3章①
「それって、好きになったってことなんじゃない?」
「えっ。え?」
自分の性欲すらまともに制御できない事実で落ち込んでいた俺へある日、依頼終わりにオーリーが声をかけてきてくれました。そして色々とボカしつつ(なんだか恥ずかしくてあの「友達の話」というやつも使っちゃった)最近起きたことの詳細を伝えるとそう言われた。あ、ギルド近くにあるカフェみたいなところへお邪魔しています。パスタが美味しかった。
「だってさ、ちゃんと対策してたのにすぐそういうことしたくなっちゃったんだよね?前よりずっと早く」
「そ、そう」
「じゃあその日に相手の事好きになっちゃったんじゃないかな。だから誘われて耐えられなかったとか。その状況なら僕でも断れない気がするし」
「へ」
「だって僕たち男のそういう欲って恋愛と結びつかない場合もあるけど、もちろん結びつく場合もあるからね。好きだったら普通の時よりもっとシたくなるものだよ。まぁ僕は、だけど」
オーリーってそういう欲あるんだ。正直ちょっと意外だ。ベアさんを前にいつも平然としてるし、なんなら無いのかと。
んで本題だが、正直あの日好きになったなんて気はしない。え、いやだってそんな急に。我童貞ぞ?あまり舐めるなよ、俺のチョロさを。だから彼女の事を好きになるならもうとっくに好きになってるはずでしょ。それが前回で急にとか無い無い。……え、無いでしょ?俺。
まぁ最後の話は分からないでもないけど。だとしたら全く耐えられなかった事に説明は付くけど。とはいえやっぱりあの日急に好きになったってのは違うような気がするんだよな~。なってるとしたらたぶんもっと前からな気がする。
「え、でも、急に好きになるか?だってこれまで何回もそういうことしてきたし、だとしたらそれより前に好きになってるんじゃないか?」
「じゃあ今までその人の事好きだったの?」
「い、いや~……。それは――」
「あともし好きだったと思うなら、女の子慣れしてないせいの緊張を好きって勘違いしてたとかもありえそうじゃない?あんまり経験が無いとかだったら猶更ね」
「あ~……」
そう思ってたけどなんか急に現実味が出てきたぞ。確かに、言われてみれば緊張と好きを勘違いしていたっていうのはしっくりくる。女神様と会った時も好きかどうか聞かれて即答できなかったし。それに俺だ。あんな美人でえっちな相手に緊張しないはずはない。
とはいえ、完全に緊張だけだったというのもそれはそれで違う気がしてきた。聞かれた時もなんだか真っすぐな質問すぎて自信を持ちきれなかっただけかもしれないし、やっぱり俺はチョロい。だって愛情に飢えてるから。そこであんな親身にされたらすぐ好きになっちゃう気がする。
「まぁ、それまでうっすら好きだった、っていうのもあるだろうけど。でその日、本格的に好きになったとか」
「ん。あ、それかも」
うん。それがしっくりくる。多分そんな気がする。でも、何がきっかけなんだろうか。
あと待った。なんか俺の話ってことで受け答えしちゃってない!?訂正訂正!
「あ、いや、と、友達の話だけどね?そいつだったらありえそうって今考えてたとこで」
「うんうん。もちろん分かってるとも」
あら適当なお返事。これはもうバレちゃってるかもだな。それにちょっと面白がってる。オーリーは顔が兜だけど、最近表情が分かるようになってきた。今は多分ニヤついています。ハズい。それになんかちょっとムカつく!
