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女神の箱庭II =ツナガルセカイ=  作者: 山吹十波
第2章 地を裂く、碧き爪
33/65

#02-01 あなたへの加護


戦闘が終わった後、すぐにコガネから迎えの車がよこされ、奏達は異常に高いビルの高層階の一室へ案内された。


「ああ、ごめんね。結局来てもらって」

「それはいいんですけど……ここどこですか?」

「うちの本社ビルだね。え?何か問題あった?」

「このビル高いんですよ……何ですか76階って」

「大阪の某ビルよりも高い日本最大のビルだよ」

「いや、そんなこと言われても……」

「というか、君らなんでそんなに疲れてるの?」

「戦闘の直後に呼び出したらしんどいわ!」

「まったく、これだから無能な指揮官は……」

「瑛大も翔も辛辣過ぎない?というか、明日香さんはどうしたの?」

「車酔いです」

「……乗り物弱いもんね、明日香」

「龍は大丈夫だったんですけど、車はダメでした」

「まあ、そもそも竜に乗ることが稀有な事態だからね……」

「稀有というか、普通ありませんよね。それより、遥人さん。呼び出した本題を」

「あー、うん」


そう言いつつ、遥人がモニターを見せる。


「今回の侵攻なんだけど、正直今までの奴とは正直規模が違ってね」


表示された日本地図に赤いマークが点々とついていく。


「都内だけで15か所。まあ、これは女神がかたまってるせいで、次元が歪んでるというキクロの説が有力なんだけど」

「えええ!?唐突に私たちのせい!?」


音羽が抗議の声を上げる。


「でも都内だけで、静音さん、奏さん、音羽さん、明日香さん、瑠衣さんに鈴音――あれ?日本にいる女神全員都内にいるの?」

『今頃気づいたのかよ!』


全員にツッコまれつつも遥人は続ける。


「で、今回は都内以外にも、静岡・神奈川・埼玉・山梨・長野・愛知でもほぼ同時間に発生していてね。クーゲル隊がこっちで頑張ってくれてたぶん、ハンザー隊がかなり大変だったみたいで、シャッテンも随分飛び回ってたし」

