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魔法設計士  ― この世界の魔法、全部バグってます  作者: 有松
第2章 精霊の乱れ ― 世界の繋がり
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第13話 守護獣


「守護獣が暴走しています!」


ルナシールドが叫ぶ。

森の中心では白鹿の出現により緊張が高まっていた。

白鹿が地面を踏み鳴らす。


 ーードンッ!


衝撃波が広がる。

そして、巨体とは思えない速さで白鹿が突進してくる。

ミレイアが前に出る。


「止まれー!」


重力場で空気が歪む。

白鹿の速度がわずかに落ちる。

だが止まらない。


「荒ぶる風の眷属よ、なぎ払え!」


ルナシールドが詠唱、彼女の背後から突風が走る。

白鹿の体が大きく揺れる。

それでも――倒れない。


間髪入れずターニャが特大の火球を放つ。


「これならどう!」


炎が白い体毛を舐める。

だがーー


「効いてない!」


白鹿を傷つけることはできない。

グラムベルクが思わず後ずさりしながら叫ぶ。


「なんなんだ、あの力!」


アリソンは動かない。

ただ、じっと見ている。

白鹿の体表を流れる光を。


(魔法陣の起動に似ている)

(魔力の光…)


それは白鹿の内部からではない。

外から流れ込んでいる。

だが今は。


(その供給が乱れている……?)


白鹿は何かを見つけたようにターニャへ向きを変える。


「来なさい!」


炎を纏った刃を構える。

その圧倒的な力の前にターニャの剣先が震える。

白鹿が突進。

その巨大な角が振りあがり、火花を散らしながら剣が宙に舞う。


「痛ッ!」


白鹿の角はターニャの腕をかすめ、服が裂ける。

尚も白鹿の巨体が迫る。

とっさにアリソンが手を伸ばして飛び込む。


「ターニャ!」


その瞬間。

ターニャの傷口から落ちた一滴の血。

そこから足元に魔法陣が広がる。

複雑な魔力の振動。


(これは信号?)

(いや違う… 元に戻そうとしている)


白鹿の足が地面を削りながら止まる。


「…え?」


ターニャが立ち尽くす。

静止した白鹿はゆっくりと首を下げた。

赤く染まっていた瞳はもとの蒼さを取り戻している。


ミレイアはその場に座り込む。


「止まった…?」


ターニャは呆然としている。


「一体、何が起きたの?」


誰にもわからない。

アリソンはターニャの足元を見つめ、しゃがみ込む。


「この魔法陣… 見覚えがある」


 円

 接続点

 そして中心で線が分かれている


(トロールのときの?)

(ここは反転制御…)


ターニャも足元を見る。


「それ、私の血?」


アリソンは立ち上がって白鹿の目を見る。


(本当に暴走していたのか?)

(本来、白鹿は森の守護獣…)


そして、魔力測定器の針の動きが目に入る。


(安定している…)


つまり…


「守ろうとしたんだ」


一同は思いがけない言葉に目を向ける。


「暴走してたわけじゃない」

「精霊の異常を治すために、ターニャを探してたんだ」


白鹿は一瞬ターニャを振り返り、森に向かって歩き出した。

ミレイアが息を呑む。


「それって…」


アリソンはまだ断定しない。

ただ小さく呟いた。


「ターニャの血が解決の鍵かもしれない」


森の魔力は精霊によって循環している。


だが見えない何かが――

今もなお、流れを乱し続けている。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


物語が少しずつ大きくなってきました。

ここまで楽しんでいただけたら、

ブックマークしていただけると嬉しいです。

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