第一戦 昔話ノ話
俺の名前は…なんだっけな。自己紹介する気も起きねぇや。
そうそう、俺の名前は大神輝ノ助。25歳無職!
今はこのボロ屋で自由気ままに暮らしてるのさ。
俺は両親が割りと年をとってから産まれたらしく、もう両親は5年前に亡くなってこの世にいない…。
なんだか悲しくなってきちまったぜ。まぁ前向きに考えて暮らそう。
幸い父が残してくれたこのボロボロの小屋みたいな家のおかげで、暮らしていけてはいるが、そろそろマズイかな?と思いながらも5年近く暮らしてしまっている。まぁ、裏の山に行けば沢山謎の草が生えているし、生活に困ったら叔父さんの家に押しかけるから大丈夫だね!
そうそう、俺はこんな無職でぐーたらしてるからって、昔からなにも出来なかったわけじゃないんだぜ。学生やってた頃から「才能マン」なんて呼ばれていて、あの頃は気分が良かったなぁ〜。
「輝ノ助にやらせたら何でもできてしまう!」
なんて友達が言い出して、おいおいおい!なんて思ったけど、あの頃は出来たんだよなー。あんがい、今でもやる気さえあれば何でも出来てしまうのかもなー。
なーんて思っていたんだ…。そうしたらやつがきた。
ガッシャーン!大きな物音をたててボロ屋の横に立ててあった小屋の方から何かの話し声が聞こえてきた。
「いてててて、世界を越えた移動魔法なんて使うのはじめてだよぉ!痛かったなぁ!」
そう言って、舞う土煙に謎のシルエットが…。
小さい体。羽、ヒラヒラの服。まさかコイツ…妖精なのか…。
土煙が消える頃には、深々とした緑色のローブに見をまとい、肌は淡い黄色のような、目は丸くくりくりしている、小さな妖精が出てきた。
「やあ、そこのおにいさん。悪いね、小屋を壊しちゃったよ。すまないが直している時間がないんだ、これで我慢してくれないか?」
そう言って渡されたのが神々しい輝きを放つ硬貨。真ん中には顔が掘られている。あれ?なんか見たことあるぞ…
「これって…俺の顔か?」
「え?そんなワケ…え?おにいさんが勇者の生まれ変わりなのかい?」
そんなことを聞かれた。だがそんなことは知らなかった。
「生まれ変わり?いいや、分からない。」
「そうか…分からないのか。残念だね。僕の名前はオルタ!オルタ・コピって言うんだ!」
ズキン!頭の中が痛む。ずっと忘れていたような何かを思い出しそうな…。