第1話 ファンタジー・デイズ ※ステータス投票を終了しました
気が滅入る様な眩しい日差しの中、少年は歩いていた。
少年がこんな暑い真夏日に街を出歩く目的はゲームの購入だった。
「ファンタジー・デイズ」と呼ばれるオンラインゲームをプレイするには専用のディスクとハードが必要だった。
「あっついわ。あつい。あつい」
滴る汗。
ハンカチで拭いても拭いても拭ききれない。
この日の気温は35℃。
記録的な猛暑日にゲームを買いに来た事を後悔しながらも少年は歩き続ける。
少年の名は、優木 咲。
今年の7月27日に14歳になったばかりの男子中学生。
咲は学校の成績は良く運動神経も抜群だった。
「ふぅ~。やっとお店に着いた」
小さなゲーム専門店に咲は入った。
強めに効いたクーラーが身体を冷やしていく。
汗も冷たくなり咲はとろけそうな表情をした。
「ここは天国だよ。クーラー愛してる!愛してるよ!!」
クーラーの冷たさに癒やされてすっかり忘れていたゲームのディスクとハードを探し始める。
ずらりと並ぶ新作ゲーム達。
「ファンタジー・デイズ」は人気第一位のコーナーに飾ってあった。
ディスクとハードはどちらも残り1つだけだった。
「よかった~!一歩遅かったら売り切れだった!!」
咲がディスクとハードに手を伸ばした時、ちょうど手を伸ばすもう一つの手があった。
綺麗な黒髪に淡い赤色の髪飾りを付けた女性の手だった。
「あ!ごめんなさい。これあなたも買うの?」
「え・・・あ・・・はい。買いたいです」
咲は女性の美しさに顔を赤らめる。
思い切り動揺して顔を逸らした。
咲の心臓は鼓動を速める。
「残り1つずつしかないね。どうしよう」
「あ・・あの!譲ります!!僕、別の店舗に行くのでお構い無く!」
咲は高鳴る鼓動を押さえ込んで、精一杯声を出した。
彼女も出来たことのない咲にとっては美しい女性は刺激が強すぎた。
慌ててお店を飛び出した。
「はぁはぁ。譲っちゃった。それにしても綺麗な人だったなぁ」
また肌を焼く様な眩しい日差しの中、咲は歩き続ける。
近くのゲーム専門店はここから歩いて1時間もかかる。
ため息交じりに咲は歩いた。
「それにしてもあつい。今日はあつい」
あついばかり呟いていることも気にとめずフラフラになりながら進んだ。
信号は赤に変わる。
咲の暑さで滲んだ視界には信号の色を捉えなかった。
左から大型のトラックが近付いている。
そんな事にも気付かず、咲は横断歩道に踏み入る。
「あつい」
周りの人々は口を開く。
見てはいけない物を見てしまったように慌てふためいている。
「あ・・・れ?」
咲の視界が赤く染まる。
一瞬、温かい雨を肌に感じる。
空はこんなに晴天だったのに可笑しいなと咲は思った。
痛みは無かった。
ただ、時間の流れが終わった事を意識は感じていた。
「あ・・・れ?」
咲の視界が綺麗になった。
咲は何事も無かったかのように信号を待っている。
「今、トラックに轢かれなかった?あつすぎてバカになっちゃったのかな」
空は相変わらず晴天。
温かい雨も降っていないしもう気にせずお店を目指した。
「ふぅ~。着いた。あつかった」
結局、1時間20分も掛かった。
ここに来る途中、身体の節々が痛くなって歩くのが遅くなっていた。
クーラーの冷たい風を浴びながら咲の表情は明るくなる。
新作ゲームがずらりと並ぶ中、「ファンタジー・デイズ」はやはり人気第一位として飾ってあった。
ディスクとハードはまだ3つずつあった。
「よかった。やっと遊べる」
咲は、ディスクとハードを手にレジに並ぶ。
さっきから身体の節々が痛い事が気になっていたが、咲の頭はゲームの事でいっぱいだった。
「お会計お願いします」
「かしこまりました。合計で6万5000円になります」
咲は万札が沢山詰まった財布を開ける。
2年間少しずつ貯金してきたのだ。
誇らしげにお金を差し出した。
「お買い上げありがとうござます!」
