2章⑦
翌日の依頼は、今の俺達には比較的簡単なものをこなすこととなった。なんでも飲み会の後で気が緩んでいるかもしれないから怪我などしないように、というオーリーの意図があったらしい。だからか解散も昼下がりだった。
しかし俺は大事なことを忘れていた。彼から色々教えてもらおうとしていたことをだ。でもだって、童貞を捧げたぶりにベアトリクスさんと会ったんだもん。しかもアレのせいか今までよりさらに距離が近くなった気する。だからドキドキさせられまくってそれどころじゃなかった。
っていうのに結局この気持ちが好きなのか性欲、あるいは単に経験不足からくる緊張なのかも分かんなかったです……。くそぉ。あんな決意したのにこれじゃかっこつかない。俺、意志弱すぎるよ。あと女の子に免疫が無さすぎるよ。目下勉強中とはいえね。
「あたしそれ、ちょっとぐらいなら教えられるよ?」
「へ」
なのでせめて冒険者ギルドか教会図書館で戦術書でも探そうかと出かけるところに、彼女がうちへ訪ねてきましたとさ。そしてそのことを正直に話したらいたずらっぽい笑顔で言われた。ウッかわいい。垂れ目細めながら上目遣いされるとなんかえっちだからやめて!そういうことする気で訊ねてきたからちょっと興奮してるのかもしれないけど目をうるうるさせるのも!やっぱ刺激強いから!
「あ、そ、そうなんですか?」
「うん。やっぱり回復役って暇になることも多いからさ、その間何かできること無いかな~って色々勉強してみたことがあるんだよね」
「……なるほど」
なんてドキドキするのは置いといて。まぁ置いとけないけど。まだちょっと心臓は高鳴ってるし身体も熱くなりつつあるけど。でも、なんか自信あるっぽいぞ。これはお言葉に甘えて教わっても良い気がするな。
それと、確かにベアトリクスさんはパーティのサブリーダー的立ち位置だ。オーリーが手一杯でテトラさんへの指示出しまではできない時、彼女が戦術を考えることもある。だから実績も十分。というか、回復役のわりにはやたら動きが機敏なんだよな彼女。正直遊撃の俺よりも軽い身のこなししてる気すらする。だから色々教われることはありそうだ。襲われることもね~なんつってハハ。
「っていうわけで、どうかな?本読むだけよりはいくらか身体に染み付きやすいかな~と思うんだけど。あ、あとこれからバンくんにはえっちさせて貰うわけだし――」
「えッ」
ちょっ!この家大通りに面してないとはいえ多少人通りあるんだからそんなえっちとか容易に口にするのはやめた方が良いんじゃないですかだってベアトリクスさんは花も恥じらう乙女なわけで――
「お返しってことで、私としては結構やらせてもらいたいんだけど」
「あ、は、はい……。お願いします……」
「あほんと?やったぁっ!」
結局、今回ももちろん断れず彼女の申し出を受ける俺なのでした。まぁ断る気は無かったんだけどね。
「じゃ、料金は前払いね」
「へ?ふぇぁっ!?」
さらにその後、こってりと勉強代を徴収されるのでした。まだ日没前なのに……。でもやっぱり溶けるかと思うぐらい気持ちよかったですハイ。とはいえこのままこれに依存しちゃったらどうしよう。ちょっと危機感抱いた方がいいか?これで結局勉強が進まなかったら本末転倒だ。教わる人間違えたかなぁ。
でもでも多少強引なトコはあるけど、俺も本気で嫌なわけじゃないんだよね。むしろいつも最高です。一方的に利用してくる悪い人じゃないと思うし、とりあえず信じてみよう。




