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06 渡り鳥
空は蒼かろう
星は白かろう
雨の後には虹がかかり
そのふもとには宝物があるという
風はどこから始まり
どこに吹いてゆくのだろう
乾いた大地の胸に抱かれて
人は渡り鳥の夢を見る
今はもうない 緑の大地を 心は見渡す
そこには自由があったという
生と死があったという
戦いがあったという
翼のない私にはわからない
渡り鳥は空の彼方から
夜の星と月の明かりの中から
雨と虹の隙間から
全てを見ているという
その黒い瞳で 見つめているのだという