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第一話 真っ暗闇の化け物

学生です。永遠の0歳ということにしておきましょう。

この物語は勢いで書いたものではありません。じっくり、考えてかいてるので

読んだ人は僕にコメントしてやってください。おもしろかった、つまらない

でもなんでもいいんで

あと、文章力向上のためにどなたかにアドバイスをもらえるとありがたい。

12月。手袋とマフラーを使っても、冷たくて鋭い空気がダウンジャケットをすり抜けて、体の芯までズキズキと伝わってくる季節。手袋をした両手をジャケットのポケットにつっこんでも、

「さみい。」

寒かった。

地元のこの街は色とりどりのイルミネーションやサンタさん、トナカイ、スノーマンなどのクリスマスの飾りでいつもより輝きを増していた。12月3日。今日は僕の彼女と出かける約束をしている。彼女とはとても気が合って、優しくて、かわいい。

クリスマスの時期とだけあって、いつもよりも雑踏にまぎれるカップルの数が多い。

僕はこのクリスマスの雰囲気が大好きだ。一生懸命、宣伝をするひと、声を張り上げて、お客様を気持ちよく出迎えるひと、きれいな装飾をするひと、試行錯誤して商品を作るひと。必死に頑張っているひとたちのことを思うとなんだか救われる気がする。

それに道行く人々の笑顔が最高だ。今、目にしている景色を全部、僕たちに届けるためにこの世界にサンタさんがいるんじゃないかと思ってしまうくらいに好きだ。

「待った?」

背後から声がした。

「いや、全然待ってないよ。」

振り向いて、彼女の姿を目に焼き付ける。

白いコートに、赤色のマフラー。かわいらしくもあり、スタイリッシュな感じだ。

「よく、似合ってる。」

自然と口からこぼれ落ちる。

「あ。ありがとっ。」

彼女の頬がピンクに染まる。2秒くらいの沈黙だったろうか。それなのに、僕にはものすごく長い時間に感じられた。

「いやー。それにしても、このツリーはでっかくて、幻想的だねー」

嬉しそうに、彼女は真上にあるモミジの木を見上げた。

「っでけえーーー」

本当に大きい。大きすぎるモミジの木に鈴津木と付き合い始めたばかりの僕の胸の内を見透かされるみたいだ。

彼女の名前は鈴津木すずつき かなで。イギリス人とのハーフで、9月に転校してきた。日本語がペラペラで、名前が「奏」で一緒だねの彼女の一言から仲良くなり、いつのまにか僕が告白していて、そしてそれを彼女は了承した。キスはしていない。でも、彼女が「世界一のひと」だと、ぼくはひそかに自信を持っていた。

どうしようもなく可愛らしい君をどうしようようもなく好きになってしまったぼくは、

勇気を振り絞って____彼女の小さくて冷たい右手に、左手を重ねて、握る。

鈴津木の顔が赤らむ。真っ白な冬の大気がさらに彼女の赤を引き立てる。

ガラスのショーケース、あったそうなジャンパー、ケーキ屋さん、クリスマスケーキ、おしゃれなレストラン、限定クリスマスチキン、雑貨屋さん、家庭用の小さなクリスマスツリー。

この日のために準備をしてきたであろう、お店がずらりと道に沿って並んでいる。

頭のなかでクリスマスソングが再生される。繊細でいて、大胆なメロディーにうつつを抜かす。心が揺さぶられて、ドキドキした気分になる。これだから、クリスマスは楽しい。

「あーん。本当、すてきね」

出かかっていた言葉を彼女が代わりに言ってくれる。

今日は鈴津木をオルゴール専門店に連れて行こうと思っている。彼女にはもちろん言っていない。ぼくも初めていく場所だ。クリスマスのガイドがたらふく載った情報誌にも書かれていない隠れ家的なお店で、聞いた話によると、落ち着いたひと時を過ごしたいカップルには人気の場所らしい。

パン屋さんとブランド店の間にある、路地裏に歩みを進める。



路地裏は二人の体が挟まってしまうんじゃないか、ってくらいに狭くて、息苦しかった。それでもぼくは鈴津木の手を離さないようにする。途中、階段があって、一段一段下がるごとに彼女の細い指をクイッ、クイッと引っ張ってしまう。暗闇にたべられてしまったように足元が全く見えない。探り探り足を進めた。

