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イラスト頂きました!2 +小説付きです

再び裏表ユイ様からイラストを頂きましてリクエストももらっちゃいました!

なので今回はイラスト+小説バージョンですっ  コラボコラボ♪


それはある晴れた日の午後のこと。

 

「ニワトリは悪いことするんだよっ! 悪なんだって!」


 なんとなくだが最近庭いじりを覚えた金糸の髪に一部黒のメッシュが入った利発少そうな青年タキの傍で、母親譲りの白い髪をしたやんちゃそうな少年ルイが、学園の初等科で起きたことを話すうちにそんなことを言い出した。


 何も珍しいことではない。

 いまでは各地に広がり、一大宗教にまでなったニワトリ教にもやはり反するものがいる。

 そういった反ニワトリ教の親を持つ子供達が、ニワトリは悪だと言うようになるのだ。


 もちろんタキにもニワトリが悪だと吹き込まれることは身に覚えがあったが、タキの幼い頃というのはあっという間に終わってしまったし、何より母親がニワトリで、例の宗教の発端であると聞いてもいたので、だからどうだということもなくスルーしてきたのだ。

 だが、ルイは違うようだ。


「うちにはヘンナがいるだろう? 彼女は悪に見えるかい?」


 軍手を外し、エプロンについた砂を払いながら尋ねれば、ルイは首を横に振る。


「ヘンナは乳母だっていってたもん。乳母は別なんだよ」


 子供らしい複雑で謎のこだわりを持っているらしい…。

 ヘンナはニワトリだが乳母で、ニワトリだが悪ではないニワトリなのだそうだ。


 タキがどう説明したものかう~んと唸りつつ悩んでいると、視界に映ったのは庭を横切る途中で息子たちの姿に気が付いた一羽のニワトリ。


 その姿はヘンナと同じ白い体に尾が黒という優美な姿。だが、ヘンナでないことはこの屋敷に住む者ならば誰でも見分けることができる。


 タキとルイの母、チキである。


「コケッ(何してるの?)」


 声をかけると、ルイはびくっと一瞬脅えた後、タキのエプロンの裾を掴んで恐る恐る振り返り、そこに立つ勝気そうなニワトリを見て指を指した。


「にー様! ニワトリ! 悪ニワトリだよ! 勝手に家を歩き回ってる! 退治しなくちゃ!」


(…そういえば母様のこの姿を見るのは初めてだったかな。まずいなぁ、母様の機嫌を損ねたら逆に退治されるよ…)


「コッ(何?)」


「か「勝負だ悪ニワトリ!」

  

 首を傾げるニワトリに、タキは説明しようとして口を開くと、声にかぶさるようにしてルイが勝負宣言をしてしまい、タキはあちゃあと額に手を当てる。


 子供の思い込みというのは恐ろしい。

 そう思い、ちらりと母を見やれば、チキは勝負と聞いて目をきらりと光らせた。


(あぁっ…負けず嫌いが勝負と聞いてやる気になっちゃったよ…)


「コケーッコッコッコッコッ(ルイが頼むなら相手になってあげますともっ!)」


 こういう時は父でないと止められないのは百も承知だ。


「にー様は審判ねっ。僕がやられそうになったらニワトリをやっつけてよ!」


 それなりに怖いらしいが、母親譲りの負けず嫌いのせいかきらりと目を輝かせてニワトリチキに勝負を挑む!


 タキは乾いた笑いを浮かべた。


(父様早く帰ってこないかなぁ…)


挿絵(By みてみん)




 勝負はどうなったか…


 もちろん元々その辺の人間負けるはずのないニワトリチキが負けるはずもなく、最後にはタキも巻き込まれての修行と化したのです。


「コッコッコッ コケー!(こんなのも避けられないのっ!)」


「わぁぁぁぁんっ やっぱりニワトリは悪だよ~!」


 げしげしと顔を踏みつけられたルイは大泣きし、タキはチキの弾丸のような攻撃を紙一重で(かわ)す。もう弟をかまう余裕すらない。


「コケー!(誰が悪か~!)」


 しかも、ついに母の怒りに触れた様だ。


「ルイッ! 我が家ではニワトリは家族! 悪でも正義でもないって覚えておけ!」


「う…うん?」


 タキが必死でチキの攻撃を避け続け、どれほど経ったのか…。

 タキが大量の汗をかき、息も絶え絶えになる頃、ようやく救世主が庭に姿を現した。


「チキ、何をしている?」


「父さんっ! 助けてっ」


 タキの必死の声にやれやれと肩を竦めた父ユリウスは、背後に立っていた白い髪に黒いメッシュの入った髪の、とても大人っぽいメイドさんから大きなシーツを受け取るとそれを広げた。


「チキ、おいで」


「コケッ」


 ニワトリチキはそのままシーツに飛び込むと、ふわりと形を変えてシーツにくるまれたいつもの母の姿になり、呆然とチキを見上げる息子と、尻餅をついてぜいぜい喘ぐ息子を見下ろして告げた。


「ニワトリは悪でも正義でもないっ。母だ!」


 ふんっとシーツにくるまれた姿で胸を張り、驚きで呆然とするルイにそう告げた後、ユリウスの腕にもう一度飛び込んだ。

 

 もう後は二人の世界である。

 そして、そんな二人を横目に、後ろに控えていたメイド姿の女性がにこりと微笑み宣言する。


「お二人とも教育しなおしですね」


 ルイはひくっと一度しゃくった後、本能的な恐れからかぴたりと泣き止み、タキはその場にばたりと倒れた。


(誰だ、ルイに余計なことを吹き込んだ奴は)


 大きすぎるとばっちりを受けたタキは、その時切実に呪いスキルを欲したのだった。

 

 



 その後、ルイもメイド教育により矯正され、ニワトリが悪などとは二度と言わなくなったのでした。

 


お庭で散歩:裏話


ユリウス「チキ、何故庭にその姿でいた?」


チキ「(ギクリ)」


ユリウス「まさか…」


チキ「思ってないよ!庭でオヤツ食べようだなんて!タキが庭いじりしてたから興味があっただけでおこぼれ貰おうとかそういうことはっっ」


ユリウス「お仕置きだな」


チキ「ご、ごめんなさいいいいっ」


チキはタキが掘り起こして出す虫を貰いに庭へ行った模様…。


_______


裏表ユイ様 素敵なイラストありがとうございました!

リクエストに近い話になっていると幸いですっ。

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