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第2話 魔法陣を分散制御したら安定してしまった

アリソンの実演でちょっとした騒動となった講義も終わった。

アリソンとターニャが講堂をでると、掲示板の前が学生たちで賑わっている。

「魔道会よ!」


王立魔法学院が主催する年に一度の魔法大会。

ターニャは興奮気味だ。

「貴族や他の種族も見に来るなんて緊張するわね」

「今年はお父さんも来るの、だから絶対活躍するわ」


アリソンは記憶を確かめる。

「これ確か危ない競技が多いよね」

「ええ、観客はそういうのが見たいのよ」

(さっきの先生、危険がどうとか言ってなかったか?)

「事故とか怪我とか、そういうの嫌だな」


ターニャが眉をひそめ小悪魔的に囁く。

「一緒に出ようよ」

「賞金は二人で山分けだよ」

(賞金あるの! それ先に言ってくれ)


アリソンの咳払い。

「オッホン!」


挿絵(By みてみん)


地面に3つの小さな魔法陣を描きながら、

「安全に勝つってのが条件だ」

「それじゃ、どうするの?」

「さっきの講義でやったみたいに」

「処理を分ける」

「…?」

「どこかで練習してみよう」


学院の裏庭。

そこにある”砂場”と呼ばれる訓練場。

「ここなら魔法陣が暴走しても安全だ」

「透明防壁で覆われているからね」

ターニャは腕を組んで身構える。

「それで?!」

アリソンは3枚の布に魔法陣を描き始める。

3つの小さな円形。

単純な火属性陣。


「一ヵ所で全部やろうとするから無理がでる、暴走する」

「…?」

「いくつかに処理を分けるんだ」

アリソンは3つの魔法陣を線で結ぶ。

「基盤は共通化。制御環を分割して、発動式への転送を同期させる」

「って、わかる?」

「…さっぱりわかんない。」

ターニャに視線を合わせて手振りもつけて話す。

「一個に詰め込まずに分けて動かす」

「そして最後に合流させる」

ターニャは肩をすくめた。

「で、それ強いの?」

(本当にわかったんかい!)

「自信はないけど…」

「試しにやってみよう!」


ターニャは勝手に自分の魔法陣を描きだした。

「私の得意は火属性」

「学年で一番大きな火球を打てるわ」

魔力を流す。

火球が揺らめきながら一気に膨れ上がる。

ドーン!

派手な爆発と轟音。

訓練場の地面に炸裂し土煙が舞った。

「ふふん、こんなものよ!」

ターニャは胸を張る。


アリソンは小さく首を降る。

「それいつもうまくいくの?」

「まあ、大抵はね。」

(大抵って、これ当たったら死ねるぞ)


「だったらもう一度見てなさいよ」

ターニャがさらに魔力を流す。

今度は魔力が乱れ火球が大きく揺れる。

「危ない!」

火球はあらぬ方向、防壁へぶつかって爆散。

「…」

ターニャの耳が赤くなる。

「今のはたまたま失敗しただけ」

「もう一回、次はもっと大きいやつを」


アリソンが腕をあげて止める。

「よくわかった、もういいよ」

「次は僕のやり方を試させてくれ」

「これを使うんだ」

魔法陣が描かれた3枚の布を地面に置く。

「ターニャ、これに君の魔力を流してみてよ」

「大丈夫なの、これ?」

(さっきのよりはマシだよ、とは言えないけど)

「僕を信じてみて」


ターニャは恐る恐る魔力を注ぐ。

小さな火球が浮かび上がる。

「何だか軽いわ、これで魔力入ってるのかしら」

「分散してるからね」

アリソンも魔力を込める。

3つの魔法陣が同時に動き出す。

魔力はそれぞれ独立して流れ、ぶつからない。

火球はどんどん大きくなっていく。

…揺れない。

…乱れもない。


ターニャの目の色が変わっていく。

「なにこれ、こんなに大きいのに揺れない」

「…初めて見た」

ターニャはアリソンを振り返り

「どこまで大きくできるの?これ」

「もっと増やせるけど、今はこれでいい」

ターニャがにニヤリと笑う。

「もう一回やるわよ!」


実践で扱うには二人の呼吸を合わせること。

魔力の配分、タイミング調整。

二人の練習はこれから毎日続くことになる。

この放課後の訓練場で。


この様子を偶然見ていたものが…

ベレント教授である。

異常なまでに膨張した火球。

しかも安定したままで。

教授の顔が青ざめる。

(こんな馬鹿なことが)

あの大きさは王宮魔術師に匹敵するものだった。

「それをただの学生が…」

「しかも完全に制御した状態で」


教授が講義での一部始終を思い出した。

「偶然などではない」

あれは…作られたものだ。

自分が黒板に記した三層構造。


(まさか、あの少年は)

「魔法を設計している…」

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