降り終えて、ぼくと鈴津木はあたりを見渡す。何もない。

別世界だ、ここは。高いところにあるお店の並んだあの街に見下ろされてるみたいだ。華やかさのかけらもない。やばいぞ、ここはと自分の中の危険信号が繰り返し点滅しているのがわかる。まず、暗いせいで距離感がつかめない。それにすごく寒い。永遠に続くんじゃないかと思うと、身震いが止まらない。

「なんか、怖い。帰りたいよ、奏。」

鈴津木が僕の腕にしがみつく。腰がひけてしまってる。彼女にこんな思いをさせるためここに連れてきた訳じゃないのに。

「大丈夫。大丈夫だから。」

さっきまでのクリスマス気分が嘘のように思えてくる。彼女の腕時計が腕に食い込んで少し痛い。

 なんの音だろう。ポロン、ポロン、ポロン、と何かが落ちていくような音がする。耳を澄まして、音がする方向に足元を注意しながら歩みを進める。周りの物が真っ暗な水槽に溶け込んでしまっているみたいに本当に何も見えない。実態のないものほど怖いものはこの世には存在しない。15分くらいは歩いただろうか。さっきまでは点のようにプツプツと途切れた音もようやく、線のようにつながったメロディーになってきた。

きれいなメロディーだ。不安だらけの闇に放り込まれた僕はやすらぎを求めて駆け出す。鈴津木も駆け出す。

光だ。距離はわからないけど、確かに向こう側には光があった。二人の足音が早まる。突然、向こう側の光が流れてくるように僕たちのいる方まで広がる。あたたかい。今なら、目にしている暗闇なんて怖くない。


「ここが奏の言ってたお店・・・オルゴール屋さん?」

光の正体はやはり、オルゴール専門店だった。どうにか鈴津木をここまで連れてくることができ、安心して、胸を撫で下ろす。店内には「きよしこの夜」が流れていた。どうやら、あの音は店頭に置いてある、腰くらいまでの大きさのオルゴールから奏でられていたもののようだ。「きよしこの夜」は専門店の何十年、何百年と使われ続けているような古びた壁をポンポンポンっと軽快な身のこなしで蹴って、僕の耳に吸い込まれてく。

「おれも、初めて来たからびっくりしてるよ。こんなに、オルゴールがそろってるなんて。」

小さいお店にはそこらじゅうにガラスケースがあって、中にはたくさんのオルゴールが入っている。埃は一つもなかった。店主がこの店を大切にしていることが伝わってくる。こういう店は、なかなか最近見られない。今は大手の企業ばかりで、どこに行ってもだいたい同じ店があって、新鮮味に欠ける。冒険心あふれる僕の男心が震え、口が思わずにやけてしまう。好奇心旺盛な鈴津木も、ガラスケースにおでこをくっつけて、子供のようなキラキラした目をしていた。

