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02 電車
たまに僕らはどこかへ行く
電車に乗っていると
知らずの内に
知らない駅を通り過ぎる
電車は田園を走っている
もしくは、長くて暗いトンネルを
吊革が揺れる 電車の振動に合わせて
決まって乗客は少ない
僕は鞄を確かめる
確かに自分だった
夢なのかもしれない
ここはどこなのか
どこへ向かっているのか
電車は止まらない
でも、どこかへ向かっている
懐かしい気もする
新しい風景かもしれない
車掌のアナウンスが流れる
妙に聞き取れない
そしてふと僕らは
知っている場所に降り立つ
鞄を確かめる
自分だとわかる
僕らは人込みを抜けてゆく