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辺境ダンジョンの管理人に転職しました。討伐より“安全運営”で地域を回します

 王都の最前線で補給係として汗に塩を混ぜて生きてきた俺・カイは、ある日「昇任」ではなく「転職通知」を受け取った。赴任先は地図の端、風が名前を忘れたような辺境の町。そして看板だけ立派な**《迷洞グレイン:等級D》。
 到着して三分で悟る。罠は規格外、導線は交差、注意看板は詩。前任者の運営記録は“豪快に口頭”。事故が起きなかったのは、たぶん神様が昼寝してたから。
 俺は討伐の腕ではなく、運営の手順で勝負する。罠は安全係数から見直し、通路は一方通行に設計、入場は予約制**。入口の行列はタイムチケットで解消し、初心者向けに安全講習会を開く。入口には「三つの約束」を掲示する――踏む前に読む/倒す前に止める/困ったら笛。
 そんな「戦わない経営」は最初こそ鼻で笑われたが、常連が増えるにつれて町に変化が出る。怪我人が減れば鍛冶屋は修理ではなく改良で稼ぎ、宿は遠征より滞在で賑わう。討伐依頼の単価は下がらないどころか、高難度“安全プラン”でむしろ上がった。
 もちろん敵はいる。無許可の周回屋、闇ギルド、そして「危険こそ浪漫」と語る古参冒険者。だが俺たちは規約更新と公開レビューで応える。ダンジョンは“誰かの物語の舞台”じゃない。町全体のインフラだ。
 事故ゼロ、苦情率3%未満、回転率140%。数字の裏で、泣き笑いも増えていく。落ちこぼれ少年がはじめてスライムを“無傷で”突破した日、鳴り響いた笛は音ではなく合図だった。
 剣より先に、手順を。俺は今日も点検札をぶら下げ、洞の朝礼で言う。「安全は“運”じゃない。運営だ」。
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