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「十二章・魔手」

「いやいや、フィル君とかいったか。

 君は大変お手柄だよ。システィナに続き、二人目もまた

 君の手によって見つけだされるとは。」


そういって空に浮かぶあの男は、あきらかにこちらをみて話していた。

世界を支配した時とは違い、ごく狭い地域での表示のようだ。

空・・・といっても、前回は一面にでかでかと移っていたが

今回は3階建ての建物ぐらいの場所に映し出されている。


「私の使いの者が、その少年を引き取りに行く。

 それまでは大事に保護してくれたまえ。くっくっく。」


あいつ、俺たちが引き渡すつもりはなく保護活動しているのを

知っていて、泳がせておいていざとなったら奪うっていうつもりなのか。

くそっ・・・・!何かが・・・何かがつかめそうなのに・・・。


「何故ここがみつかったのでしょう・・・。

 極秘に進めていたのですが・・・。」


この辺は監視ポッドが飛んでいないから油断をしていたんだが

どうも別の方法で、この場所を検知したみたいだ。

そういえば、あの子が俺を吹き飛ばした時・・・。


「くそっ・・・くそっ・・・!

 せっかく、せっかくやりすごしていたのに!」


ふと見ると少年は隅にうずくまり、ふるえていた。

この少年は、あの男のことを何か知っているのか・・・?

やり過ごす・・・とは、あの男に見つからないように、ということだ。

つまり、自分が見つけられるかもしれない、と思っていた?


「おい君、君はいったい何を知っているんだ!?

 あの男の何を知っているんだ!?」


俺は思わず、少年の肩をつかみ問いかけた。


「ふぃ、フィル総帥!相手はまだ子供ですよ!」


ソニアがあわてて俺を止めに入る。

だが、時間がない。あの男の使いはすぐに現れるだろう。


「うるさいうるさい!

 おまえ達人間なんかにわかるものか!

 もうおしまいだ、おしまいなんだよ!」


人間・・・?なんなんだこの違和感は。

だが、何かを・・・何とか・・・。


「君に頼みがある!聞いてくれ!」


俺はもう、この少年にかけるしかなかった。


「うるさいうるさいうるさい!」


パシーン!


俺は少年の頬を平手で叩いて怒鳴りつける。


「おまえは、俺たちよりもっと頭の良い奴のはずだ!

 冷静に考えろ!連れて行かれたのはおまえだけじゃない!

 他にも、おまえと同じように連れて行かれた奴がいる!!」


少年は一瞬怒りをあらわにしたが、しばらくすると

自分の怒りや悲しみをおさせ、冷静になろうとしているようだった。


「おまえと同じように、頭のよかった人間が、

 あの男に連れて行かれた。もう1年前の話だ。」


少年は、初めて俺の方を向いて、まともに話す姿勢をみせた。


「名前は・・・・その人の名前はなんていうの。」


初めて、少年から問いかけられた。

やはり、興味をもった・・・。

俺は半ば確信めいたものを感じていた。


「システィナ。システィナ・ニルファリア。それが彼女の名前だ。

 恐らく君がこれから連れて行かれる場所に彼女もいるはずだ。

 彼女に・・・もし彼女に会えたら伝えてくれ。

 俺はあきらめていない、と。」


「システィナ・・・・。

 わかった、伝えておくよ。」


そういった少年の顔は、先ほど泣きじゃくっていた

年相応の子供のものではなく、知的な達観したものになっていた。


「フィル総帥!神の使いがきました!

 少年を引き渡せ、といっています!」


ソニアが慌てて部屋の中に入ってくる。

神の使い、と言えば聞こえはいいが、要求にさからうと

周囲数百メートルは粉塵に変えてしまう、凶悪兵器だ。


「言ってくるよ。あんたの名前、フィルでいいの?」


少年は神の使いにも動じることなく冷静に俺に問い掛けた。


「あぁ。フィル・ティンクルだ。

 後、これがさっき言っていたシスティナだ。」


そういって俺はあの日以来ずっともっていた彼女の写真を少年に渡した。

ちょっと、それを見たソニアの眼が怖かったような気がする。


「わかった。僕はフリオ。フリオニール・ランタックス。

 また、あえるといいね。もっといい形で。」


「あぁ・・・・そうだな・・・。」


俺の答えには振り向かず、フリオと名乗った少年は

神の使いと名乗る、人型のアンドロイドにつれられて、どこかへと連れ去られていった。

ふと、俺はある考えが浮かぶ。


「ソニア、この部屋はしばらく誰も通すな。

 至急、調査班と第四研究チームをここに呼んでくれ。」


「はっ?そ、それは可能ですが、

 こ、ここにですか・・・?」


「あぁ、ここにだ。大至急、な。」


「わかりました。至急手配します。」


俺がやろうとしていることは、許されないことかもしれない。

だが、俺はあきらめないと約束したんだ。

システィナと、あの時あの場所で・・・。

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