2章③
「へ?え、は、はい。す、好きですけど……」
え?そりゃそうでしょ。うん。そのはずです。ってか何言わせるんですか恥ずかしいな!
「ホントに?」
「えっ」
「時間あげるから、ちょっと考えてみてほしいな。あ、お茶あげるね」
「あ、どうも。……」
あ、なんかテーブルとティーセット出てきた。周囲に紅茶らしき芳醇な香りが漂う。こりゃ本格的に話聞いたり考えたりする態勢だ。う~ん。なら、ちょっとしっかり考えてみるか。
いや、う~ん好き、だよ、な?あ、なんかいきなり疑問符ついた。ってことは実はそうでもないのか?でも、今も彼女の事を考えるとドキドキする。いやでも、これって無意識に裸を想像しちゃうからか?確かに、今朝の光景は脳裏に焼き付いている。まん丸くガチでメロンみたいに実った房と、先っぽにある桜色の……ってダメだダメだ!今思い出すなって俺!もうすっからかんのはずなのに、サキュバス相手だからか理性が失われていく。心臓も高鳴る。冷静じゃなくなってく。
でもう~~~ん。っていうか好きってなんだ?これまではドキドキさせられまくってたから好きだと思ってたけど、もしかして違う?違うような気がする。違わないような気も。うわ、全然分かんないぞ。……じゃあとりあえず、愛の女神様に聞いてみるか。ってか彼女の専門だこれ。
「女神様」
「はいなんでしょうバンくん」
「好きってなんですか?」
あ、せっかくだしKPの判断基準も聞き出せないかな。
「それは、友達としての好き?恋人としての好き?あと、一般論としての好き?それとも私の思う好き?」
「え、う~ん。それじゃあ、女神様にとっての、恋人としての好きでお願いします」
「それだったら、私はずっと一緒に居たいと思う相手が好きな相手だって考えてるかな。ちなみに友達としての方は、楽しい事を共有したいって相手だね。……って言っても、私は友達居ないんだけど」
「なるほど」
そうなると、ベアトリクスさんは俺にとって……どうなんだ?ずっと一緒に居たいって思うような、意外とそうでもないような。いやでも割と会ってない時も考えたりするよな。これって一緒に居たいってことかも。ん~ただ、それで言うとテトラさんとか、特にオーリーとかの事も考えたりすること全然ある。あれ面白かったなとか、あれはちょっと良くなかったかなとか。
というか、俺は彼女のどこに惹かれているんだろう。……顔?俺みたいなのに話しかけてくれるとこ?ボディタッチしてくるとこ?え、えっちなこと、させてくれたから?うわ!なんかすぐ思いつくのこんなんばっかだ!やだ俺のスケベ!
……まずい。分かんなくなってきた。
「ちなみに」
「ん?はい」
「こちらに女神恋愛評議会の誰かをお招きすることもできるよ。彼女たちも一応私だけど、それぞれ強調されてる部分が違うからまた違った答えが返ってくるかもね。……正直ちょっと恥ずかしいけど、参考にしたかったら言って」
「あじゃあお願いします」
「いやん。バンくんのえっち」
「や、やめてくださいよっ……!」
今その弄りは俺に効く。やめてください女神様。
ともあれ、一回行きづまったし新しい意見も取り入れてみるか。果たして誰が来るかな。
「それじゃあお呼びします。でけでけでけでけ」
「口で言うんだ。女神様の力で鳴らせばよくないですか?」
「そうじゃん」
あ、ドラムロール鳴りだした。
「じゃん!」
ってうわっ!またアレだよ。女神様の隣に、彼女を色っぽくしたような姿の女性が突然現れた。椅子に座った状態で。やっぱりまだ慣れないな。急に何かが出てくるとたぶん本能的に怖い。
「こちら、欲望の私です」
「よろしくね。バンくん」
「あ、はいっ。よろしくお願いしますっ」
「ちなみに名前も前回から今回までの間に考えておきました。デーー」
「欲望さんでいいわよ?」
「はいっ!」
なんだかすごく大人って感じだ。あと欲望が強調されているからか見た目もちょっとえっち。目がうっとりしてるし、トーガを着ているのは複製元と同じなんだけどちょっと露出度も高い。ん?でもなんかやっぱりドキドキしたりとかは無いな。俺のことだからキョドっちゃうはずなんだけど。……それと、彼女たちは平然と女神様を無視するな。理性さんもしてたし。まさか実はこちらが本体だったり、なんてしょうもないことを考えるけど、違う違う!集中!
