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04 少し走る

身体はいつの間にか温かくなって

川沿いの道は

車だと一、二分の距離だけれど

速く走ると知りえない風景


道と川の間の柵が途切れ

野草の土手が寄り添ってくる

病み上がりだから 速くは走れない

川音はからからと 穏やかに鳴っている


傾いたような 二階建ての家が連なっている

植木のない植木鉢が どうしてかどの家にもある

小さな庭に 花は咲いていない

当たり前のように 猫が歩いている


コンクリの道が砂利道になってくると

もう少し長く走っていようかななんて

思われてくる


何の為なのかわからない段差

首を傾げたくなる小橋

目的のなさそうな 変な形の空き地に

土地の年脈を感じる


日暮れに帰る子を見て

この川の土地に生まれたなら

違う人生を生きたのだろうか

なんて

ぽかあんと空想してしまう


ゆっくり走る

歩くように走る

追い抜かされても 不安は感じない

負けん気は遠い彼方にあるようだ


走り終わる頃

見知った土地に戻って来る

冷たい風 温かい身体


見上げると

遠くに浮かぶ 丸くて白い月

霧のような白い雲


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