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「七章・神々の戦い」


私たち異能の者は、超能力のような、強い脳波信号を発することができる。

それらは、超能力としては非力で、武器として使えるようなものではない。

それよりは脳波を入力デバイスとして利用するのが正しい使い方だと思う。


自分たちが作り出した兵器と瞬時に情報をやりとりし、命令をだし、

必要な場所に必要なだけ、攻撃を加える。

そういった戦いには、声や手から発し、眼や耳で受け取る情報だけでは

あまりにも少なすぎる。それを、脳波から伝わる大容量の情報で補っている。


この星はあまりにも脆い。加減をせずに攻撃しては自滅するしかない。

星は傷つけず、相手のみを討ち滅ぼす。そのためには膨大な制御が必要だし

その情報は状況に合わせて、刻々と変化する。それらを脳波でやりとりする必要がある。


また、同種同士であれば、お互い相手の脳波も感じ取れるため

相手の動きの読みあいや、そこに的確な力を送り込む早さに勝敗がかかってくる。


あの男が最初に放つ、縮退エネルギーを先読みして消滅させ即座に相手の脳波を検知する。

あの男が次の攻撃に備えて防御壁とさらにその後の攻撃手段の指示をだそうとしているのがわかる。

もちろん、何となくそう感じるだけだ。でも、力の使い方なんてにたようなものだろう。

人の言葉も、違う国の言葉で意味はわからなくても怒っているか笑っているかぐらいはわかる。

そういうのと同じ感覚かな。


「はっ!」


私の攻撃はあの男が防御壁をつくろうとするのを阻害しそれと同時にあの男に軽い傷を負わせる。

私自身の研究は、あの男のように世界を制圧するためのものではなく、

ただ我が身を守るためだけに行ってきたものだ。

同種の戦いについて何億通りもシミュレートしてきたし、

相手の脳波信号をどうやって妨害し、うち破るかについて様々な研究をしてきた。


一対一の勝負でなら、10年の差があろうとも、遅れをとることはない。


「おっ・・・!

 がっはっは!おまえ、やるじゃないか!

 いやいや、悪い悪い、そう怒るなって。ちょっとした遊びじゃないか、な?」


男は、そういうと急に攻撃の構えをといてこちらに、無防備に向かってくる。

ここで、無防備な所を不意打ちしてもいいが、倒せるかどうかは怪しい。

あの男は、私が脳波通信に干渉してきたのを感じ取ったはずだ。

それに対してはすぐに対策をとるのは難しいだろう。私でもそれだけで5年は研究している。


だが、私が放つ攻撃は、それほど強いものではない。

あの男は、軽く遊ぶだけでも、この星に穴をあけるぐらいの質量を軽々と召喚させてくる。

本気をだせば、もっと大きな質量すら制御できるのだろう。

私の扱うそれは、あの男が遊びで放ったものにすら及んでいない。


先ほどの攻撃も、私が脳波を読み事前に行動できるアドバンテージがあればこそ、

相手の力を相殺できたが、それがいつまで続くかはわからない。


「汗をかいたし、着替えたいんだけど。」


十分目的は果たした。これ以上無理をするのは危険だ。

私なりの停戦の意を伝える。


「がっはっは!

 なんだ、女みたいなこと言いやがって!」


これだから品のない男って・・・。


「私、女ですから。」


「がっはっは、わかってるわかってる。

 そう怒るなよ、な?

 数少ない同族だから、男とか、女とか言われてもピンってこなくてな。

 おい、リーナ。こいつの世話、任せたぞ。」


私たちが”遊んでいる”間、私を案内してくれた先ほどの女性は

呆然と立ちつくしていたが、あの男に声をかけられ、我にかえったようだ。


「か、かしこまりました。

 えっと・・・し、システィナ様でいらっしゃいましたか。

 私がご案内させて頂きますので、どうぞこちらへ」


そういって城の中にリーナと呼ばれた女性は私を連れて行った。


「システィナとかいったか。

 着替えが終わったら話がある。リーナに聞いて、俺の所まで来い。」


城の中に入ろうとする私に、そう声をかけてきた。


「えぇそうするわ。えっと・・・あなた、名前なんだっけ?」


「ぶっ!

 がっはっは!おまえ、おもしろい奴だな。

 カシスだ。カシス・ミリキュアールだ。

 これでも、人間達の間じゃ有名なんだぜ?」


「あぁそう。それじゃ、気が向いたらいくわ。」


まだまだ、この男とは仲良くなれそうにない。

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