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女神の箱庭II =ツナガルセカイ=  作者: 山吹十波
第1章 世界と、世界
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#01-08 黄金なる休日


「1週間ぶりです!奏さん!」

「紫苑さんや明日香、萌愛も久しぶり」

「お久しぶりです、海翔さん、美咲さん」

「あれ?翼は?」

「翼は少し用事があるらしくて1時間ほど遅れるらしいです」

「わかった。じゃあ、少しその辺見て回って、翼が合流したらロブさんのお店いこっか」

「「はい!」」


都心まで出てきた海翔、美咲の2人、それに明日香と萌愛を加えて街を歩く。美星も来たがっていたのだが、家の用事で今回は泣く泣く不参加となった。


特に何をするというわけではないが、気になる店に入って商品を眺めるだけでも楽しい物だ。

男一人の海翔は若干居辛そうにしていたが、少しして翼が合流するといくらか緊張も解けたようだった。


「しかし、こっちでも奏さんたちと会えるとは嬉しい限りです」

「だねー。明日香も無事だったし、よかったよかった」

「愛美とか七海はどうしてるの?」

「あー……愛美はタツヤと同じメッサー隊にいるらしいけど、七海はどうだろう?」

「そういえば、気になってるんだけど……翼、美咲と付き合ってるの?」

「!?」「え!?なんでわかったんですか!?」

「え!?ちょ、いつの間に!?」


奏の爆弾発言に翼が硬直し、美咲が驚き、他のメンバーも驚愕する。

海翔が翼の方を掴んで前後に揺らす。


「う、やめろ、海翔」

「いつから!?え!?待って、辰哉に電話する」

「待て」

「まあ、そのお揃いのネックレスと、たまに合う視線とかでわかるよね」

「奏さん、どんな観察眼してるんですか」

「奏、自分の事には疎いんですけどね……」

「え?明日香、何か言った?」

「気のせいですよー」


『おー、どうした海翔。今、一人で寂しくカップ焼きそばに湯入れてるところだけど』

「マジでさびしいなそれ。そんな事より聞いてくれないか」

「おい――」

「翼、美咲と付き合ってやがった」

『マジかよ。ヨウさんに連絡しとくわ』

「ああ、頼んだ」

「いや、それは洒落にならないだろ」

「ちなみに、今奏さんと紫苑さんと明日香と萌愛+翼美咲カップルで遊びに来てるんだけどさ」

『なんだそれ、超行きたい。というか生奏さんに会いたい』

「超キレーだよ」

『ギブミー写真』

「あとで許可が出たら送る――というか紫苑さんに睨まれてるから無理かもしれない」

『死ぬなよ。任務成功を祈る』


辰哉と話しているらしい海翔の電話を少し拝借し、耳にあてる。


「あ、海翔。ちょっと借りるね。久しぶり、辰哉」

『かかか、奏さん!?お久しぶりです』

「元気してる?」

『それはもう』

「それならいいんだけど。ま、辰哉も新しい厄介に巻き込まれてるみたいだから気を付けてね」

『ありがとうございます!』


海翔に電話を返すと目的地をロブさんのお店に合わせて移動を開始する。

後ろでは萌愛が美咲にいつから付き合っているのか等、執拗に絡んで聞き出そうとしている。


「ふふ、そういえばお店の方に耀史さんがいるっぽいけど」

「3人に伝えますか?」

「んー……黙っといた方が面白いかなー」

「そうですね」

「ロブさんのお店行くたびにサービスしてもらってますし、なんだか悪いですね」

「そもそもお昼はあまり開けてないみたいですしね」


店の外観に3人が固まるが奏達はもう慣れたので気にせずドアを開ける。


「あ、来たね」

「耀史さん!」

「お久しぶりです」

「相変わらず翼は堅いな。海翔も久しぶり」

「零さん、来てたんですか?」

「ええ、耀史と少し仕事の話があって――奏、とりあえず後でモデルになってくれない?」

「えっと、それはちょっと……」

「紫苑でもいいわ」

「私もちょっと……」


そんな騒ぎを聞きつけてか、厨房からロブが出てくる。

ちなみに、店は耀史が貸切にしていたらしい。


「3人とも、しばらくぶりだな」

「ロブさん―――むこうとあんまり変わりませんね」

「海翔、喧嘩を売っているのか?」

「滅相もない!」

「それならいいんだが。奏たちも耀史と同じコースでいいか?料金は既に耀史が支払っているから気にするな」

「構いませんが……いいんですか?耀史さん」

「大丈夫、交際費で領収書通すから」

「また、鈴音さんに怒られますよ……」


少し時間を置いて料理が運ばれてくる。

耀史たちは先に食べ始めていたようだが、前菜で料理を一度止めて奏達に合わせてくれたようだ。こちらが到着する時間を伝えてなかったのが悪いだが。


「しかし、この騒ぎはいつ終わるんですかね?」

「さあ?“霧の向こうの大陸”にはまだ誰も辿り着けてないらしくてね。一応、米軍とかが頑張ってるんだけど」

「私たちが行った方が速いのでは?」

「それができるように今遥人が交渉進めてるんだけど、まあ、各国で起きる魔物の襲撃にも対応しないといけなくて大変なわけで」

「そうなんですか……」

「発生してるのは基本的に環太平洋地域だけなんだけど、“霧の向こうの大陸”と位置関係がかぶってる島国とかが正直な話どうなってるのかわからない状態でね」

「大変ですねー……」

「というか、耀史。こんな話遊びに来てるだけの高校生にしなくてもいいじゃない?」

「それもそうだね」

「いえ、参考になりました―――?」

「どうしたの奏―――!?」


唐突に響く爆発音。

遠くから聞こえる悲鳴。


「何が起きてるんでしょうか?」

「普通に火事とかならどれだけいいか……」

「ロブ、悪いけど料理ストップ」

「ああ、判ってる」


耀史がタブレット端末を立ち上げる。

それと同時に響き渡る警報音。


「これは……まずいかな。シュベルト隊もスピア―隊もシャッテン隊も既に出てしまってる……」

「というかこの一帯でどうしてこんなに大量発生するの!?」

「私が呪われてるという説もあるけど」

「奏さん、とりあえず私たちも避難誘導ぐらいはしましょうか」

「そうね……耀史さん、私が指揮しても大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない。というか、オレも戦力の方に回るよ」

「私も」

「ありがとうございます、零さん。私と紫苑、それと明日香は制限有だから動けない、代わりに神格スキルでこの辺り一帯を聖域化して魔物の侵入を防ぎます」

「わかりました」「了解です」

「零さんは明日香に、耀史さんは紫苑の補助をお願いします」

「オレも出よう」

「それなら、ロブさんは私と」

「わかった」

「クゲール隊、悪いけど休日返上で働いてね。萌愛は翼の指揮下に入って前へ」

「「「了解!」」」「わかりました!」


奏がカバンからケースに入ったゴーグルを取りだし、スイッチを入れる。

一瞬で衣装が制服へと変わる。


「紫苑、明日香、索敵結果をスズネさんに送信」

「「了解です」」


尋常ではない赤マーカーが周囲にあふれている。


「とりあえず、この辺りを3人で聖域化するから、この中の討伐を最優先で」


奏がマップウィンドウに円を描き、それを全員と共有する。


「奏達は戦闘できないようだが、大丈夫か?」

「大丈夫、だと思いますよ。流石にドラゴンは狩れないですけど」

「というか、ロブ。その格好異様に似合ってるね。とても堅気には見えないよ」

「精々奏の虫除けをしてくるさ」

「それじゃあ、行きますよ」


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