2章⑥
せっかくの休日ではあるがKPのシステム周りにアップデートが入ったという事で、帰宅後俺は2階の家具を端へよけて広い空間を作り、色々調整を行おうとしていた。
「むむむ……」
とはいえ、今の勇者型以外はどんなステ振りがいいかなぁ。非常に悩ましいです。よくよく考えてみると、割とこのままでも俺たちのパーティって役割がしっかり分かれてるんだよね。
全身を鎧で固めた高防御高攻撃力のオーリー、高火力かつ火力補助の支援魔法も使えるテトラさん。回復魔法と感覚強化系の魔法を使えるベアトリクスさん。そして剣も各種魔法もある程度使える(意外と単体で完結してるかもしれない)遊撃の俺。……あれ、俺要らなくね?俺以外の三人だけでも良くね?と思うかもしれないが、むしろ指示出しのオーリー的には役割を固定されていない存在が居た方が戦いやすいらしい。動かしやすいとかなんとか。
そうなると、手が空きがちなのを良いことに色んな状況を想定してみてもいいかもしれないな。オーリーが手一杯だから一人で動かなきゃいけないとか、斥候とかもアリかも。あとは誰か一人が戦闘不能の状況をそれぞれ考えて特化させるとか、全滅、とか……。
「っ……」
全滅。ふと頭に浮かんだ言葉で、それはありえない話じゃないことを思い出す。目まぐるしい日々で忘れちゃってたけどね。でも、むしろこれから依頼はどんどん難しくなっていく事だろう。つまり可能性もその分上昇していく。メンバーの誰かどころか、ことによると全員を一度に失うことだってあり得る。もちろん、俺が犠牲になることだって。
そんなの絶対に嫌だ。絶対に。せっかく仲良くなれたのにとか、また一からメンバーを集めなきゃいけないとか、色んな思いが浮かんでは消えていく。でもずっと頭に残るのは、あんなに良い人たちが死んじゃいけないってこと。
みんなみんな、やっぱりびっくりするぐらいいい人たちだ。俺、まだコミュニケーションに手間取ることも多いんだけど、一切気にせず接してくれる。オーリーやベアトリクスさんなんかはフォローも上手い。例えば俺のせいで空気が悪くなりかけたとしても、すぐ軌道修正してくれるのだ。しかも、ユーモラスに。
前世の最期が思い起こされる。誰にも看取られず死ぬ虚しさと、一体自分の人生はなんだったんだという絶望も。一回死んだ経験がある先輩として、彼らにはそんな思いを抱いて欲しくないと強く感じる。
そうなると俺にできるのは、一刻も早く強くなることかもしれない。なら、やっぱりそのためにはもっとチート能力も育てないと。恋愛をしないと。
っていうか、普通に技術を磨いたりしてもいいな。実はKPで取るスキルは最初こそ基礎的な剣術、魔法の詠唱に関する知識をくれているが、以降は身体強化や魔力の強化、適正の強化等に終始している。つまり、どれだけ取っても筋肉が異常なほどムキムキになっていくだけで、その力の使い方までは学べないのだ。「だって技術をそのままあげたら、世界のバランスが崩れちゃうからね」「あと、私全知ではないから知らない部分も多いし」とは女神様の談である。
「よしっ!」
そうと決まれば、善は急げだ。幸いパーティメンバーにはそれぞれのスペシャリストが揃っている。ひとまず今日はオーリーの所に行ってみよう……としたところで、彼の家がどこにあるかは知らないことを思い出した。それに、プリセットを作るのもまだだ。まぁ先に彼からどんな戦術があるか学んでからの方が良いかもしれないけど、とはいえ自分でも色々と考えてみるか。オーリーに評価してもらうのはそれからでも遅くないな。うん。
ちょっと分かりづらいと感じた部分があり、3/22にいくつかの話を若干改稿しました。今後も何か変更等ありましたらこちらにてお伝えいたします。
また、今日はこの10分後ぐらいにもう一つ投稿します。




