深夜のトイレ
中学の時の話なんだけどさ、部活で遅くなって、夜9時くらいに学校を出る前にトイレ寄ったんだよ。
そのトイレって、古くて有名な「出る」って噂のある場所で、でも俺はそんなの信じてなかった。
トイレの電気は蛍光灯で、チカチカしてた。
中に入ると一番奥の個室だけドアが閉まってたんだけど、下の隙間から誰かの足が見えた。
真っ白で、細い足。靴も履いてない。
「あ、誰かまだ残ってんだ」って思って、小便してたら、個室から水を流す音がした。
でも、その音がやけに長い。ジャー…ジャー…って、20秒くらい止まらない。
変だなと思って振り向いたら、さっきまで閉まってた個室のドアが半開きになってて、足が見えない。
誰か出たのかと思ったけど、トイレから出ていく足音もしない。
ちょっと怖くなって手を洗わずに出ようとしたら、背後から水が一気に流れる音がして、同時に個室のドアがバン!って閉まった。
その瞬間、背中に氷水ぶっかけられたみたいに寒気がして、振り返らずに外に飛び出した。
廊下を走ってたら、トイレの方からコツ…コツ…って裸足で床を叩く音がついてくる。
曲がり角を必死で曲がっても、音は同じ距離でついてきた。
職員室まで走ってドアを開けたら、先生がいて助かった。
でも先生と一緒に戻った時には、トイレは全部の個室のドアが開いてて、もちろん誰もいなかった。
それ以来、俺は学校のトイレに一人で入れない。
特に、あの一番奥の個室は。
今でも、あの足の色と形を思い出すと鳥肌が立つ。