「まあ、こちらもクーゲル隊がいないとかなりやばかったですし、埼玉の方面は無理言ってメッサー隊に対応させましたし」

「まあ、それでも都内以外はかなり被害が出てるみたい。やっぱり戦力増やさないとヤバいかなって」

「それを私たちに言ってどうするの?」

「静音さん、ちょっとその辺の――自衛隊とか鍛えてみない?」

「え?嫌だけど」

「えええー、じゃあ瑛大にやらすしか」

「お前、労働基準法って知ってるか?」

「え?コレ労働なの?」

「おい、耀史。コイツほんとに賢いのか?」

「さあ?オレも将来がかなり不安になってきたよ」

「というか、暇な奴にさせればいいんじゃないの?――ほら、遥人とか」

「あのね、僕がどれだけ頑張って国と交渉してるか……」


遥人がわざとらしくため息をついて見せる。


「メッサー、ハンザー、シクル、クーゲルはもう増員決定だから、翼には働いてもらうけど」

「はあ!?」

「いいじゃないか、可愛い彼女と一緒にがんばれよ」

「そうだそうだ!」

「洋と翔もね」

「「えええええ!?なぜ!?可愛い彼女いないのに!?」」

「そこじゃないだろ……」

「じゃあ、タロは?アイツも暇だろ!?」

「いや、だって、タローは今奏さんの旗下みたいなもんだし……」

「貴様、何故そんなに羨ましいことに!?」

「オレも高校に戻りたい!」

「今、奏さんが女神だという事を再認識した」

「良かったな、お前」

「あとは杏理さんと利里さんにも手伝ってもらうかも」

「私は良いのか?」

「漸苑さんは静音さんの護衛……まあ、燕真だけでもいい気がするけど」

「護衛とはまた大層な……」

「というか新戦力として自衛隊を投入するのか?」

「あー、まあ、一応危険だからね。女神の加護持ちはめったなことで死なないけど……」

「ん?ちょっと待て」


瑛大が制止する。


「オレ、今そんな加護持ってないぞ?」

「え?あー、戦神の加護は解除状態だしね」

「まて、つまり、オレは死にやすいという事か!?」

「いや、瑛大は、見た目はあれだけど一応半竜の性質もってるから大丈夫じゃない?」

「じゃあいいや」

「よくないですよ!オレが死ぬじゃないですか!」

「そうだそうだ!というか、他の奴もそんなに加護持ってないだろ!?」

「え?」


遥人がモニターに全員の名前を表示させる。


「まず、僕だけど、“銃神の最愛”と“陽神の友人”の二つだけだけど持ってる」

「え!?私いつの間に遥人に加護を!?」

「さあ?」

「私の方がLv.5の加護、音羽さんの方がLv.2の加護ですね」

「常人の7倍死ににくい計算だよ」

「今ここで殺してやろうか?」

「落ち着くんだ、洋。で、それはどうやったら手に入るんだ?女神に貢げばいいのか?」

「一番持ってる人に聞いてみれば?」

「一番持ってる人?」

「奏さん」

「え?私そんな称号持って……増えてる!?」


『月神の最愛』 加護Lv.5/MP +15%/魔攻 +15%

『弓神の親愛』 加護Lv.5/HP +15%/敏捷 +15%

『陽神の姉』 加護Lv.5/物攻 +15%/魔攻 +15%

『裁神の妹』 加護Lv.5/魔攻 +15%/魔耐 +15%

『剣神の敬意』 加護Lv.4/HP +12%/物攻 +12%

『護神の敬愛』 加護Lv.5/物耐 +15%/魔耐 +15%

『牙神の敬愛』 加護Lv.5/物攻 +15%/器用 +15%

『魔神の敬愛』 加護Lv.5/MP +15%/魔攻 +15%

『銃神の戦友』 加護Lv.4/物耐 +12%/器用 +12%


「いつの間に!?というかここにいない人の分も」

「常人の43倍死ににくい計算ですね」

「何故ほどほどという事を知らないの……」

「これに関しては私のせいじゃなくない!?」

「奏さん、私の方に“幻神の最愛”があるんですけど喜んでいいんですよね?」

「というかオレたち大体奏さんか紫苑さんの加護ついてますよね?」

『うん』


大半の人間が頷いたところで、加護無組(瑛大、翔、洋)の三人が困惑する。


「えええ!?なんで私を見るんですか!?」

「奏なら加護をくれそうな気がして」

「そんなこと言われても、どうやってあげてるのかわからないけど!?大体加護称号自体も今初めて出てきたし」

「認識しないと出ないのかも……あ、増えてるわ」

「え!?あ、オレも増えてる!」


瑛大と翔が自分のステータスを見ながら声を上げる。


「“幻神の戦友”、Lv.4加護だな」

「え、オレの“幻神の友人”でLv.3なんですけど……」

「おーい、なんかオレも増えてたぞ……“幻神の憐憫”加護Lv.1」

「憐憫って……」

「憐れに思われてるんですね」

「お、なんか増えた……“月神の侮蔑”、あれ、これLv.3なんだけど加護じゃなくて“呪詛”なんだけど」

「打ち消されてるじゃん、憐憫」

「え?え!?マジで!?誰かオレに加護プリーズ!」

「おお、増えてるぞ!“裁神の拒絶”と“陽神の嘲笑”」


瑛大が洋が表示している表示枠を覗き込みながら声を上げる。

その隣で大郎が爆笑している。


「どっちも呪詛じゃん!しかもLv.4とLv.2!誰か他の……鈴音はダメだし……」

「お、余計なこと言ったから“銃神の嫌悪”が増えたぞ」

「まだなんもしてないじゃん!?しかもLv.5て!」

「やったな、今、“剣神の憐憫”もゲットしたぞ」

「憐憫シリーズはもういい!というか呪詛だけバリエーション豊か!こうなったら明日香ちゃん!」

「え!?私!?」

「やめとけ、嫌そうだぞ――ほら、Lv.2呪詛“弓神の謝絶”ゲットだ」

「(加護①×2)-(呪詛②×2+③+④+⑤)はマイナス12ですね。やはり、鈴音さんのLv.5が痛いですね」

「いや、そういう問題じゃなくない?」

「海外組に期待するしか……」

「イーリスとシルヴィアなら憐憫はくれるだろう。クロエは100%“殺意”とかそんなんだと思うが」

「クロエさん、洋さん嫌いですからね」

「え?そこまで嫌われてんの!?」


「というか、勝手についちゃったんだけど、どうやって消すの?さすがに洋でも死ぬ可能性を上げるのはちょっとあれなんだけど」

「え?消せるの?」

「お祓いとかしてみたらどうですか?」

「もしくは、全員で憐れんであげるか」

「それだ」

「それだ、じゃなくて」

「おお、称号がみるみる憐憫に変わってゆく」

「嬉しくねェよ!でもありがとう!」


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