ちなみに、仲良くなってきたからかたまに雑なイジりをされるようにもなっています。これは正直嬉しい。今後もっと仲良くなって親友になる相手だけど、もう友達ぐらいにはなれたかな。
「とりあえず一回考えてみなよ。何かここ最近で好きになるような出来事無かった?」
「いや、だから友達の話だよ?俺が考えても仕方ないから。……」
というわけで、今度はきっかけについて考えてみる。もう最初に話した建前とかすっかりどっか行った。っていうかこれ、好きな相手もボカしておいたけどバレてたりして。だとしたらちょっと気まずいなぁ。だってゴリゴリパーティ内恋愛だし。しかも「友達の話」であるのをいいことにえっちしてるって話しちゃったし。
んで、最近、最近か。やっぱり特訓の事が一番に浮かぶ。っていうかベアさん、俺が身体を明け渡してる引き換えとはいえよくあんな色々教えてくれるよな。えっちすることに彼女はどうやら結構な借りを感じているようだけど、こっちとしてはあまりにも一石二鳥すぎる。というか俺ばっかり得しすぎじゃないか?何か返した方がいい気してきた、って違う違う。
一度特訓を始めることになった日から思い返してみる。俺が色々勉強しようって時に彼女が来て、二つ返事で引き受けてくれて、そのままその日はアレをして……。
あ~あの日普段とちょっと違う感じで良かったな。気分を変えようってことで腋だった。俺、意外と腋好きだったんだなと知りました。まぁ彼女が全身くまなく魅力的すぎるだけかもしれないけど……ん?これか?
「……最初は良いと思ってなかった部分に魅力を感じ始めるのってそういうことか?」
「どうだろう。それだと分かんないからもうちょっと具体的に教えてくれる?」
「へ?い、意外と身体のこの部分も良いんだなって思う、とか……」
「へぇ~。なるほどねぇ~」
「……もしかしてからかってる?」
「いや全然?って足踏まないで痛い痛いっ!」
コイツに真面目に相談しようとした俺が馬鹿だったかもしれん!
「で、それはまぁ割りと無くはない兆候じゃないかな。好きになりつつあったっていう。まぁ単に好きな部位を発掘したってだけかもしれないけどね」
「なるほど」
冗談は置いといて、確かにここのところ前にも増してベアさんが魅力的だと感じていたような気はする。なんでかは分かんないけど。いやなんでだ?ん~……。やっぱり特訓開始から少しして性欲をどうにかして抑えてたしそこに関連があるような。
例えば、彼女のえっちな部分以外が見えるようになったとか。お?なんか早速正解引いたかもしれない。まぁ依然としてえっちな部分ばっかり見てえっちな気分にはさせられまくってるけどね。ていうかこれ、我ながら情けないな……。
あとそういえば、ここの所頻繁に顔を合わせていたこともあり、喋ることが増えたのも大きいかもしれない。必然的に会話が増えて、よりいろんなところに気付いたとか。しかも、欲ばっかりに支配されない状態で。それでこの前の回で決定打になったとかかな。
お、うんうん。いいよいいよ。あとなんか知性も感じる。なんか俺が求めてた「真実の愛」っぽいよ!
「まぁ、言葉にしづらかったりできないけどなんとなく好きかも、でも良いと思うけどとりあえず他にも考えてみなよ」
「おう」
でも、それで結局どういう所が好きなんだ?何がきっかけで好きになったんだろう。ぼんやりとでもいいから分かりたい。あの日の事を振り返ってみよう。
えっと、回復魔法を勉強するってことで結構ボディタッチが多かったよな。とはいえ前から何回も何回もされてたし今更それでは流石に……。って、そういえばベアさん、回復魔法使うのに人に触る必要は必ずしも無いって言ってたな。ん。ん?あこれかも!?そういえばなんか彼女にとって俺って特別なんだなぁって思ってすげぇドキドキしまくったの覚えてるわ!そうだ!これかも!
「お。心当たりがあったって顔だね」
「おう。多分だけど、どうやらこれっぽいってのが分かった気がする。んで多分そうだ。俺ベアさんのこと好きだ」
でも、相手が特別だと思ってくれてそうだから好き?なんかこれ、相手の感情ありきっぽいな。う~ん。それでいいのか、って、ん?俺今なんて言った?
「ほぉ~。ベアさんのこと、ねぇ」
現在執筆中のぶんでそろそろ話の終わりが見えてきたので、3/26に再び読みやすさ向上のためプロローグから1章の改稿を行いました。