「これ、ほしーーーーい!!!!」

歯並びの良い歯をむきだしにして、彼女は言った。

お、お値段が高い。鈴津木が目をつけた、威厳のあるオルゴールは10万もした。もちろん、中学2年生の懐はそんなに暖かくはない。

「だーーーめ。もっと、安い物にしなさい。」

まるで赤子をなだめるようにして、鈴津木の頭を撫でる。彼女の黒髪はつやつやのサラサラだ。

「じゃあ、これがいい。」

あら、まあ。これまた可愛らしいのを選びましたね。

高いんだよ、値段が。

「めっ。」

ほぺったを両手で圧縮して、彼女をタコさん顔にする。どうして女の人は、こんなにも高いものが好きなんだろう。

「奏。おばさん臭い。」

むーっとした顔で下から覗くようにして僕を見る。鎖骨がほんとにきれいだ。

「あらあら。仲のいいこと。」

背後からおばあちゃんの優しい声がした。それにいち早く気ずいた鈴津木は、あいさつをかかさない。

「こんばんわ。おじゃましてまーーす。」

鈴津木にはいつも先手を取られる。特にあいさつにおいては彼女に勝る者はいない。僕は彼女のそういった礼儀正しいところが好きだ。

「いらっしゃい。」

このお店を大切にしている店主のご登場だ。ばあちゃん店主には貫禄があり、偉い人のように見えて頭があがらない。

「おじゃましてなす」

噛んでしまった。勝手に体がこわばっている。

「お二人さん、中学生かい?」

「はいそうですけど」

二人の声がそろった。

「なら、いいものがあるよ。ちょっと、こっちへ来なさい。」

おばあちゃんは手招きをしてカウンターの奥の部屋まで案内する。

部屋はクリスマスの小物やクリスマスのオルゴールがたくさん、棚に並べられていた。どれもが、美しくて、小さくて淡々とした物だったり、細部まで色塗りにこだわった、凄みのある物もあった。

「さあ。お好きなのをお選び。カップル限定の特製部屋だよ」

世界をかけまわって、よりいい物を集めたからね、とばあちゃんは自慢する。

「中学生はどんっと値下げしてオルゴール一つ2000円!!今なら、小物もついてくるよ」

ばあちゃんは壮大な物語を語るかのように、その小さい腕をがばっと勢いよく広げる。

「そんなに安くて大丈夫なんですか?見るからに万は下らなそうですけど」

少しばあちゃんの顔が曇る。

「いや。ホントは、赤字なんだけどね。」

でも、っと曲がってしまってる腰をできるかぎりピンと張って

「あたしゃ、金のために仕事してるわけじゃあないんや。お客さんの笑顔が見れりゃあ、それでいい。」

このお店に埃、一つない理由がわかった気がした。あの日、いつかみた仕事をする父親の後ろ姿とばあちゃんの欲のない精神とが重なった。人の役に立ちたい。それは、安藤の子供の頃からの夢だった。

ばあちゃんに尊敬と感謝の念をこめて

「じゃあ、遠慮なく一つだけ選ばせてもらいます。」

やったあ!と鈴津木は黄色い声をあげる。

「ひとつだけだぞ。ばあちゃん、大変なんだから。」

はあい、と彼女からかわいらしい返事が返ってくる。彼女の子供っぽいところが好きだ。下手に大人ぶるより、よっぽどいい。

「おばーちゃーん」

鈴津木が、ばあちゃんにかけ寄る。

「わたしねー。お店の中で流れてるこの曲がいいなー」

宙を彼女は指差す。確かに、「きよしこの夜」はクリスマスにちょうどいい曲だ。

「きよしこの夜かい?どれどれ、ちょっと待っとってくれ」

ばあちゃんは首にぶらさげていた老眼鏡をして、引き出しを片っ端から開け始めた。

「こんなのは、どうだい」

クリスタル一色の天使の形をしたオルゴールだ。

ばあちゃんはそれを鈴津木の手に差し出す。

「かわいいー。私、これにするわ!」

彼女のそのやわらかそうで、華奢で白いの両手に包まれているクリスタルのオルゴールは一層に輝きが増したような気がした。

   

小物はサンタさんのキーホルダーを選んだ。鈴津木は学校のバックにつけるんだー、と嬉しそうにしていた。

カウンターで会計をすまそうとした時。何気なく外の真っ暗闇を見やった、ばあちゃん。突然、僕が吸って、吐いている空気の色がよどんだ気がした。

さっきまでニコニコしていた、ばあちゃんの顔が怖い。眉間にしわを寄せて、顔の影が濃くなる。

「あんたたち!!出ていきなさい!!今すぐに!!」

急なことだったので何が何だかわからずに、僕はお金をカウンターに置いてから、店の外へと出て行く。

必死な形相でお店のシャッターを閉めようとする、ばあちゃんは近くにいるのに、どこか遠くへ行ってしまったような気がした。あの時、ばあちゃんは何を見たんだろう。何を目にしてしまってあんな行動を選択することになったんだろう。そんな考えが頭のなかでぐるぐるとかき混ざっていた。