「やったぁ!はやく帰ってやりたいな」
「お・・お客様。失礼ですがあなた、死んだような目をしてますね?」
「え?ああ。そうなんですか」
咲は愛想笑いをして店を出る。
死んだような目をしてるなんて初めて言われたが、動揺はしなかった。
「ファンタジー・デイズ」は咲にとってずっと楽しみにしてきたゲームだった。
学校中の生徒達はもう既に遊んでいて、このゲームを遊んでいないで会話に参加出来ず虐められてきた。
厳しい父を二年間説得して、ようやく買うことを許された。
これで虐めに遭うこともなく、みんなと仲良く出来る。
そんな希望さえ抱いている。
「あれ?暑くない」
こんなに焼きつく様な日差しが照っているのに、暑さを感じない。
汗もかいていない。
「痛い!」
歩く度に身体の節々に痛みが響く。
さっきよりも痛みが増してきている気がする。
「はやく帰らなきゃ」
2時間掛かって家に帰宅した。
咲の家は2階建ての一軒屋だった。
階段を登ろうとした時、膝が上がらない事に気付く。
仕方が無いから這うようにして、階段を登る。
「はやく・・・ゲームを付けよう」
説明書も読まず、焦ったように電源コードをテレビに繋ぐ。
電源を入れて、ディスクを入れた。
テレビのモニターには「ファンタジー・オンライン」のタイトルが表示されている。
後は、コントローラーのAボタンを押せばゲームにログインできる。
「・・・」
咲がAボタンを押した瞬間、温かい雨は降り始めた。
意識が赤い視界と共に奪われていく。
「・・・。ここは?」
涼しい風が頬を掠める。
クーラーではない。
自然の風だとすぐに判断できた。
「夢を見てるみたいだ」
そこはまるで、ゲームの中にでも入った様だった。
街行き交う人々は戦士や魔法使いのような服装の人ばかりだ。
咲の頭上には、体力を表すHPバーが見える。
小さなポーチの中はまるで4次元のような広い空間だった。
「聴こえる?」
脳内に誰かの声が流れきた。
若い女性の声だった。
「・・・うん。聴こえるよ」
「私は女神。そなたはこの世界に意識が奪われたようだ。無事に帰還したければ、この世界に散らばる宝石を集めよ。以上」
「待ってよ!!」
「・・・」
「唐突過ぎるよ。待ってくれないし」
咲は女神の声を何処かで聴いたことのあるような気がした。
元の世界の事を思い出そうとするとノイズがかかる。
咲はさっそく自分のステータスを確認した。
★★★★★★★★★★★★★★★★
プレイヤー名・咲
性別・男性
年齢・14歳
職業・なし
打撃・0ポイント
射撃・0ポイント
法撃・0ポイント
耐性・0ポイント
体力・0ポイント
素早さ・0ポイント
打撃スキル・0ポイント
射撃スキル・0ポイント
法撃スキル・0ポイント
特殊スキル・0ポイント
所持ポイント・20ポイント
★★★★★★★★★★★★★★★★
「レベルが無くて、全てポイントで成長するみたいだね」
咲はポイントを振り分けた。
身体の周りから白色のエフェクトが輝いた。
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
第1話はここまでです。
ステータス振りは読者の皆様の意見で振り分けようと思います。
感想で振り分けたいパラメータを書いてください。
一人につき、5ポイントまで振ることが出来ます。
20ポイント振り終わった時点で終了します。
また次回のお話でチャレンジしてください。
最後に、読んでくれてありがとう!
★★★★★★★★★★★★★★★★
プレイヤー名・咲
性別・男性
年齢・14歳
職業・なし
打撃・0ポイント
射撃・0ポイント
法撃・0ポイント
耐性・0ポイント
体力・0ポイント
素早さ・0ポイント
打撃スキル・0ポイント
射撃スキル・0ポイント
法撃スキル・0ポイント
特殊スキル・0ポイント
所持ポイント・20ポイント
★★★★★★★★★★★★★★★★