「それで、何だったかしら?」
「あ、えっとあなたが思う好きってなんですか?できれば友達として、恋人としてそれぞれでどう思うか教えてください」
「えぇ。そうねぇ……。私は、友人はまぁ別にこの際居なくてもいいと思っているから、前半の方は答えられないわね」
「ほぉ~」
「うっ……」
へぇ~。俺に親友の加護を与えてくれた存在でもそう思ったりする部分があるんだ。へぇ~。ちなみにやっぱり恥ずかしいからか、女神様はそっぽを向きました。あと顔が赤くなってきている気がする。
「それで恋人は、あわよくば四六時中くっついてたいと思う相手が好きな相手かしらね」
「なるほど」
「あはは……」
お~。結構可愛らしいですねぇ。というか、神でもそういう事はしたくなるんだな。だってスキンシップって性欲由来のものかと。何せ俺を愛していない両親がスキンシップをしてこないのは、つまりそれが性欲に起因する行動だからでは?という図式が俺の中にはあったのです。だから、性欲無さそうな女神様にそういうのは無かったりするのかと。でも彼女が愛の女神だからかは分からないけど、触れ合っていたいっていうのは思うんだな。
そうなると、俺がベアトリクスさんから触れられて嬉しいっていうのは意外と恋人になりたい感じの好きなのか……?でも、う~ん。これって女神様がそう思うってだけだよな。女神様と欲望さんでもちょっと違ったし、人によって違ってもいいのかもしれない。それにスキンシップしたいって性欲由来の感情でもある気する。愛情由来もあるっぽいけど。
っていうか俺にとっての好きっていったい何なんだろう。なんかまだしばらくは結論出ないような気がしてきた。俺は恋愛赤ちゃんだ。経験が足りないかもし――
「そしてそのままぐっちょんぐっちょんのねっちょんねっちょんに溶け合って一つになって、新しい私になるの」
「へっ!?」
「え?」
ん?今なんかすごいこと言ってなかった?強火な性癖が開示されてない?
「それで一生離れなくなるのが夢ね。というか、互いの思考がそれぞれ絡み合って、相手とねじくれ合って、存在同士でまぐわって――」
「す、ストーップ!」
す、すごい!神っぽい欲望な気がする!へぇ!そんなこと思うんだ!あ、女神様が止めに入ったぞ。
「そうしたら、常に愛する人のことを感じられるでしょう?」
うおおでもまだ行く!強い!欲望さん強い!あとすごい!めちゃくちゃ思いも強いぞ!はへぇ~。ふぅ~ん。優しさの塊って感じに思ってた彼女がそんなことを考えたりしてるのかぁ~。ちょっと意外だ。とはいえ前よりちょっと身近に感じれてきた。……ってなると、俺もこんな風にちょっと恥ずかしい部分を色々開示したらもっと人と信用し合えたりするかもな。もちろん露出するって事じゃないよ?あと性癖とかは違うよ?オーリーとはちょっと話したい気もするけど。ていうか彼、一体女の子に対してどんなことを思うんだろう。下世話だけど結構気になる。
「何をしている時も、というか何かを考える時で――」
「あ」
というところで欲望さんは円卓の方へ飛ばされました。あ、まだ喋ってるのが見える。あとなんか女神恋愛評議会の方々で盛り上がってる?でもなんか全く声が聞こえないです。さては結界みたいなもの張ったな。
「……まぁ、ちょ~っと無駄なモノが入ったけど、参考になったかな?」
「はい。あと無駄だとは思わないですけどね。むしろ女神様もああいうこと思うんだなぁってちょっとシンパシー感じましたよ」
「……うん。キミが私をもっと信頼してくれたようで何よりだよ。ちなみにアレについてあんまり弄ったら怒るからね?プライバシーの無用な詮索は禁止!あとこれは日常生活でもそうだから気を付けるようにっ!!!」
「分かりました」
でも、今回は半ば事故だったとはいえ、女神様の言う通りこういうのあんまり聞きだすようなもんでもないよな。同じこと人に対してやったりしないように気をつけよう。それこそパーティが崩壊しかねない。
ていうか欲望さん、考えてることがなんだかやけに具体的だったな。話してる時も何かを見つめてるみたいだったし、もしかして女神様にも好きな相手が居たりするのかな?あ、そういえば俺を転生させた理由、楽しみたいからってのと別にもう一個あるって言ってたよな。なんか関係あるんだろうか。
「それじゃあ、って、何の話だったっけ?ごめん。忘れちゃった」
「KPがなんで増えてないかってことです」
「あぁそうだったそうだった」
「でも、ちょっと分かった気がします」
ともあれ、KPについては納得できた。俺、まだ恋愛の事全然分かってない。というか自分自身の事すら全然理解してなかった。ベアトリクスさんとああいうことをして成長したと思ってたけど、まぁ多少は成長した気がするけど……してるよね?でもまぁむしろこれからだ。にしてはまだ半分くらい童貞の俺には刺激的すぎる関係が待ってるけど。っていうか刺激強すぎない?彼女、魅力的すぎるだろ。しかもサキュバスだから性欲を強めてくるっぽいし。ちょっと一筋縄ではいかなそうだぞこの関係。気を引き締めてかかろう。あと、一時の欲望に流されないように気をつけよう。
このあともう一話更新します。(10分後ぐらいの予定です)