またこれだ。さっきの、真っ暗闇を進まなきゃならないと思うと、気が遠くなって足元がぐらつく。

あのばあちゃんのお店が急に恋しくなった僕は後ろを振り向いた。

永遠にあの場所にいたいと思えるほど温かい、オルゴール専門店はもう見えない。どうやら、ばあちゃんは電気を消してしまったらしい。そこには暗闇しかなかった。

「さっきのばあちゃん、何だったんだろうね。」

「さあ?俺にもわかんないよ。」

オルゴールとサンタのキーホルダーはさっき、ばあちゃんに「クリスマス特製」の包装紙で包んでもらって袋の中に入っている。準備万端のかなでは仕方なく、あの高いところにある街に戻ることにする。






しばらくして、タンタンタンタンっと前の方から何かが走ってくるような音が聞こえきた。暗闇にずっといた僕の精神はもともじゃなかった。そんな中だったので、冷静になれずに普段、考えもしないことが頭によぎった。

「その何か」が人だろうか、動物だろうか、ロボットのような物なんじゃないか、と妄想してしまったのだった。そこまで考えが巡ればもう終わりだ。頭の中で部分部分を取っ替え引っ替えしている内にとんでもない化け物を作り出してしまった。頭がゴブリンで胴は原型を留めないゾンビ。足は獣の足で、手はロボットだ。ぞっとした。そんな化け物が突進してきていると思うと腰がぬけて、もう歩けなくなった。

「怖いよ。奏。誰か前から来てるよ。」

ダンダンダンダンッ。

怖すぎて、鈴津木を励ます声もでなかった。のどがカラカラに渇いてる。のどを潤す水分が全部汗として出てしまっているのだ。脇の下なんてビチョビチョだ。

ドンドンドンドンッ。音がどんどん大きくなっている。

どうにか鈴津木を守ろうと必死の決意で、怪物がいつ突っ込んきてもいいように彼女をギュッと抱きしめた。

死んだ時に目をつむったまま眠れるように瞳をバッと閉じた。

ドドドドドドドドッ!!!

音が一番大きくなって、自分の横を通り過ぎたと思われる瞬間、


ぼくは怪物にに刃物で切られた。


「痛っ!!!!!!!!!!」


背中の肩甲骨あたりを深くえぐられた。痛い。痛い。痛い。汗が傷に染みこんで痛い。深い部分が空気に触れて痛い。肩甲骨が皮膚を突き破って、見えているんじゃないかってくらいに痛い。

きっと、ばあちゃんが見たのはこの化け物だ。絶対そうだ。あんな化け物に気ずいたら、深刻な顔になるのも無理はない。やばい、やばい、やばい。危険信号がサイレンを響かせて、鈴津木を守ることだけに僕を集中させた。逃げないと、彼女が危ない!!!!

「鈴津木いいいいいいいいいいいい!!!!走るぞおおおおおおお!!!!」

アドレナリンが足の筋肉と手の筋肉に働いて史上最強の男になったような気分になる。そのまま、鈴津木をお姫様抱っこする。今ここにあるものは床だろうがなんだろうが、彼女に触れさせてはいけないと思ったからだ。

「きゃあ。どうしたの、急に?」

僕が化け物に切り付けられてことを知らない、彼女は抱っこされたことに、顔を赤らめる。

いい。それでいい。何も知らなくていいんだ。

そして、僕は彼女を抱いたまま駆け出した。彼女を怪物から遠ざけたいという思いが働いて、足が軽かった。全速力で階段のある所まで走る。走る、走る、走る。

階段に着いても、そのまま駆け登る。

「あはは。楽しいねこれ、ねえ奏?」

登っている時、ゆっさゆっさと揺れている彼女は可愛らしかった。できれば彼女を眺めていたいけど、そんな暇は今、ない。意識が朦朧とする。彼女との思い出が走馬灯のように次々に浮かんでくる。こんな時に思い出すのは飾り気のない平凡な彼女との学校生活ばかり。絶対、死にたくない。彼女との思い出を一生の宝にしたい。守るものができるということはこういうことなんだろう。奏はボロくそに足を回転させながらそう思った。


















いかがでしたか。続きが気になる方はぜひ、第二章も読んでください。

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