋肉が付いていないと剣技なんて全く身に付かない」
「筋肉トレーニングをすればいい?」
「そうだな。まずは腕立て100回、腹筋100回、背筋100回、3kmをジョギングを毎日繰り返せば筋肉は自然に付いてくる」
咲はゲーム中ならステータスを振るだけで強くなれると思っていた。
ステータスには筋肉にポイントを振ることは出来ない。
努力しなければ手に入らない物もあるみたいだ。
「わかりました!今日から頑張ります!!」
「うむ。良い意気込みだ!しっかりと身体が出来上がったら剣技を教えよう」
「はい!」
咲は、筋肉トレーニングを始めた。
腕立てを100回して、腹筋を100回をして、背筋を100回した。
初めて筋肉トレーニングした咲には、少し筋肉痛になってしまった。
それでも、夜の街を咲は3km分走り続けた。
「ふぅ。筋肉トレーニングってしんどいね」
「毎日続けていれば楽になるさ。騎士団の騎士はこれの10倍の筋肉トレーニングをこなしているぞ」
「騎士は大変なんだね。僕はこれだけでへとへとだよ」
「民の命を護る仕事をだからな。厳しい代わりに騎士は皆、とても信頼されている」
亜実は騎士の仕事の時間以外はずっとトレーニングに付き合ってくれた。
毎日欠かさず筋肉トレーニングしていたお陰で、15日後には筋肉トレーニングが辛くなくなっていた。
咲の腕と足には筋肉が程よく付いていた。
「なかなか良い身体になったな。一流の剣技を習得するにはそんな程度では無理だが、基礎の剣技なら充分だ」
「教えてくれるの?亜美!」
「ああ。剣技は私に任せろ」
「ありがとう!!」
咲は亜実に剣で戦う基礎を教えてれた。
相手の攻撃を受け流す剣技や相手に攻撃を当てやすくする為の重心の動かし方など徹底的に教わった。
「はぁはぁ。いきます!」
咲は亜実に向かって剣を振るう。
教わった通り、重心を振りたい方向に適度に動かす。
少し重たい一撃を亜実の剣に与える。
「なかなかいいぞ。今度は受け流してみろ!!」
亜実は咲に向かって鋭い一撃を浴びせようと、剣を振りかぶった。
咲は剣の軌道を瞬時に予想し、剣の刃を斜めにして円を描くように受け流した。
「出来たよ!亜実!!」
「咲は成長が早いな。次、行くぞ!!」
「はい!」
亜実は日が暮れるまで練習に付き合ってくれた。
咲は剣技の基礎を完璧にマスター出来た。
剣の必殺技は打撃スキルにステータスを振らなければ手に入らないが、通常攻撃の剣技は自力で鍛える必要があることも亜実から教わった。
「おかえり!咲も亜実もよく頑張ったわね」
「ただいま」
「ただいま~」
「ふたりでこんな夜遅くまでイチャイチャしてたんじゃね?」
「蓮!頑張って稽古してたんだから冷やかさないでよ」
「はいはーい」
帰る家がある安心感。
みんなが傍にいてくれるから孤独感は感じなくなった。
ゲームの中の人達はまるで本物の人間の様に感情が豊かだった。
もしかすると、ゲームの世界じゃなくてどこかの別世界なのかもしれない。
死後の世界の可能性もある。
まだこの世界の事は何も解っていない。
咲は久しぶりに自分のステータスを確認した。
★★★★★★★★★★★★★★★★
プレイヤー名・咲
性別・男性
年齢・14歳
職業・なし
打撃・10ポイント
射撃・0ポイント
法撃・0ポイント
耐性・0ポイント
体力・0ポイント
素早さ・10ポイント
打撃スキル・0ポイント
射撃スキル・0ポイント
法撃スキル・0ポイント
特殊スキル・0ポイント
所持ポイント・30ポイント Plus30
★★★★★★★★★★★★★★★★
咲はステータスを振り分けた。
身体の周りから白色のエフェクトが輝いた。
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第2話はここまでです。
ステータス振りは読者の皆様の意見で振り分けようと思います。
感想やコメントやメッセージなどで振り分けたいパラメータを書いてください。
一人につき、10ポイントまで振ることが出来ます。
30ポイント振り終わった時点で終了します。
また次回のお話でチャレンジしてください。
最後に、読んでくれてありがとう!
※投票人数が少ない場合は、投票してくれたステータスを考慮して残りのポイントを振ることがあります。
※ひとりにつき投票出来るポイントを5ポイントから10ポイントに変更しました。
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プレイヤー名・咲
性別・男性
年齢・14歳
職業・なし
打撃・10ポイント
射撃・0ポイント
法撃・0ポイント
耐性・0ポイント
体力・0ポイント
素早さ・10ポイント
打撃スキル・0ポイント
射撃スキル・0ポイント
法撃スキル・0ポイント
特殊スキル・0ポイント
所持ポイント・30ポイント Plus30
★★★★★★★★★★★★★★★★